札幌出張販売報告と万年筆の軸を洗浄する際の注意点

札幌出張販売報告と万年筆の軸を洗浄する際の注意点
札幌出張販売報告と万年筆の軸を洗浄する際の注意点

本題に入る前にご注意いただきたいことをお知らせいたします。
最近、万年筆の軸にヒビが入った・変形してしまった、という修理依頼が急増しています。
最初は分かりませんでしたが、メーカーとのやりとりを重ねていくうち、その原因となっているのが、アルコール成分だということが分かりました。
万年筆のボディやパーツに使われる素材の多くはアルコールに弱く、簡単にヒビが入ったり、変形してしまいます。手軽に使えるウエットティッシュなどもアルコールを含んだものが殆どなので、くれぐれもご注意下さい。

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札幌での出張販売はどうでしたか?と聞いて下さる方が多く、当店の取り組みや万年筆店の仕事に興味を持って下さっていて、有り難く思っています。
昨年もそうでしたが、今年も「絶対に止めなければ営業を圧迫するというほどではないけれど、まだまだ利益が出ていない」という結果でした。
粘り強く続けて、繰り返すことで一人ずつお客様を増やしていきたいと思っています。

出張販売に来て下さったお客様方とは、当店にいるのと変わらない感じでお話しながら商品を買っていただけて、親交を深めることができたと思っています。
だけど、札幌、北海道には当店を必要として下さる方がもっとおられるはずだとも思っていて、その方々と出会うために私は札幌に行っています。

人数は少ないけれど、札幌にはそれぞれの方の世界と雰囲気をお持ちの本当に良いお客様が来て下さっていて、そんな皆様のために札幌に行き続けたいと思っています。
神戸の店もそうですが、当店は本当にお客様に恵まれていて、この方々のために頑張りたいと思っています。
万年筆に興味があったり、愛用している人の中で当店を気に入って下さる、当店のことをまだご存知ないおお客様に知ってもらうために出張販売をしていますので、福岡も、東京も、そして来年の札幌でも当店らしいネタを用意して訪ねて行きたい。
神戸の店はいわゆるホームなので出来上がった雰囲気がありますが、出張販売はそれがない状態での接客になります。
自分の力が試されるようなところがありますので、その分やり甲斐があるし、やってやろうという気持ちに火が付きます。

今回の札幌での出張販売で、より一層その想いが強くなりました。
札幌では、オリジナルインクやインクノート、筆文葉のシステム手帳リフィルなどは予想通り好評でしたが、それぞれの街で好まれるものが微妙に違うと思っています。
神戸でやっていることをそのまま持っていくだけではダメで、それぞれの街の需要を読み取ってそれに合うものを用意する必要があることも分かってきました。
出張販売はこれからも続けていきますので、自分も楽しみ、気持ちの合う方に楽しんでいただけるようにしたいと思っています。

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カンダミサコリザード革システム手帳と筆文葉

カンダミサコリザード革システム手帳と筆文葉
カンダミサコリザード革システム手帳と筆文葉

シュランケンカーフの明るい色を生かして、鋭い色彩感覚で色合わせした革製品がカンダミサコさんの特長ですが、珍しくエキゾチックレザーであるリザードのシステム手帳を作りました。
カンダさんが密かに自分用に作って使っていたものを見て、それがあまりにもカッコよかったので、ぜひ商品化するべきだと説得して製作していただいたものです。
クロコやシャークなどの強い革はカンダさんは使わないけれど、リザードなら使ってみたいと以前に言われていたのを思い出し、カンダさんも色々試しているのだと思いました。
表革に個性の強いリザードを使用しているので、内革はシンプルな色にして、大人の手帳に相応しいものに仕上がっています。
私は黒い革の製品が好きで、そういったものばかり使ってきたけれど、最近明るめの色のものに惹かれ始めています。それは革にこだわらず、様々なものを取り入れようと取り組んでいるカンダさんの影響かもしれません。

出張販売に出るようになって、店にオリジナリティがあることの大切さを再認識しています。当店に作品を納めてくれている各職人さんの個性が当店のオリジナリティに繋がっていることに感謝しています。

システム手帳用リフィル筆文葉も当店の重要なオリジナル商品の一つで、これほど特徴的な罫線のリフィルは他所で見たことがない。
それら全てが、万年筆だけでなく全てのステーショナリー、そしてデジタルなものに通じている金治智子さんの才能によって生み出されています。
金治さんとステーショナリーについて話すのはとても楽しい。万年筆だけでなく、例えばボールペンへのこだわりも金治さんは相当なもので、それらのこだわりはご自分でとことん使い切ってきた経験によるものだから説得力がすごい。
筆文葉の用紙は万年筆だけでなく、ボールペンや鉛筆などで書いても、自然でとても良い書き味を感じさせてくれる、良い紙だと思っています。
手帳用紙の流行である、薄くて、ツルツルしたものとは真逆ですが、あえてこの紙を選んでよかった。

