工房楔の万年筆スタンド「パラーレ」

工房楔の万年筆スタンド「パラーレ」
工房楔の万年筆スタンド「パラーレ」

完璧に自分をコントロールして、教科書通りの生活、健康的なライフスタイルを送ることは素晴らしいことだと思いますが、皆がそうでなくてもいいと思いますし、自分はそうではないと恥ずかしながら告白しなければいけません。

意思の弱さなどからついつい夜更かしをして次の日辛い思いをしたり、様々な欲望と戦って負けたり勝ったりするのも、人間味があるのではないか。
正論通りだけではない二面性があってもいいのではないか。でも自分が譲れない仕事の領域で前向きであればいいのではないかと、自己弁護したりしています。

机の上がいつもとても片付いている人もいると思いますし、逆にとても散らかっていて、ある時それが自分自身で許せなくなって狂ったように片付ける人もいて、後者の人はとても人間味溢れる人で、面白い人だったりすることもある。
楔の新作、ペントレイ兼スタンドパラーレは、そんな人間味を理解して深みを増した永田氏の遊び心が込められているような気がして仕方ありません。

ペンを斜めに立てるためだけであったら、ここまで素材を厚く使う必要はありません。
今までの楔作品であれば、もっと薄く実用性と見た目のバランスのみを追求したストイックなものになっていたと思います。
しかし、パラーレは厚すぎるくらいに良材であるウォールナットとメイプルを使って、独特の存在感のある遊び心のあるものに仕上がっています。

万年筆置きですが、パイプを置いてもサマになりそうな男っぽい雰囲気もある。
散らかった机の上でも、このような万年筆の避難場所があれば、万年筆を書類の山の下から発掘しなくてもいいし、他のものと当てて傷つけたりしなくてもいい。
こういったペンスタンドは意外と実用的だと、机が散らかる人ほどその有用性を知っているのではないかと思います。

万年筆収納具は本当にたくさんの種類が世の中にあります。
その中で楔のものは間違いなく、5年後、10年後と歳月が経つほどに、ウォールナットは光沢を帯びて杢が浮き上がってくるように見えるようになるし、メイプルは色に深みが増し、艶が出てきます。
良いエージングを見せてくれるものは、良い素材を使って、表面処理を施していないものでなければなりませんので、個体差が出ることが恐い大量生産のものではこの真似はできません。

今年の楔のイベントは、今まで以上に遊び心を感じさせるものが多かった、これからはそれを皆様に永田さんに代わって、私が伝えていかなければいけないと思っています。

イベントが終わって、私は祭りが終わってしまったと寂しい気持ちになって、スタッフKはそれなりにお客様方が来てくれてホッとして、永田さんはやり遂げたと使命感からの解放を、それぞれ感じています。

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