折りたたみ式のリフィル

今年はメインの手帳として、M6サイズのシステム手帳を使っています。

手帳としては小さいけれど、スケジュールやToDo、覚書を書いておくには十分なサイズで、原稿などはノートに書くようにするなど、必要に応じて使い分けることでM6サイズでも充分仕事で使えると思いました。

仕事中ジョッターなどにさっと書いたメモを、夜M6システム手帳に転記するというのが習慣になっていて、1日の復習と明日への予習の時間になっています。

小さなM6サイズを使っているためか、手帳という小さな限られた紙面を2倍、3倍と広げてくれる折り畳み式のリフィルが好きです。メモにはあまり向かないかもしれませんが、データの一覧性や長期的なスケジュールを把握する時などに有効なリフィルだと思っています。

当店で扱っているものだと、智文堂さんのカレンダーリフィルが折り畳み式で、バイブル、M6、M5の3サイズあります。

智文堂さんの折りたたみ式カレンダーの日付割は少し変わっていて、7月から始まり表面は12月で終わります。裏面は1月から6月なので、7月始まりカレンダーということになります。

こういうレイアウトだと何ができるかというと、2年目からは左ページが1月から6月、右ページが7月から12月となり、見開きで1年が見渡せるようになります。

見開き1年のカレンダーなので、1日ずつのスペースは小さくスタンプなどを押しての使い方が良さそうです。

年明けまでにほとんど売り切れてしまいますが、あたぼうさんの「じゃばらんだ」というカレンダーリフィルも折りたたみ式のリフィルです。シンプルなブロック式のレイアウトで表面が1月から6月、裏面が7月から12月の両面1年のリフィルになります。

先日あたぼうさんから、じゃばらんだのノウハウを生かした折りたたみ式のガントチャートリフィルが発売されました。

ガントチャートはタスクごとに進行具合を確認するための表で、横軸に1から31の数字(日付)、縦軸にはタスクを記入する欄があります。

私たちのような立場の者が売り上げや仕入れ、経費などをつけて管理するのもいいと思います。私も何かに使いたいと思い、早々に買い込んであれこれ考えを巡らせています。

折りたたみ式のリフィルの良いと思うところがもうひとつあります。

システム手帳は普通、リング径によって挟める紙の枚数が決まっています。折りたたみ式のリフィルだと、リングに1枚挟んでいるだけで厚みが出るので、少ない枚数でも手帳が厚くなるのです。これは手帳をなるべくぶ厚くしたい私の好みかも知れません。

当店ではカンダミサコさんにブッテーロ革のペンホルダーや下敷きを作ってもらっています。革下敷きは滑りすぎない柔らかい書き味で好評ですし、用紙を綴じたままスタンプを押すときにも印マットのように使えます。

個人的にラップ型ペンホルダーという2つ折りのペンホルダーを、折りたたみ式リフィルの下敷きとして使ってみたりして、手帳は個人の工夫で様々な可能性があります。それが手帳を使う楽しみなのだと思います。

⇒じゃばらんだ Gantt M5サイズ

⇒じゃばらんだ Gantt M6サイズ

⇒じゃばらんだ Gantt バイブルサイズ

つるしの調整済み万年筆

入荷時にチェック・調整した万年筆を座って試し書きしていただいて、選ばれたものをその方の書き方に合うようにペン先調整してお渡しする、ということが当店のスタンダードです。

創業以来そうしてきて、それが当たり前だと思ってきました。

でも中には人前で字を書くことが嫌な人がいるかもしれないし、調整済の万年筆は使ってみたいけれど気軽に買えないと思っている人もいるかもしれません。

6/4(土)に参加予定のNANIWA PEN SHOWでは、調整済の万年筆を気軽に買えるようにしようと思いました。

今回はツイスビーのECOとダイヤモンドクリア、新製品のダイヤモンドホワイトローズゴールドを調整してご用意しました。

ツイスビーはばらつきの少ない厳しい検品体制をとっていますが、メーカーでは許容範囲内として出荷されるペン先のわずかな食い違い、ペン先とペン芯の隙間などを細部まで調整して、一番良い状態にした万年筆を箱に入れたまま販売します。お客様はそれをレジに持って行くだけで、ご購入していただけるようにしています。

