両店の個性を際立たせる

先日代官山で590&Co.さんとの共同開催による出張販売をしました。

代官山という落ち着いた大人の街が好きで、コロナ前までは毎年出張販売で訪れていました。3年ぶりに再開した出張販売でも代官山は外せないと思いました。

徒歩3分ほどの距離にそれぞれがギャラリーを借りて、両店それぞれで3300円以上お買い物して下さった方には、オリジナルミニエコバックをプレゼントしました。そうやって双方をご案内したせいか、両店を訪問して下さるお客様も多かったので、両店の参加が決まっている京都手書道具市・神戸ペンショーでも企画するつもりです。

このミニエコバックは、大和出版印刷さん、谷本さんの分度器ドットコムさん、当店の共同プロジェクトのオリジナル正方形ダイアリーが革カバーごとちょうど入るサイズです。

私は正方形ダイアリーをこのバックに入れて持ち歩きたいと思っていますが、皆様も何かの用途を見出していただければ何よりです。

いつもは東京に来ても、代官山周辺をウロウロするだけで神戸に帰ってしまいますが、今回は谷本さんと表参道でギャラリーを経営しているAさんを訪ねました。

そのギャラリーは、表参道と青山通りの交差点からそれほど離れていない静かな場所にありました。

新しくきれいな小じんまりとしたギャラリーは、人が4人ほど入ればいっぱいになるくらいのスペースで、いい空間でした。やり方次第で、心を通わせるいい場所を作ることができるかもしれないと思いました。

私も谷本さんも出張販売ではたくさんの商品を持ち込んで、借りたギャラリーいっぱいに商品を並べるというやり方をしているので、何か考え方を変えないとこういういい空間で出張販売はできないかもしれない。でも何かやりたいと思わせるAさんのギャラリーでした。

ギャラリー見学の後、Aさんの案内で表参道の裏手を色々歩いて見て回りました。

日本における最先端の情報を発信している街にあるお店は、どこもこだわりを持ってここで営業しているように見えます。ここに立ち並ぶお店のやり方に対して、私たちの出張販売や普段の営業はどうなのだろう。

もちろん、地方都市神戸にある当店と表参道の店ではやり方は違って当然だと思うけれど、もしかしたらすごく泥臭いやり方をしているのかもしれない。

賑やかな表参道周辺を歩いていろんなものを見ながら、自分たちの仕事について考えることができました。

Aさんには今回とてもお世話になりましたし、食事に同席して下さったKさんのお心遣いにも感謝しました。久し振りの上京が思い出深いものになりました。

590&Co.さんとの共同開催の出張販売を続けて、成功させるためには両店の個性は際立っている方がいいし、扱う品物も違う方がいい。神戸の実店舗も歩いて3分ほどの距離にあるので、重なる部分はなるべく少ない方がいいと思う。

当店の取引先は少ない方だと思いますが、その分強いつながりを感じさせるものをお客様に示したいと思っています。

同じ元町にある革小物を扱うお店、フリースピリッツさんのレンマバルコペンケースを扱い始めていて、代官山でも好評でした。

ミネルヴァボックスで有名なイタリアバタラッシィカルロ社によるプエブロレザーは、ミネルヴァボックスと同じようにはじめはマットな質感ですが、使い込むと艶が出てきて、劇的な色変化をします。少し小振りで、女性の鞄でも入るちょうどいい大きさと安定感のある形をしています。大きく滑らかに開くファスナーが付いている、使いやすいペンケースです。

神戸の工房で隅々まで気を配って丁寧に作られているペンケースは、細々とした雑多な文房具を入れてもいいし、大切なペンを当店のレザーケースSドーフィンに入れて、このファスナーペンケースにさらに入れてもいい。

当店は、こういうものを増やしていくべきなのだと改めて思っています。

⇒レンマ バルコペンケース(ペンケース3本以上収納TOPへ)