特徴的な紙と考え抜かれた罫線のレイアウトによる筆文葉リフィルと、カンダミサコさんのシステム手帳は、様々なステーショナリーやモノに通じた人をも満足させることができると思っています。


⇒バイブルサイズシステム手帳リフィル 筆文葉

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⇒2016.9.30「カンダミサコバイブルサイズシステム手帳」

コンプロット1(ウーノ)ロング

コンプロット1(ウーノ)ロング
コンプロット1(ウーノ)ロング

格式張ったモノや所作が苦手で、なるべく自然で構えたところのないものであって欲しいと思っています。
最近は、特別な存在の人のために作られたものではなく、それを好きな人が、それを好きな人のために作ったものに心惹かれます。
だから私はアメリカ製品の多くに惹かれるのかもしれないし、ウォール・エバーシャープに自分の精神性を投影するのかもしれません。
洗練されてなくてもいい。ゴツゴツとした無骨なものの方が自分の心に近いと思っています。
それは何にでも精神性とか、生き方と結びつけて考えたがる私の悪い癖なのかもしれないけれど、万年筆はファッション以上に自分の思想を反映させることを許されるものだと思っています。
だから持っている万年筆には何か精神的な意味合いのようなものがあって欲しい。
身近な所にいつもあって、しかも本人だけがそうだと分かって、他の人に気付かれにくいということで、精神性を反映させるものとして万年筆は都合がいい。
自分の精神性を表すものとして考えた時に、あまり誰もが持っているものでは物足りないし、価格のあまりに安い、使い捨てていくものにも自分の生き方は投映しにくい。
そう考えた時に、オーバーサイズの万年筆はそれに相応しいものなのではないかと思っています。

大きなペン先は書き味の良さにも貢献するけれど、その存在感も強調してくれて自分が何よりも大切にしている書くことのシンボルにも相応しいと思う。

普通のサイズの万年筆なら、複数本入るペンケースに入れて持ち運ぶことが多いと思いますが、オーバーサイズの万年筆は実際のサイズ、自分の心を占める存在の大きさから、1本だけで持ち運ぶことになるのではないかと思います。
しかし1本差しのペンケースで、自分の大切なペンを入れるのに相応しいものは意外と少なく、ましてやオーバーサイズのものになると皆無に等しい。
そんな状況ですが、当店にはル・ボナーさんやイル・クアドリフォリオさんなど、万年筆の大切さを理解する職人さんが作品を卸してくれていて、大切なペンを保護しながら、持ち運べる上質なものが揃っています。

工房楔さんの「Complotto-1ロング」もそういったものの中のひとつです。
カスタム漆というパイロットが発売しているオーバーサイズの万年筆があります。
大きなペン先は非常に柔らかいので筆圧のコントロールは必要ですが、良い書き味を持っていると思います。
デザインは敢えて個性を抑え込んだベーシックなものですが、そんな所に凄みを感じます。
シンプルだけどキャップに厚みがあって、クリップの張り出しも大きいので、入るペンケースがほとんどないと言われています。
しかし、工房楔のコンプロット1ロングには入れることができます。
重厚な厚みを持たせた木の質感を持ったペンケース。
自分の精神を投影した大切なオーバーサイズのペンを収めるのにこれ以上のものはないと思っています。

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デコバンド用ペンケースSOLO

デコバンド用ペンケースSOLO
デコバンド用ペンケースSOLO

当店が輸入しているアメリカのウォール・エバーシャープ社のデコバンド万年筆用ペンケースを、イル・クアドリフォリオの久内夕夏さんに作っていただきました。
久内さんは木型に革を巻き付けて縫い目のない革製品を作る、型絞り技法を日本で作る数少ない職人さんの一人です。
久内さんはそのフィレンツェ伝統の技法をフィレンツェの工房に弟子入りして習得されました。
ビスポークシューズ職人である、ご主人の淳史さんと新神戸駅近くに工房兼ショップを構えられ、従業員も抱えておられるので本当に立派だと思います。お二人ともすごい職人さんなのに、気さくに話ができる方々です。
当店に作品を卸して下さる職人さんたちは皆さんタイプは違うけれど、ご自分たちのペースを守りながらそれぞれの仕事でちゃんと採算をとられて、長く活動されています。