細部にこだわって調整したペンはやはり滑らかな書き味で、きっと喜んでいただけるだろうと思っています。

ペン先調整の需要の多さは日々感じています。それはペン先調整のために当店に送られてくる万年筆の数や、調整のお問い合わせの多さに表れていて、お客様方から求められていることだと思います。

ペンショーというたくさんの人が行き交う場所では、ゆっくり座って万年筆を試し書きをしていただくということに限界があると思っていました。そこでペンショーらしい万年筆の販売方法として、調整済み万年筆のつるし販売をしてみたいと思いました。

これによって、私は神戸で店をしながら、ペンショーで二人のスタッフだけでも当店らしく万年筆を販売できます。

ツイスビーは先日円安の影響による値上げがありましたが、そのコストパフォーマンスの高さはまだまだあります。

最も安価なECOは雑貨感覚で使える手軽な万年筆で、今までの豪華で重厚な万年筆の価値観とは違った軸にいる万年筆です。雑貨感覚とはいえ、日本語にも合っているペン先と思います。

これから万年筆は、こういう雑貨感覚なものと、ジュエリーのような装飾性やステイタスを追究したものとに二極化していくのかもしれません。

ダイヤモンドはバランスの良さと、柔らかい書き味の大きなペン先を持つ本格的な万年筆です。今の万年筆の価値観の中でツイスビーとして最良のものを目指したものがダイヤモンドだと私は思っています。

ペンショーでは使ってみたいと思われる万年筆を気軽に買っていただけたらと思います。

NANIWA PEN SHOWは当日準備して、オープンし、当日撤収するという各店舗体力勝負になりそうなタフなイベントで、当店も気を引き締めて臨もうとしています。

AURORAアンビエンテ・デゼルト

私たちの仕事は万年筆やステーショナリーを販売することですが、それらの販売を通して伝えたいメッセージをそれぞれの店が持っていると思っています。

逆に言えばそのメッセージに合ったものを選んで品揃えするのがお店で、私たちが何も言わなくても品揃えはその店のメッセージを雄弁に語っています。

当店の品揃えにおいて外せない大切な存在のひとつがアウロラです。

アウロラは自分でも使っていますが、安心して使うことができる機能性と、使っていて楽しい、持っていることが誇らしくなるような程よい華やかさのあるペンだと思っています。

仕事でアウロラのペンを取り扱っているうちに、アウロラをはじめとするイタリアのメーカーは、修理に対する考え方が手厚く、直しながら長く使うことを考えていることが分かりました。

その方がお客様は次もそのメーカーのペンを使いたいと思ってくれるし、本来万年筆とはそういうものだと思いますので、イタリアのメーカーの修理の対応はとてもスマートで、洗練されたものに感じます。

手厚い修理が可能なのは、全ての部品を自社で一貫生産しているからです。それは今のモノ作りからするとあまり効率の良い方法とは言えず、たくさんの種類のペンを作ることができません。だけど自社で全ての部品を作っているからこそ、いつでも修理の対応ができる。

アウロラの自社一貫生産のポリシーは、コロナ禍で流通が止まって他社がモノ作りができなくなった中、変わらずペンを供給し続けていることでひとつの正しさが証明されました。万年筆を通して仕事の教訓になることがよくあるけれど、またひとつ大切な教訓を得たと思いました。これは後世に語り継がれてもいいことで、アウロラはまたひとつ伝説を作った。

アウロラの未来に遺したい地球の自然シリーズアンビエンテの「デゼルト」が発売になりました。

灼熱の砂漠をイメージした少し赤味がかったオレンジ色のボディは、以前発売したマーレアドリアの甘めのオレンジとは違う色で、このペン専用のアクリルレジンが使われています。

この、テーマに沿ったアクリルレジンの色作りがアウロラのペンの真骨頂で、今までにも数々の名品を作ってきました。

軸の美しさがアウロラの万年筆では目立つ部分ですが、私は書き味においてもアウロラは優れていると思っています。

ペン先の寄りが適切に調整されて、エボナイトのペン芯がピッタリとペン先に沿った時のアウロラの深みのあるいい書き味は、現代の万年筆の中でも最もいいもののひとつだと思います。