⇒レザーケースSドーフィン

~理想のペンシース~レザーケースSドーフィン

万年筆と同じようにボールペンも大切にしたい。

しょっちゅう買い替えていろんなものを使うわけではなく、これと思ったものを長く使いたいと思っています。

10年以上使ったのは、ファーバーカステルクラシックエボニーのボールペン。とても美しいボールペンで、この姿が気に入って万年筆とセットで使っていました。

昨年からはS.Tデュポンの、ディフィブラックブラッシュコッパーボールペンを使っています。

このボールペンを使い始めたのは、銅とブラックの組み合わせに惹かれたからです。デザインは私の持ち物の中では先鋭的なものですが、持ち心地の良さと素材に強さが感じられて気に入って使っています。

こういう気に入ったボールペンをそのまま持ち運ぶのではなく、ナイフを収める鞘のように、そのペンをより美しく見せてくれるケースに入れて持ち運びたいと思います。

ボールペンをより美しく見せてくれる、理想的な形の1本用のペンシース「レザーケースSドーフィン」を作りました。

よくあるタイプのペンシースかもしれませんが、微妙なラインにこだわったので、無駄がなく鋭い、美しい形のものができたと思います。

作ってくれたのはM6システム手帳やジョッターなどをお願いしている職人さんで、私のラフなスケッチから姿の良いイメージ通りのシースを作ってくれました。

使っている革はフランスの老舗タンナーレギャーマンのドーフィンという革で、エンボス加工した革に熱を加えて強くプレスした、張りのある、とても上品は印象の革です。

この革の張りがこのケースをより立体的で美しいものにしてくれていますが、これから色々な素材で作ってもらおうと、イメージを膨らませています。

ボールペンにピッタリな細めのペンケースですが、細い万年筆や小振りな万年筆(M400まで)も収めることができます。創業直後から当店を支えてくれた愛嬌あるデザインのカンダミサコペンシースは、すでに多くのお客様にお使いいただいています。そのペンシースととともに、選択肢が増えたと思っています。 

ペンを手に入れた時に一緒に使いたくなるレザーケースがまたひとつ新たに出来上がりました。

⇒Pen and message. オリジナルレザーケースS ドーフィンレザー

2012-2022・プラチナセンチュリーディケイド

プラチナはセンチュリー万年筆発売10年を記念して、センチュリーディケイドを発売しました。

10年前2012年は当店は創業5年のまだ始まったばかりの店でした。

創業15年経っても、まだ世の中の色々な流れに流されそうになったり、迷ったりしているけれど、それはきっと何年経っても変わらないのだろうと思います。

15年やってきたという感慨のようなものはあり、その15年の一部である10年を記念した万年筆には、その期間を共にしたという思い入れを持ってしまいます。

それにしても10年なんてあっという間だった。

半透明の軸で、重厚な黒金が多い国産万年筆とは一線を画したセンチュリーを発売したこと自体、プラチナの挑戦だと思いました。でも今では世の中に認知されていると思うし、このペンで万年筆を使い始めたという人を多く見てきました。万年筆を使う人を増やすことに大きく貢献した万年筆だと言ってもいいと思います。

センチュリーディケイドは、センチュリー万年筆の前作3776の最初のモデル「3776ギャザード万年筆」のギャザードボディをデザインとして取り入れたという特長もありますが、ペン先が新設計のものであるというところにプラチナの意気込みを感じますし、これからのプラチナの万年筆を予告しているとも思います。

筆圧のコントロールが要らないという使いやすさを考慮した、かなり硬めのセンチュリーのペン先よりも、ディケイドのペン先は穂先が細く長くなっていて、しなりを感じるものになっています。

センチュリーのがっしりとした感触も感じられるので、ペン先の厚みは変わらないと思いますが、硬い中に弾力を感じさせる、より昇華した書き味をディケイドで味わうことができます。

