来年初めに完成を予定しています文集雑記から2の原稿の募集を締め切りました。
37人の方が寄稿して下さりました。
多ければ多いほどいいと思っていましたが、予想以上の数が集まり有難いことだと心から感謝しています。
皆様の原稿を拝見しながら、皆様が一番愛用している万年筆を数ある中から1本に絞らないといけないという苦しみを垣間見ました。
私も数多くはないけれど、20本ほどの万年筆はどれも愛用していると言っていいし、どれにもそれなりのストーリーがあると思っているので、どれについて書こうか迷っていました。
一番文字数を書いている万年筆はペリカンM450(現在は廃番になっています)で、ブログやホームページの下書きなど、原稿と言えるもののほとんどをM450 で書いています。
自然と書いた文字数も多く、書き馴らしたペン先独特のインクがフワッと出てくる感じがたまらなく気持ちいいので、余計に使ってしまいます。
たまにノートの罫線の色が変わったら原稿を書くことができないという人がおられるけれど、もしかしたら私はペンが変わったら原稿が書けなくなるのかもしれないと思うほどです。
それくらい使っているM450 ですが、このペンを文集に書くのに少し問題がありました。
スタッフKとまさかのカブリだったのです。
「何について書くか決めた?」と言い合っている時に二人ともM450 について書くつもりであることが発覚しました。
「お互い本数持ってるのに何故よりによってM450?」としばらく揉めましたが言っても仕方ない事でした。
それでは私以外の皆が私の愛用の万年筆だと強く推すパイロットシルバーンについて書こうかということに落ち着きました。
たしかにシルバーンは仕事中当店のオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースに入れていつも傍らに置いて、帳簿やポップ、手帳やメモなど何でも書き用に使っています。
よく使うからか書き味も細字と思えないほどしっとりと柔らかい、でも安心感のある書き味に育ってくれています。
キャップが勘合式なのもいいし、カートリッジで使っているので、仕事中にインクが切れてもすぐに差し込んで、続きを書き始めることができる。
この万年筆以上愛用しているものはないのかもしれないけれど、シルバーンは私にとってあまりにも日常の道具すぎる。
横にあるのが当たり前すぎて、言わばペン先調整の道具に近い存在になってしまっているのです。
改めてこの万年筆について何か書こうと思っても、ロマンのあることが思いつきません。
いつも傍らにあって、調整する前に自然に手が伸びて、自分の目の代わりになる25倍のルーペと同じように「あって当然」の空気のような存在がシルバーンで、この万年筆で書くとストレスはないし、ペン先の傾き加減でインクの出方までコントロールして書くことも自然にできるほど、自分の指先の一部にようになっています。
それが愛用しているということなのかもしれません。
もしかしたらシルバーンだから私にとってこのような存在になったのかもしれないと思うと、あって当然の、ありふれた、ドキドキのないこの万年筆も愛おしく思えてきました。
これから編集作業に掛かりますが、またいい文集が出来るのではないかと思っています。