私はどうしてもアウロラについて語ることが多くなってしまいます。

それはアウロラのペン作りの精神から多くのことを教えられるからで、アウロラは私にとって仕事の教科書になっています。

⇒AURORA アンビエンテ・デゼルト

最後のプラチナブライヤー万年筆

プラチナブライヤーはプラチナ萬年筆らしい、日本の万年筆らしい他にない渋い名品だと思っていました。

硬めのペン先は筆圧の影響を受けにくく、濃さの均一な文字を書くことができます。

勘合式のキャップはこのクラスの万年筆としては珍しいですが、素早くキャップの開け閉めができるので仕事でも使いやすく、少し書いてはキャップを閉じる、会議や打ち合わせでとても重宝するものだと思います。

そして最も特徴的なのはブライヤーのボディです。

ブライヤーはシャクナゲ科の植物の根の瘤部分です。石がたくさん埋まった土の中で根はそれらにぶつかり、ねじれながら伸びることで硬くなり、ブライヤーの特長である複雑な模様になります。

ブライヤーはパイプの素材として有名です。硬くしっかりした質感と、目が詰まっていることで質量が高くなり、適度な重量感があります。長い時間、手の中で感触を楽しみながらタバコを燻らすパイプには適していた素材と、唯一無二の美しい模様が珍重されました。

それらは万年筆の素材としても最適な条件です。

プラチナではこのブライヤーに拭き漆加工を施しています。

拭き漆とは漆を布につけて素材に馴染ませるように塗布する技法です。刷毛を使って何度も重ね塗りして木目を際立たせる漆塗りとは違って、防水、汚れ防止のための技法で、表面に漆の層ができるほどではない、自然な風合いに仕上がります。

木の手触りも残り、使い込むことで色変化や艶が出るエイジングも楽しめます。

私はこの万年筆を、当店の万年筆のあり方を象徴するものだとして販売してきました。

細字は手帳に書く時、細くくっきり書くことができるし、中字と太字はその硬いペン先からダイナミックな書き味を得ることができます。

そして木のボディを味わいながら育てる醍醐味。万年筆はただ書くためだけのものではなく、書くことを楽しみながら、そのものを楽しむこともできます。

この万年筆に海外の万年筆のような華やかさはないけれど、静かな楽しみと他にない唯一無二のものを手にしているという満足感が得られるものだと思って、多くの人に趣味性も感じてもらえる万年筆として伝えてきました。

ブライヤー万年筆は長く欠品していましたが、廃番になるということで、今回最後の製作分が入荷しました。

プラチナの最も特長的な万年筆ブライヤー万年筆がこれで最後だと思うととても残念ですが、気になっておられた方はこの機会に手に入れていただきたいと思います。

⇒プラチナ ブライヤー万年筆

「”&” in 横浜」とビスコンティフェア

今週末5/14(土)15(日)は横浜で590&Co.さんとの共同出張販売「“&” in 横浜」を開催しています。

出張販売には私が一人で行きますので、店は通常通り営業しています。店では5/14(土)~29(日)ビスコンティフェアを開催いたします。

フェアの内容は、ビスコンティヴァンゴッホ以上のペンをお買い上げの方にマイペンシステムでの天冠のオプションをサービスでお付けするというものです。

”マイペンシステム”というのは、天冠のロゴマークの部分に、イニシャルなどのアルファベットや宝石のようなレジンに付け替えて、オリジナル仕様にできるというものです。

ビスコンティが操業して40年が経ちました。

初期の限定万年筆の中には伝説の万年筆工房加藤製作所のものもありました。

加藤製作所は、古くから行われていたセルロイドを轆轤(ろくろ)でひくという製法で万年筆を作っていた、大阪市生野区の万年筆工房です。

若い頃、加藤製作所の加藤清さんを何度も訪ねてお話をうかがって、ビスコンティの話もうかがっていましたので、遠いイタリアの万年筆メーカーでありながら、勝手に親近感を持っていました。