キャップの閉まりの感触も良いフィーリングをしていて、作り込まれた上質さのようなものを感じることができます。

やはりこの万年筆はプラチナのこの10年の集大成、そしてこれからの10年を期待させてくれるペンなのだと思います。

自分なりに激動だったと思い、あっという間に過ぎた10年を振り返るのは、手帳や日記、アルバムでもいいけれど、1本の万年筆でもいいのかもしれない。

ディケイドはそれぞれの人のそれぞれの10年を物語るペンになると思います。

⇒#3776 センチュリー 発売10周年特別限定モデル「ディケイド」

オリジナルM6手帳に合うボールペン

オリジナルM6手帳は、美しく見える姿にこだわって作っていただきました。

自然で無理のない姿を追究したら、オーソドックスなサイズ感になっていきました。

同じ型でサドルプルアップレザーとシュランケンカーフの2種類を作っていて、濃厚な雰囲気のものが好きな人と、スマートで洗練されたものが好きな人、両方の好みをカバーできるようにしています。素材を変えたら全く違う雰囲気の手帳になりました。

それぞれ別売で同素材のペンホルダーも作りました。そこに合わせるペンを考えていくと、どちらもモダンなデザインのものよりもクラシックな印象のモノの方が合うようです。個人的には、素材で言うとステンレスよりも樹脂系の方が合うと思いました。

私も今年からオリジナルのM6システム手帳を愛用していて、はじめはペリカンM400や古いエボナイトの万年筆を差して使っていましたが、すぐに書き込むことができるボールペンをこの手帳のペンホルダーに差しておきたいと思うようになり、今はファーバーカステルクラシックのボールペンを差しています。

ファーバーカステルもこの手帳の雰囲気に似合っていてとても気に入っていますが、手帳なので色分けして書き込みたい人もいるかもしれない。そう思って、この手帳に合う複合ペンも探してみました。

ボールペン黒赤とシャープペンシルなどが1本に入った複合ペンは日本製の独壇場と言って良いのですが、この手帳に合うクラシックなデザインのものは見当たらなかった。

海外のものに目を向けてみると、シャープペンシルはついていないけれど、ラミー2000の4色ボールペンはよく合っていました。

でももっとクラシックなものを探して行き当たったのが、カヴェコのディアマルチペンでした。

歴史のあるカヴェコのペンはたくさんの種類が発売されていて、カジュアルなイメージがありますが意外とクラシックなデザインのものも多い。ディアはそんなカヴェコの中でも50年代のペンの趣を持ったシリーズです。その中にまさかマルチペンがあったとは。

やっとこの手帳に合う複合ペンが見つかったと喜んでいましたが、ディアマルチペンは廃番が予定されていて、輸入元に残っているものだけとなります。

出会うのが遅かったのかもしれませんが、完全に無くなるまでは当店で扱っていきたいと思っています。

手帳とペンをコーディネートするのは楽しい。それは服装などと同じかもしれません。 大した服装をしているわけではありませんが、好きな靴を履いて、ファストファッションのものも取り入れて、好きで買った違うブランドのものを組み合わせて、自分らしいカッコができたら、それだけで出掛けるのが楽しくなります。

手帳に合うようにコーディネートしたペンを持って、出掛けていきたいと思います。

⇒カヴェコ ディア マルチペンゴールド

非金ペン先思想

万年筆は金ペン先であって欲しい、という想いを私たちおじさん世代は持っています。9金は嫌だけど、14金でも18金でも21金でもいいから、金ペン先の万年筆を使い込んで、そのペン先が育って柔らかくなっていくのを感じたい。

そこまで思わなくても、どんなにカッコいいデザインの万年筆でも、ペン先が鉄ペンだと候補から外れてしまうのが我々の世代でした。

それは時計が機械式であってほしいという、実用から離れたロマンのようなものに似ているのかもしれません。でも金ペンは非金ペン先にはない柔らかな書き味を持っているものもあるので、実用から離れたとは言えないけれど。

当店も金ペン先のものにこだわって扱ってきましたが、時代は変わってきていると思います。お客様にも、金ペン先でなくてはいけないというこだわりを持たない人が増えてきました。

非金ペン先の万年筆でも、良い書き味のものが出てきたということもありますし、非金ペン先であることで、良いデザインのものが安く買えるようになってきたということも理由なのだと思います。

金ペン先へのこだわりを捨てるつもりはないけれど、それ以上に今の時流に合っていない店にはなりたくないという想いの方が強いので、そういうものも取り入れてご紹介していきたいと思っています。

