万年筆店をしているので、何でも万年筆で書くのですか?と聞かれることがあります。
他の方よりも万年筆を多く使っているのは当然ですが、それが不思議に感じられるようです。
本当に万年筆ばかり使っていて、字を書く用事ほとんどを万年筆で書いていますが、中にはそうはいかないこともあります。
そのひとつが複写伝票への記入です。
当店の伝票は少ないのですが、お客様からお取り寄せを承ったり、修理品をお預かりした時に書く伝票が複写式になっています。
その時は筆圧をかけなくてはならないので、仕方なくボールペンを使います。
実は個人的に万年筆がどうしても使えない場所がもうひとつあって、それは家のソファの上です。
ちょっとしたメモや、原稿の下書きなどをソファに座って楽に書いたりしていたのですが、万年筆で書きながら居眠りしてしまい、ペン先がソファに触れて大きなインクのシミを作ってしまったということが2回ありました。
それ以来、我が家ではソファの上での万年筆の使用が禁止となっています。
それからはソファでのメモ書きは鉛筆でするようになって、シャープペンシルを使うようになりました。
工房楔の0.7mmのペンシルは万年筆を使えないシーンでの愛用品となっています。
パトリオットボールペンと比べると細身に見えるけれど、握ってみると適度な太さで、とても楽に書くことができる。
私は通勤の電車の中でもよく書き物をしていますが、そういった場面でも今はこのシャープペンシルをよく使うようになっていて、下書きをシャープペンシル、清書には万年筆という使い方に落ち着いています。
そういえば、シャープペンシルの芯はなるべく値段の高いものを使った方がいいということをずっと思っています。
その時実感したのは、200円と300円の芯の違いで、100円の違いでこれほどまでに書き味が滑らかになり、紙に黒色が付きやすくなるのかと感心したことがありました。
100円均一で売られている芯と比べるときっとそれは雲泥の差だと思います。
万年筆のインクもシャープペンシルの芯のようにグレードがはっきりしていたらどんなに売りやすいだろうかと思うことはあります。
値段が高くなるほど書き味が良くなって、発色が良くなるなどの内容の違いがあればいいけれど、実際はインクの性質や色くらいで、値段の違いは瓶の違いだと思っています。
でもそういう曖昧で大らかなものの方が私は好みなのかもしれないと思っています。
話が少し反れてしまいましたが、道具はそれぞれの適正に合ったものを使うべきだと思うようになって、それが筆記具の場合はメモや下書きは、気負わずに何でも書くことができるペンシルがいい。
それに対して万年筆は清書の道具で、書いたものを定着させるには簡単に消すことができないインクで濃くはっきりと書き記す。
ペンシルと同じく、カンダミサコのA7メモカバーもメモの道具ですが、シュランケンカーフで製作してくれていたものとは別に、味の出る革ダグラスで製作していただいたコンチネンタルA7メモカバーが出来上がりました。
サラッとしたシュランケンカーフとはまた違ったネットリとした色合いと手触りの色気のあるこの手の革がとても好きで、小さなメモ帳カバーとして個人的に欲しいと思っていました。
何度も、何度も言っていることですが、メモは全ての仕事の第一歩で、メモという言葉に非常にロマンを感じ、最も大切なステーショナリーはメモ帳だと思っています。
今回もメモ書きを支える、素材感が溢れ、ロマンが感じられる二品をご紹介いたしました。
⇒A7メモカバー(Pen and message.仕様)コンチネンタル
⇒工房楔 0.7mmペンシルgid=2125792″ target=”_blank”>⇒工房楔 0.7mmペンシル