世界で話題になって業界を驚かせたビスコンティの万年筆を、実は日本の大阪にある町工場で一人の職人さんが作っていたというのは痛快な話です。そんな職人さんたちとの交流で、色々な事を教わりました。そして今自分は万年筆の仕事をしています。

加藤清さんは、80年代に入って日本での万年筆需要が下火になった頃、中東での販売に切り替えるなど世界を視野に入れて活動されていました。その姿は今の自分の感覚からすると、かなり先に行っているパイオニアだと思います。

ビスコンティとは、海外での取引を求めて出品していた世界的なステーショナリーの展示会で出会ったそうです。

日本のセルロイド万年筆作りを採用していたビスコンティの万年筆作りは常に進化していると思って見てきました。

ペン先の素材の変遷がそれを象徴していて、最初は14金と18金のペン先でしたが、10年ほど前からより柔らかい書き味を求めて、パラジュウムを採用しています。

パラジュウムペン先はとても柔らかく、この書き味を好むお客様もたくさんおられましたが、近年また18金とステンレスに変わっています。デザインへのチャレンジが目立つビスコンティですが、書き味にもこだわって探究していることが分かります。

ビスコンティの万年筆を大きく3つのシリーズに分けてお話いたします。

ヴァンゴッホに代表される、ゴッホの絵画に着想を得て、カラフルなアクリルレジンをボディにしたシリーズ。

キャップがマグネットでロックするという斬新な構造になっていて、ペン先はステンレス製で手頃な値段になるように設定されています。そして絵画のように美しく、様々なバリエーションのボディカラーがあります。

ホモサンピエンスは、尻軸を引き上げて押し込むことで、一気に大量のインクを吸入するダブルタンクパワーフィラーの吸入方式を採用しています。古くからの万年筆好きにはとても魅力的に感じられるシリーズで、私は一番ビスコンティらしさを感じています。

キャップの開閉もネジをグルグル回す仕様ではなく、軽くひねるだけで開閉ができる画期的なキャップ構造になっていて、スマートに書き始めて書き終えることができます。

黄金比をデザインに取り入れた美しいディビーナシリーズは吸入ノブを引き出し、そのノブを回転させることで、インクを吸入する凝った作りになっています。

ビスコンティの万年筆もイタリアの美と遊びの追究を形にしたもので、オーソドックスな万年筆では物足りなくなった人にも、ぜひ使っていただきたいです。

*準備が出来次第、WEBでもご紹介予定です

ペンを立てる2

ボールペンは気体の圧力でインクを押し続ける加圧式のもの以外、ペン先を上に向けて書き続けることはできません。

上に向けて書き続けると先端から空気が入り、インクを分断してしまうからです。そしてそうなってしまうと、もう二度と書くことはできません。

でも万年筆は、ペン先を上に向けた状態、例えば寝転んだ態勢でも書き続けることができます。

これはペン先とペン芯が適度に密着していて、重力に負けない毛細管現象の働きで、ペン芯で保持しているインクをペン先に押し上げているからです。ソファでテレビを観ながら寛いでいる時にふと思いつくことがありますが、そういう時メモするのにも万年筆は使いやすいです。

もちろんペン芯内のインクがなくなれば上に向けた状態では書けなくなってしまいますが、万年筆を立てて置いておいてもすぐに書けるのは、ペン先とペン芯のこのような働きがあるからです。

もう7、8年作り続けている商品で、店でも私の作業机兼接客テーブルに置いて使っているスモークの「ペンテーブル」があります。

これは5本の万年筆を円状に並べ、飾るように置いておけるペンスタンドですが、私はこれにペンを立てることで、万年筆が道具としてより機能的になると思っています。

数ある万年筆の中でも最も使用頻度の高いものをこのスタンドに立てて机上に置いて、用途によって使い分ける。ペンテーブルに立てておくとペンを選びやすいし、取り出しやすい。ペンが立っているので、省スペースでペンの置場を確保することができます。

万年筆を道具として揃える時、まんべんなく細字から太字や極太まで揃えるか、一番よく使う字幅ばかりを揃えるのか迷うところだと思います。

例えば5本用のペンテーブルにどのように揃えるか、私の場合、用途や自分の文字や書き味の好みからMかBのものが多く、日々使う万年筆はそれらがほとんどなので、太いものばかりを立てて、それらを換えながら使いたいと思います。