非金ペン先の万年筆が万年筆を趣味とする人に認められ出したのは、台湾のメーカーが質の良い魅力的な非金ペン先の万年筆を発売し出したからではないかと思います。

デザインに個性があって、しっかりした品質の万年筆を安い値段で発売したからこそ、世界中のお客様に受け入れられたのだと思います。きっと今まであった万年筆の価値観とは違う考え方で台湾の万年筆は作られているのではないだろうか。

台南ペンショーで、当時まだ日本で流通していなかったペンラックスを見かけてぜひ扱いたいと思い、ペンラックスのブースでgoogle翻訳と日本語で必死に話そうとしてドン引きされたことは苦い思い出だけど、今では縁あって日本の輸入代理店を通してペンラックスを扱っています。

最初に扱ったグレートナチュラルシリーズは、私のこだわりでわざわざ金ペン先に交換してもらいましたが、今は現地仕様のままで、スチールペン先の安い価格で販売することがこのペンらしいと思っています。

ペンラックスの新しいシリーズ、デルガドコレクションが発売されました。

モンブラン149とほぼ同じサイズのオーバーサイズ万年筆が中心だったペンラックスでしたが、スペイン語で「細い」を意味する「デルガド」コレクションは、モンブラン146ほどのレギュラーサイズの万年筆です。

華やかなデザインで存在感があるので、小さくなったことに気付かないくらいですが、手の大きくない人にはこれくらいのサイズの方が握りやすい。

今回採用したレジンの柄の効果もあると思いますが、ペンラックスの万年筆はさらに洗練されています。

アルミ削り出しで作られている丈夫な吸入機構はオーバーサイズのグレートナチュラルシリーズと同じで、ペンラックスのこだわりがデザインだけでないことが分かります。

ペンラックスデルガドコレクション、美しく魅力的な万年筆を多くの人に使ってもらえる価格で販売するには、非金ペン先でなければ実現できない。それがペンラックスの万年筆作りの思想なのだと思います。

⇒デルガドコレクション エウプロエア

⇒デルガドコレクション ベタ

札幌出張販売とローラー&クライナー

札幌の出張販売では、様々な海外のインクを卸販売している北晋商事さんのギャラリーをお借りしました。普段はオリジナルプリントの写真作品を展示されています。

狸小路6丁目という、神戸で言うと元町通6丁目くらいの商店街を行ききったところですが、200万都市札幌の中心にある商店街なので人通りも多く賑やかな場所で、その通りに面した建物の2階にそのギャラリーはあります。

北晋商事さんがいなければ、北海道で出張販売ができると思えなかったかもせれません。

他の業種の仕事をしていた北晋商事さんがインクの仕事を始めたのは、当店が創業したのと同じくらいの時期でしたが、当店は何も変わっていないのに対して、北晋商事さんは今では日本中のお店にインクを卸しているとても有名な会社になっていて、社長の商才の違いでこんなにも差が出るのだと思いました。

金敦也社長の奥様の申修靜さんがカリグラファーで、インクやカリグラフィ用品の輸入を始めたのが始まりだったそうですが、当時は万年筆のインクが今ほど目立った存在ではなかったので、金社長には先見の明があったのかもしれません。

北晋商事さんが輸入するインクの中心となっているもののひとつがローラー&クライナーです。

少し前発売されてあっという間に完売してしまった、ローラー&クライナーの「青騎士」という限定インクがありましたが、その企画を10年前に持ち込んだのが金社長です。先日の青騎士は10年ぶりの第二弾でしたが、最初に発売した青騎士という企画インクがあったから、ローラー&クライナーは毎年何らかの限定インクを作り続けているのだと思います。

ローラー&クライナーのインクについては、私も最初ピンとこなかったけれど、お客様からの情報もあって当店でも扱いたいと思い、直接電話して取引を申し込んだのが金さんとのお付き合いの始まりでした。

