ブルー・オ・ブルーは忘れかけていた万年筆の正解、M800の良さを思い出せてくれる役に立ったと思っています。
たくさんのメーカーからたくさんの万年筆が出ていて、新製品もたくさん発売されています。
メーカーも常に新しいものを示して顧客に飽きられないように、当然の活動です。
しかし、万年筆の実用においての正解があるとするなら、これから発売される何かではなく、すでに発売されていて、長い間使い継がれている定番の中にあるのではないかと私は思っています。
何か大きな新発明が出ない限り、万年筆の実用においての正解はもう既に示されているのです。
宣伝の必要のない定番品と比べて、派手に雑誌広告などで取り上げられ、発売される限定品や新製品の方が目立ってしまい、正解である定番品に多くの人の目が向かないのは残念に思っていました。
しかし、M800ブルー・オ・ブルーは限定品でありながら、万年筆の正解を手に出来るということで、皆様にお勧めしたい万年筆です。
ペリカンM800は、日常の道具として酷使に耐えうる道具であり、このM800が万年筆の中で最も優れたバランスを持った万年筆であることは多くの人が知るところで、私もペリカンM800を初めての万年筆としてもおすすめしています。
同様に、モンブラン146もほぼ同じプロポーションを持っています。モンブラン146には計算され尽くした、均整のとれた完璧でスマートな優等生らしさが感じられると思っています。
それに対してM800は洗練とはほど遠い、長時間ハードに書くための道具であり、もしかしたらとても文房具的でシンプルすぎる存在なのかもしれません。
M800を最初の1本として使い始め、万年筆の全てを教えてもらいながら、他にもっと良いものがあるかもしれないと違う万年筆をいろいろ使ってみるけれど、やはりこれが良かったと、最後に手にする万年筆なのかもしれないと思っています。
万年筆は趣味の道具か、実用の道具かということをよく考えますが、実用の道具でありたいと思っています。
私にとっては仕事を趣味に近付けるための道具、書くことで仕事を楽しくしてくれる道具が万年筆でしたので、趣味と実用の間なのかもしれません。
そんな私にとってM800は本当に丁度良い存在でした。
書き味が良いだけでなく、所有することにも価値を見出せますし、最もプロポーションに優れた万年筆であり酷使に耐えるものである、という事も嬉しいところです。
万年筆のような、趣味と実用の中間に位置し自分のこだわりを表現するものにおいて、ポテンシャルが高いということはとても大切なことで、自分は潜在能力の高い万年筆を持っていると思えることが、こういった万年筆を使う上で大切な気持ちの置き所なのかもしれません。
このM800のポテンシャルの高さは相当なもので、ペリカンの中で最も硬いペン先とインクの性質に左右されにくい高性能なペン芯の存在が、ボディのバランスの良さと一緒になって、M800を最も筆記に適した万年筆にしています。
趣味の道具でもいい、でもハードな実用に耐えられる存在であってほしい。
M800はそんな物への期待に応えてくれる万年筆だと思っています。
限定生産品ブルー・オ・ブルーは、M800と言うモデルの、「ロングセラーであるが故の目新しさのなさ」を解消する役割を果たすと思っています。