ペンを立てて飾るだけでなく、道具として活用するのに使いやすいペンスタンドが、ペンテーブル/ペンカウンターです。

バリエーションとして、5本を円状に立てるペンテーブル、3本を横並びに立てるペンカウンター、10本を横並びに立てるロングペンカウンターがあります。

590&Co.さんとの共同出張販売「“&” in 横浜」に、5本用と3本用をお持ちいたします。

⇒木製品TOP

作家さんたちのステーショナリー

出張販売の準備をする時は、自店の強みというかオリジナリティについてじっくり考えます。

小さな店なので品揃えという面ではある程度限られますが、小さい店ならではの強み、お客様のお顔が見える・声が届くということを活かして、お客様が当店に何を期待されているかは分かっているつもりです。

ペン先調整が求められていることは日々感じています。お店へのご来店の他、ペン先調整については毎日お問い合わせがあり、全国からご相談のあった万年筆が届きます。出張販売でもご依頼が多いので、当店の存在価値になっていると思っています。

他には、職人さんや作家さんのオリジナルで、あまり買えるお店がない商品を扱っていることを強みとしていきたい。これはお客様のお声というよりも当店のご提案になりますが、お客様にぜひ共感していただきたい分野です。

システム手帳リフィルメーカーの智文堂さんの商品は、当店だけが扱っているわけではありませんが、智文堂のかなじともこさんは当店のオリジナルリフィルを作り始めたことが今のお仕事のスタートになっていることもあって、深いご縁を感じています。

智文堂のシステム手帳リフィルの使い方を説明した、全頁かなじさんの美しく読みやすい手書き文字で構成されている小さな本「ZINE」や、かなじさん手作りのバインダーに収められたスターターキットなど、かなじさんのハンドメイド商品は智文堂の真骨頂で、M6サイズシステム手帳を使っている人、これから使いたいと思っている人にはぜひ見ていただきたいものです。

智文堂さんのシステム手帳リフィルを扱っていることは、今も当店の強みで自慢なので、各地の出張販売にもお持ちいたします。

このリフィルは万年筆との相性も考えて選ばれていて、インクの収まりが良く手応えのある書き味の紙です。

そしてもう一つ、私が安心して皆様にお勧めできる紙を使用したバイブルサイズのリフィルも扱い始めました。書き味がとても良く、にじみや裏抜けのほとんどない、吉川紙商事さんのノイエグレーという紙のシリーズです。

システム手帳リフィルは、横罫、方眼、ドッド方眼、無地のベーシックなラインナップです。薄いグレーの紙はブルーのインクとの相性が特に良く、美しく引き立ててくれます。印刷もきれいにできるので、自分でオリジナルリフィルを作る方にもぴったりの紙だと思います。

他に探していたのはM5サイズのシステム手帳でも使える小さなスタンプで、男性でも気兼ねなく使えるシンプルなものを探していましたが、どこにもありませんでした。

そんな時、佐野酒店という屋号で活動している佐井健太さんに相談して作っていただいたのが、手帳用項目スタンプです。

本当は120種類もの項目スタンプが存在しますが、当店のお客様に選ばれそうなものを選んで扱っています。

佐井さんはアールデコ、アールヌーボー調のクラシックなデザインを得意としていて、フレーム模様やL字型のスタンプも作られています。なかなか実際見ることが難しい、佐井さんのスタンプも出張販売に持って行きます。

万年筆の良い書き味を感じていただく以外にも、ステーショナリーの様々な楽しみ方をご提案して、それを使う方の毎日をより豊かなものにする役に立ちたいと心から思います。

⇒智文堂TOP

⇒バイブルサイズリフィル・ノイエグレー

⇒佐野酒店・レーザーワーク木製ステーショナリー

オーソドックスで素朴なデザインの万年筆~クレオスクリベントクラシック~

5月14日(土)15日(日)に590&Co.さんと共同開催する出張販売“&in横浜”  https://www.p-n-m.net/?tid=5&mode=f15 まで1か月を切りました。