特徴的な色のセンス、どの紙にも使える筆記性能、安心して使える品質、コストパフォーマンスの高さなど全て兼ね備えたインクで、信頼できるインクのひとつになっています。

私自身がインクを選ぶ時、最近はメーカー純正、当店オリジナルインク、ローラー&クライナーの中から選ぶようになっています。もうひとつの当店のオリジナルインクのように思うようになったのは北晋商事さんとのご縁もありますが、それを抜きにしても純粋にお客様にお勧めしたい良質なインクです。

今回の出張販売でも、最も売れていたインクはローラー&クライナーで、新しいインクが次々と出てくる中、その人気は不動のものだと思いました。

1892年にインクの製造を始めたローラー&クライナーは、今年ちょうど創業130年という節目の年を迎えていて、バーディーグリーズ、サリックス、スカビオサなど全てインクの中でも定番と言える存在を持つほど力のある会社になっています。

カリグラフィー、絵画を描く人、万年筆を使う人のために良質なインクを提供すること、環境にも配慮したモノ作りをする心を持っていて欲しい、と万年筆やその周辺のモノを作る会社に対して思います。

万年筆というのはやはり自分達の生き方を表現するモノだと思うから、尊敬できる会社に作っていてもらいたい。ローラー&クライナーもそんな風に思える会社のひとつです。

⇒ローラー&クライナ- ボトルインク

折りたたみ式のリフィル

今年はメインの手帳として、M6サイズのシステム手帳を使っています。

手帳としては小さいけれど、スケジュールやToDo、覚書を書いておくには十分なサイズで、原稿などはノートに書くようにするなど、必要に応じて使い分けることでM6サイズでも充分仕事で使えると思いました。

仕事中ジョッターなどにさっと書いたメモを、夜M6システム手帳に転記するというのが習慣になっていて、1日の復習と明日への予習の時間になっています。

小さなM6サイズを使っているためか、手帳という小さな限られた紙面を2倍、3倍と広げてくれる折り畳み式のリフィルが好きです。メモにはあまり向かないかもしれませんが、データの一覧性や長期的なスケジュールを把握する時などに有効なリフィルだと思っています。

当店で扱っているものだと、智文堂さんのカレンダーリフィルが折り畳み式で、バイブル、M6、M5の3サイズあります。

智文堂さんの折りたたみ式カレンダーの日付割は少し変わっていて、7月から始まり表面は12月で終わります。裏面は1月から6月なので、7月始まりカレンダーということになります。

こういうレイアウトだと何ができるかというと、2年目からは左ページが1月から6月、右ページが7月から12月となり、見開きで1年が見渡せるようになります。

見開き1年のカレンダーなので、1日ずつのスペースは小さくスタンプなどを押しての使い方が良さそうです。

年明けまでにほとんど売り切れてしまいますが、あたぼうさんの「じゃばらんだ」というカレンダーリフィルも折りたたみ式のリフィルです。シンプルなブロック式のレイアウトで表面が1月から6月、裏面が7月から12月の両面1年のリフィルになります。

先日あたぼうさんから、じゃばらんだのノウハウを生かした折りたたみ式のガントチャートリフィルが発売されました。

ガントチャートはタスクごとに進行具合を確認するための表で、横軸に1から31の数字(日付)、縦軸にはタスクを記入する欄があります。

私たちのような立場の者が売り上げや仕入れ、経費などをつけて管理するのもいいと思います。私も何かに使いたいと思い、早々に買い込んであれこれ考えを巡らせています。

折りたたみ式のリフィルの良いと思うところがもうひとつあります。

システム手帳は普通、リング径によって挟める紙の枚数が決まっています。折りたたみ式のリフィルだと、リングに1枚挟んでいるだけで厚みが出るので、少ない枚数でも手帳が厚くなるのです。これは手帳をなるべくぶ厚くしたい私の好みかも知れません。

当店ではカンダミサコさんにブッテーロ革のペンホルダーや下敷きを作ってもらっています。革下敷きは滑りすぎない柔らかい書き味で好評ですし、用紙を綴じたままスタンプを押すときにも印マットのように使えます。

個人的にラップ型ペンホルダーという2つ折りのペンホルダーを、折りたたみ式リフィルの下敷きとして使ってみたりして、手帳は個人の工夫で様々な可能性があります。それが手帳を使う楽しみなのだと思います。

