年賀状が終わらないといつまでも落ち着かない、締め切りが日々迫っているのに仕事が片付かないような感覚を覚えます。
日々の仕事がさらに忙しくなるこの時期に、さらにやらなければいけないことがあると思うととても大変ですが、どうせやらなければいけないのなら楽しんで書きたいものです。
年賀状を機会に万年筆を使い始める方も結構おられて、年賀状は万年筆を使っていただけるようになるための良いきっかけとなると常々思っています。
万年筆を日頃から使っている方からすると分かりにくいかもしれませんが、一年に一度だけの万年筆を使う機会が、年賀状を書く時という人も結構おられます。
年配の方は特にそうで、万年筆は持っているけれど、日頃は不便であまり使わない、でも万年筆で書いたほうが見栄えもいいし、書いていて気持ちいいことも分かっているので、万年筆を使うというのが一般的な見解のようです。
書きやすくて、書いた文字にも味わいが出ることを分かっていても、日頃から使わない人がいるのは寂しいですが、年賀状で万年筆を使ってその良さを再認識するきっかけになれば良いことですね。
万年筆で年賀状を書くのは、ほとんどの人が主に表書きになります。
裏はパソコンで印刷したものや、注文印刷したもので、相手先の住所、名前を万年筆で書くという人がほとんどだと思います。
宛名を万年筆で書いた場合、一番気になるのは雨で濡れて消えてしまわないかということです。
実際万年筆用のインクは染料インクで、水に濡れた場合ほとんどのものが消えてしまいますが、水に流れないインクがあります。
プラチナのカーボンブラックと顔料ブルー、セーラーの極黒と青墨です。
どれも万年筆で使うことが前提になっている、顔料インクで、乾くと水に流れないという特性と、万年筆用のインクが苦手だった光沢紙にもインクが乗ってくれるという特長があります。
特にプラチナのカーボンインクはかなり以前から使われていて、どの万年筆に入れても書き味がヌルヌルと良くなるというおまけまでついています。
染料系のインクにはない安心感が顔料系のインクにはあって、これは年賀状にぜひ使っていただきたいお勧めのインクです。
表書きに使う万年筆の条件は、中字以上の太めの文字が書けるものが大きく書くことができ、表書きらしくて良いと思っていますし、書き味も良くなるのでたくさんの枚数を書いても楽しいのではないでしょうか。
表書きの場合、国産の万年筆なら、中字以上、海外のメーカーでしたら細字以上のペン先のものを選ばれた方が良いでしょう。
顔料インクを使うという前提でのお勧めの万年筆を挙げると、顔料インクを発売しているメーカーであるセーラーとプラチナのものということになります。(顔料インクのボトルタイプを使う場合、別売りのコンバーターが必要になります)
どちらも自社で顔料インクを発売していて、普通のインクと比べるとインクが固まった時の固着度が高い顔料系のそれぞれのインクとの相性が良いからです。
使用にあたっての多少の注意(キャップを開けたまま長時間放置しない、インクを入れたまま長期間そのままにしておかないなど)が必要ですが、でも顔料インクを必要以上に恐れずに使っていただけたらと思っています。
これは私の個人的な経験で、皆さま自己責任で使用していただきたいと思いますが、アウロラオプティマにカーボンインクを入れて使用しても問題なく書くことができました。
むしろ普通のインクよりも、カーボンインクで書いたほうが描きやすかったのは驚きでした。
万年筆も、顔料インクもより多くの人に使っていただきたいと思っています。