ペン先調整、万年筆の調整販売をご希望の方は、こちら(当店HPの予約フォーム)から→ Pen and message. (p-n-m.net) ご予約をお願いいたします。商品のご購入などは、予約の必要はありませんので、お気軽にお立ち寄り下さい。

出張販売にお持ちする商品は、なるべく種類を多くと思っていて、オリジナル商品、革製品、木製品、システム手帳リフィル、スタンプ、インクなどの準備を進めています。

万年筆は私がお勧めしたいスタンダードなデザインのものを中心にと考えていて、特にクレオスクリベントをある程度種類を揃えて持って行くつもりです。

派手なもの、押し出しの利いたデザインのものが持てはやされる現代において、クレオスクリベントはシンプルで素朴なデザインのものが多く、それが特長的でもあります。

万年筆においてそういうものは本当に少なくなりました。

金ペン先の万年筆で素朴なものというのは本当になくて、クレオスクリベントクラシックはまさにこれだと思いました。飾り気がなく、とてもシンプルな素朴な万年筆は懐かしささえ感じさせてくれる万年筆です。

使ってみると少し長めであまり太くないボディはとてもバランスが良く、自由自在に操れる感じがし、通好みの渋い万年筆だと言えます。モンブランNo.24などの1960年代の、万年筆が実用品だった時代の万年筆に通じる雰囲気を持っていると思いました。

クラシックゴールドというモデルが金ペン先を備えたものですが、銀色の金具のクラシックロジウムはEFのみ14金ペン先仕様という変わり種です。

コストパフォーマンスも高く、1本持っていてもいいモンブラン、ペリカンなどと個性がかぶらない万年筆だと思います。

クレオスクリベントは横浜だけでなく、札幌、東京、福岡などの出張販売でも持って行く予定です。

東ドイツの慎ましやかな国民生活をイメージさせる、クレオスクリベントの今の万年筆にはない素朴で実用本位な趣も、魅力的だと思っています。

⇒クレオスクリベントTOP

サドルプルアップレザーの文庫カバー

若い頃は実用書やビジネス書など、何かのためになりそうな本ばかり読んでいました。昼食代を浮かせては本を買って、それを自分へのささやかな投資にしていた。

それらを読むことで自分の仕事が良くなると信じていたし、いずれそれらが自分の血となり肉となると思っていました。実際に仕事に対する考え方や心の持ちようなどは、本から教わったこともあると思います。

その頃からだいぶ齢をとって、今ではもっと幅広いジャンルの本を読むようになりました。小説も読むようになって、読書を今まで以上に楽しんでいます。

通勤時間は集中して本が読める大切な時間で、片道1時間弱のこの時間を楽しみにしています。電車の中でスマホで音楽を聴いたり、映画を観たりするのと同じように、読む人によって見える情景の違う「本」というエンターテイメントを楽しんでいます。

通勤で読むのは文庫本や新書が中心なので、内容や厚みに合わせていくつか持っている文庫本カバーを選んで使っています。

本が好きな人ならきっと私と同じようにブックカバーを取り替えて使うだろうと思って、厚み調整のついていない嵌めころしタイプの文庫カバーを作りました。その方がピッタリ合ったら持ち心地も良いし、見た感じもかなりスマートになります。

イメージしたのは少し厚め、2センチ程度の厚みの本がピッタリ合うようにしています。きっと皆さんのお手元にも合う本があると思いますが、身近なところで言うと新潮文庫の司馬遼太郎の「関ヶ原」などがピッタリです。

他にも例えば厚みの合う文庫サイズのノートを探してみると、本革ノートにもなります。

製作してくれた若い職人さんは、持ち心地の良さを狙ってなるべくステッチが外側を通るようにしてくれています。その方が文庫本とカバーの一体感が増しますし、細かく正確なステッチはブックカバーにより端正な趣を与えてくれています。

最近は、文庫本でも栞のついていない本があります。読み始めてしまってから困ることがあって、そういう経験から今回は栞も作っていただきました。ブッテーロの端材で作った栞は、ブックカバーの内側と同じ素材なので、統一感もあってセットしておきたくなります。