⇒じゃばらんだ Gantt M5サイズ

⇒じゃばらんだ Gantt M6サイズ

⇒じゃばらんだ Gantt バイブルサイズ

つるしの調整済み万年筆

入荷時にチェック・調整した万年筆を座って試し書きしていただいて、選ばれたものをその方の書き方に合うようにペン先調整してお渡しする、ということが当店のスタンダードです。

創業以来そうしてきて、それが当たり前だと思ってきました。

でも中には人前で字を書くことが嫌な人がいるかもしれないし、調整済の万年筆は使ってみたいけれど気軽に買えないと思っている人もいるかもしれません。

6/4(土)に参加予定のNANIWA PEN SHOWでは、調整済の万年筆を気軽に買えるようにしようと思いました。

今回はツイスビーのECOとダイヤモンドクリア、新製品のダイヤモンドホワイトローズゴールドを調整してご用意しました。

ツイスビーはばらつきの少ない厳しい検品体制をとっていますが、メーカーでは許容範囲内として出荷されるペン先のわずかな食い違い、ペン先とペン芯の隙間などを細部まで調整して、一番良い状態にした万年筆を箱に入れたまま販売します。お客様はそれをレジに持って行くだけで、ご購入していただけるようにしています。

細部にこだわって調整したペンはやはり滑らかな書き味で、きっと喜んでいただけるだろうと思っています。

ペン先調整の需要の多さは日々感じています。それはペン先調整のために当店に送られてくる万年筆の数や、調整のお問い合わせの多さに表れていて、お客様方から求められていることだと思います。

ペンショーというたくさんの人が行き交う場所では、ゆっくり座って万年筆を試し書きをしていただくということに限界があると思っていました。そこでペンショーらしい万年筆の販売方法として、調整済み万年筆のつるし販売をしてみたいと思いました。

これによって、私は神戸で店をしながら、ペンショーで二人のスタッフだけでも当店らしく万年筆を販売できます。

ツイスビーは先日円安の影響による値上げがありましたが、そのコストパフォーマンスの高さはまだまだあります。

最も安価なECOは雑貨感覚で使える手軽な万年筆で、今までの豪華で重厚な万年筆の価値観とは違った軸にいる万年筆です。雑貨感覚とはいえ、日本語にも合っているペン先と思います。

これから万年筆は、こういう雑貨感覚なものと、ジュエリーのような装飾性やステイタスを追究したものとに二極化していくのかもしれません。

ダイヤモンドはバランスの良さと、柔らかい書き味の大きなペン先を持つ本格的な万年筆です。今の万年筆の価値観の中でツイスビーとして最良のものを目指したものがダイヤモンドだと私は思っています。

ペンショーでは使ってみたいと思われる万年筆を気軽に買っていただけたらと思います。

NANIWA PEN SHOWは当日準備して、オープンし、当日撤収するという各店舗体力勝負になりそうなタフなイベントで、当店も気を引き締めて臨もうとしています。

AURORAアンビエンテ・デゼルト

私たちの仕事は万年筆やステーショナリーを販売することですが、それらの販売を通して伝えたいメッセージをそれぞれの店が持っていると思っています。

逆に言えばそのメッセージに合ったものを選んで品揃えするのがお店で、私たちが何も言わなくても品揃えはその店のメッセージを雄弁に語っています。

当店の品揃えにおいて外せない大切な存在のひとつがアウロラです。

アウロラは自分でも使っていますが、安心して使うことができる機能性と、使っていて楽しい、持っていることが誇らしくなるような程よい華やかさのあるペンだと思っています。

仕事でアウロラのペンを取り扱っているうちに、アウロラをはじめとするイタリアのメーカーは、修理に対する考え方が手厚く、直しながら長く使うことを考えていることが分かりました。

その方がお客様は次もそのメーカーのペンを使いたいと思ってくれるし、本来万年筆とはそういうものだと思いますので、イタリアのメーカーの修理の対応はとてもスマートで、洗練されたものに感じます。

