想いを込めるインクの色

想いを込めるインクの色
想いを込めるインクの色

ペリカンのエーデルシュタインインクに、新色タンザナイトが発売されました。

ペリカンのブルーブラックは落ち着いた紺色で、個人的にはとても好きな色ですが、酸化鉄の作用で紙に定着する昔ながらのブルーブラックなので、インクの出が少なくなることがあります。
アウロラなどの万年筆ではインクの出が極端に少なくなったりしていましたので、ペリカンのブルーブラックはどちらかというと扱いにくいインクのひとつでした。
タンザナイトはブルーブラックの色ですが、従来のブルーブラックとは成分が違うためインクの出が渋くならず、ペリカンの純正インクを使いたいと思っておられた方には待望のインクです。

私も万年筆のインクはたいていブルーブラック系の色を使っています。
黒は書いていて何となくつまらないし、ブルーは私の好みからするとパッと明るすぎる。
夏には特にそうですが、インクの色を何か違うものにしたいと思って、黒やロイヤルブルーにしたりして(あまりインクの色で冒険しない方です)しばらく使ってみたりしますが、すぐにいつものブルーブラックに戻ってしまいます。

何度も書いているかもしれませんが、私は当店オリジナルインクの朔をよく使います。
このインクはくすまないブルーブラック、紺色を目指して作った色で、新月の夜の空をイメージしています。
どの万年筆に入れてもインクの流れが良く、気持ちよく書くことができるので、万年筆のインクの伸びを重視する私にはその特性的にも他に換え難いインクです。

これは私の勝手な印象というか、思い込みですが、ブルーブラックのインクはどれも夜をイメージしています。
モンブランの古典的なインク、ブルーブラックも最近ミッドナイトブルーという名前に変更しましたし、エルバンとカランダッシュはブルーナイトという色があります。
ブルーブラックとは言っていないけれど、オマスのブルーは他のメーカーのブルーよりも色が濃く、イタリアの夜の空をイメージさせます。

インクの色というのは、作り手も使い手も、想いを込めるととても良い物に感じられて、そこがとても面白いと思っています。

⇒Pen and message.オリジナルインク「朔」
⇒Pelikan エーデルシュタインインク「タンザナイト」