革で商品を企画すると、端材でも何か作れないかと考えます。周りにいる職人さんたちはそういう意識を持って取り組んでおられる方が殆どです。端材なので作れるものには限界があるけれど、大切な資源を無駄にすることなく使いたいと思っています。

サドルプルアップレザーは、滑らかな手触りとタフな質感を併せ持った革でとても気に入っています。実用と美しさを兼ね備えた、理想の文庫カバーができたと思っています。

⇒サドルプルアップレザー 文庫カバー

M6サイズジョッター

お客様と話している時に、メモしたいと思ってもノートや手帳を開くことが憚られます。小さなメモ帳であっても「取り出して開いて書く」という行為が相手の話を遮ってしまうような気がするし、厚いシステム手帳や大きなノートなら尚更です。

昨年11月当店に泥棒が入った次の日、予定していた旅行に半ばヤケクソで出掛けましたが、その旅先でメモジョッターの代わりになりそうなものを見つけました。それをアレンジしてペンホルダーをつけて使っていましたが、これだとお客様と話している時でも自分の精神的抵抗が少なく、とても快適に使うことができました。ジョッターという存在をもっと早く思い出すべきでした。

メモジョッターは、情報カードが使われていた時代にはよく使われていたもので、昔から微妙に違う様々な形のものが作られていましたし、私もいくつか使ってきました。

シンプルなだけに使い勝手は良く、取り出してすぐに書くことができて、薄いのでジャケットのポケットやシャツの胸ポケットに入れておくこともできる。

自分なりにアレンジしたものを半年ほど使ってみましたが、皆さんにお勧めできるものだと思いました。そこでM6手帳を作ってくれた若い職人さんに、M6リフィルと5×3カードが入り、ペンホルダーが付いたジョッターを作っていただきました。その革には、丈夫で美しい銀面を持つサドルプルアップ(チョコ)と、エージングで滑らかな手触りと美しい艶が出るブッテーロ革(ワイン)の組み合わせを選びました。

筆記面と背面がサドルプルアップレザーのものは、紙押えとペンホルダーがブッテーロ。

筆記面、背面がブッテーロのものは、紙押えとペンホルダーがサドルプルアップレザーになっています。

M6用紙と5×3情報カードでは、M6の方が少しだけ幅広ですが、共用で使えるようになっています。

ジョッターの使いやすさのポイントは、紙のセットのしやすさと挟んだ紙の外れにくさだと思っていて、それを満たしたものを職人さんが形にしてくれました。今までこんなに紙がセットしやすいジョッターに出会ったことがありません。

ペンホルダーの一部が紙押えも兼ねていて、これがこのジョッターオリジナルのアイデアになっています。シンプルでとても使いやすいものになりました。

写真で目立つように撮りましたが、革を3段重ねたコバの部分も気に入っています。

私はジョッターに挟んだ紙にその日のメモをいくつも書き込んでおいて、それを家に帰ってから整理してM6システム手帳に転記しています。

厚めのM6用紙だと12枚程度が予備の紙を収納できるスペースに入るので、出先でメモを使い切ってしまう心配もないと思います。

人それぞれメモの使い方があると思いますが、ジョッターは薄くて邪魔にならないという点、表紙のないシンプルな構造であるという点において、様々な使い方に対応する究極のメモ帳としてステーショナリーの定番的な存在だと思っています。

ジョッターはステーショナリーの定番ではあってもマイナーな存在で、今まで仕様にこだわって、良い素材を使ったものは少なかったと思います。当店も5年ほど前にノートカバーの付属品としてしか作っておらず、復活させたかったステーショナリーのひとつでした。

このジョッターのペンホルダーに収まるペンは細めのものをイメージしました。あまり太いペンだとかさ張ってしまって、ジョッターの使いやすさを阻害してしまいます。

イメージしたのは、ファーバーカステルクラシックのボールペン、ペンシルや時計作家ラマシオンの吉村さんがハンドメイドで作っているgate811のボールペン、あるいは鉛筆など9.5mmほどのペンがピッタリ合います。

昔から使われていたけれど、最近あまり使われなくなったものの中にも良いものはたくさんあります。ジョッターもその一つで、こだわった良い素材で、しっかりした良い作りのものができたと思っています。

⇒M6サイズジョッター