手厚い修理が可能なのは、全ての部品を自社で一貫生産しているからです。それは今のモノ作りからするとあまり効率の良い方法とは言えず、たくさんの種類のペンを作ることができません。だけど自社で全ての部品を作っているからこそ、いつでも修理の対応ができる。

アウロラの自社一貫生産のポリシーは、コロナ禍で流通が止まって他社がモノ作りができなくなった中、変わらずペンを供給し続けていることでひとつの正しさが証明されました。万年筆を通して仕事の教訓になることがよくあるけれど、またひとつ大切な教訓を得たと思いました。これは後世に語り継がれてもいいことで、アウロラはまたひとつ伝説を作った。

アウロラの未来に遺したい地球の自然シリーズアンビエンテの「デゼルト」が発売になりました。

灼熱の砂漠をイメージした少し赤味がかったオレンジ色のボディは、以前発売したマーレアドリアの甘めのオレンジとは違う色で、このペン専用のアクリルレジンが使われています。

この、テーマに沿ったアクリルレジンの色作りがアウロラのペンの真骨頂で、今までにも数々の名品を作ってきました。

軸の美しさがアウロラの万年筆では目立つ部分ですが、私は書き味においてもアウロラは優れていると思っています。

ペン先の寄りが適切に調整されて、エボナイトのペン芯がピッタリとペン先に沿った時のアウロラの深みのあるいい書き味は、現代の万年筆の中でも最もいいもののひとつだと思います。

私はどうしてもアウロラについて語ることが多くなってしまいます。

それはアウロラのペン作りの精神から多くのことを教えられるからで、アウロラは私にとって仕事の教科書になっています。

⇒AURORA アンビエンテ・デゼルト

最後のプラチナブライヤー万年筆

プラチナブライヤーはプラチナ萬年筆らしい、日本の万年筆らしい他にない渋い名品だと思っていました。

硬めのペン先は筆圧の影響を受けにくく、濃さの均一な文字を書くことができます。

勘合式のキャップはこのクラスの万年筆としては珍しいですが、素早くキャップの開け閉めができるので仕事でも使いやすく、少し書いてはキャップを閉じる、会議や打ち合わせでとても重宝するものだと思います。

そして最も特徴的なのはブライヤーのボディです。

ブライヤーはシャクナゲ科の植物の根の瘤部分です。石がたくさん埋まった土の中で根はそれらにぶつかり、ねじれながら伸びることで硬くなり、ブライヤーの特長である複雑な模様になります。

ブライヤーはパイプの素材として有名です。硬くしっかりした質感と、目が詰まっていることで質量が高くなり、適度な重量感があります。長い時間、手の中で感触を楽しみながらタバコを燻らすパイプには適していた素材と、唯一無二の美しい模様が珍重されました。

それらは万年筆の素材としても最適な条件です。

プラチナではこのブライヤーに拭き漆加工を施しています。

拭き漆とは漆を布につけて素材に馴染ませるように塗布する技法です。刷毛を使って何度も重ね塗りして木目を際立たせる漆塗りとは違って、防水、汚れ防止のための技法で、表面に漆の層ができるほどではない、自然な風合いに仕上がります。

木の手触りも残り、使い込むことで色変化や艶が出るエイジングも楽しめます。

私はこの万年筆を、当店の万年筆のあり方を象徴するものだとして販売してきました。

細字は手帳に書く時、細くくっきり書くことができるし、中字と太字はその硬いペン先からダイナミックな書き味を得ることができます。

そして木のボディを味わいながら育てる醍醐味。万年筆はただ書くためだけのものではなく、書くことを楽しみながら、そのものを楽しむこともできます。

この万年筆に海外の万年筆のような華やかさはないけれど、静かな楽しみと他にない唯一無二のものを手にしているという満足感が得られるものだと思って、多くの人に趣味性も感じてもらえる万年筆として伝えてきました。

ブライヤー万年筆は長く欠品していましたが、廃番になるということで、今回最後の製作分が入荷しました。

プラチナの最も特長的な万年筆ブライヤー万年筆がこれで最後だと思うととても残念ですが、気になっておられた方はこの機会に手に入れていただきたいと思います。

⇒プラチナ ブライヤー万年筆