大好きな話なので何度も書いていますが、ラミー2000は1966年に2000年まで通用するデザインの万年筆を作りたいとラミー社が社運を賭けて発売したペンです。
それは2000年をはるかに超えた現代でさえ全く古さを感じさせず、いまだに斬新ささえ感じさせてくれるロングセラーのペンになっています。
当時パーカーの代理店からペンのメーカーに転向して数年経っていたラミーは、大手メーカーの影響を受けたペン作りに限界を感じていたのではないかと思います。
大手メーカーを真似るまでいかなくても、トレンドのようなものがあって、どうしてもそれに流されてしまう。
何か変わらないものを手に入れたい。
世の中は、時代はすごいスピードで進んで行くけれど、その中でも変わらないものがあるはずだと思い、たどり着いたものがバウハウスの流れを汲むデザインだったのではないかと私は思っています。
ただの姿形だけのデザインなら、すぐに廃れて古くなってしまうけれど、機能がデザインを作るというバウハウスのデザインにはドイツ人の誇り、美意識が込められている。
そういった精神的なものは時代が流れても変わらないのではないか、ラミーはきっとそう思ったに違いない。
ラミーと肩を並べるつもりはないけれど、その心情は私にも理解できると思っています。
当店も時代が変わっていくことを認めながらも、変わらないものをずっと探している。
それは必ずあるはずで、ラミーはそれを見つけることができたし、それを見つけることができた会社が続いていくことができるのだと思います。
ラミー2000を開発した話は万年筆界の宝物だと思っています。
ラミー2000が今年50周年を迎えて、5000本限定モデルを発売しています。
量産されているラミー2000が展示会などのショーモデルとして作られたらこうなるのではないかと思うほど、定番品のラミー2000と似て非なるものになっている。
独特の温かみのある色合いに仕上げられたステンレスを削り出して、マット加工を施した、かなり重量感のあるものになっていて、ペン自体の重みで書くことができるようになっています。
私たちはラミー2000の素晴らしい話を聞いて、自分の仕事もそうありたいと思う。
ラミー2000を手に入れることは、それを自分の仕事のお守りにして、自分の仕事において変わらないものを見つけることなのではないかと思っています。