新しいデコバンド用ペンケースは、今発売しているシガーケース型ペンケースSOLOに切り込みをいれただけのようにも見えますが、木型からデコバンド専用のものを作り、厚みも増した専用設計になっています。
サイズ合わせにこだわったため製作に少々時間がかかってしまいました。

大型で机上での使用が中心だと思われるデコバンドですが、出先で使いたい時に安心して持ち運べるペンケースが作りたかった。
デコバンドは、偶然にも工房楔の銘木製ペンケース「Complotto-1(ウーノ)」にもピッタリと誂えたように入ります。
いつもより多めにご用意していますので、こちらから選んでいただいてもその微動だにしないフィット感が楽しめると思います。

日本にまだ紹介されていない、ウォール・エバーシャープ社のデコバンド万年筆を当店で扱い始めたのは、それが私が求める万年筆の形をしていたからだと言うと語弊があるかもしれませんが、クラシカルでシンプルなデザインは最近の万年筆にない素朴さと力強さがあると思っています。
自分の好みで判断して、輸入した商品を皆様にお勧めすることの責任の重さはもちろん感じているけれど、やっと出会えた理想の万年筆の姿を皆様に見て欲しかった。

この輸入はオリジナル万年筆を作ること以上に、当店にとっては価値のあることだと思っています。
デコバンドはオーバーサイズ万年筆のカテゴリーに入る万年筆ですが、書き味にも特長があり実も伴っているものだと思います。
世界中の万年筆の書き味は何通りかに分けられると思っていて、個性が際立っているものは少ないと思っています。
でもデコバンドは書き味もオリジナリティを持っていて、どれにも似ていないものだと自信を持って言える。
繊細な筆致にも反応する大きなペン先と、必要十分なインクを供給するエボナイト製のペン芯による書き味は、豪快なドイツ製とも、繊細な国産とも違っています。
ひたすら文字を書くことが気持ち良くて、なぜが整った文字が書きやすい。

この万年筆をもっと使いたいと、所有する人には思ってもらえると思いますが、そんな時に中身を守ってくれる、安心して持ち運ぶことができるペンケースの存在が必要不可欠で、どうしてもそれをシガーケース型ペンケースSOLOで作りたかった。
今後もウォール・エバーシャープデコバンドを楽しみながら使うためのものを作っていきたいと思っています。

⇒SOLO オーバーサイズ(デコバンド仕様)

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Cohanaのステーショナリー〜同行者の方にも楽しんでもらえるもの〜

Cohanaのステーショナリー〜同行者の方にも楽しんでもらえるもの〜
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当店に来られるお客様には楽しんで帰ってもらいたいといつも思っています。
例えば、ご主人が万年筆を買いに来られるのに同行された奥様にも楽しんでもらいたい。むしろ万年筆に興味がない奥様にも楽しんでいただけるようにしたい、と思います。
それが同行者の方と交わす言葉だったりしてもいいけれど、何か面白いと思って買ってもらえるものがあれば尚素晴らしい。
そう思うと当店は万年筆だけを扱っていればいいわけではなくて、一緒に来て下さった万年筆に興味がない人にも興味を惹くものを扱うべきだと思います。
それがカンダミサコさんやル・ボナーさんの革製品だったり、SkyWindさんのポストカードだったり、きりさんのシルバーアクセサリーだったりするわけですが、手芸用品メーカーカワグチさんのコハナブランドのステーショナリーもそれに当たります。

先日元町で中学校の同窓会があって、先生と同級生が店に来てくれました。
皆万年筆は使わないし興味もない人たちで、私がどんな顔をして店をしているのか見に来ただけだと思うけれど、当店にあるものの中で、コハナのステーショナリーには興味を持ってくれました。
磁石が仕込んである波佐見焼の折れ針入れはクリップケースとしても使うことができるし、南部鉄器のボタンモチーフの文鎮、たつの市の白なめし革の小物入れ、伊賀の組紐を柄に巻きつけた握り鋏など、手芸用品でありながら、文具や日常の小物として使うことができるものばかりです。
その中でも同級生の女子たちが興味を示したのは革ケースのついた豆ばさみで、全員が買ってくれました。

それで何が切れるの?というほど小さく、きっと糸しか切れないけれど、買ったばかりの服の値札や、ちょっとほつれて出てしまった糸などをさっと切ることができる、出先で使えるものだと思います。
長い時間ゆっくり話すことはできなかったけれど、当店に来た記念に買ってもらえるものがあってよかった。
こんなこともあるから、単に万年筆とインクだけを置くのではなくて、バランスを考えながら品ぞろえをするべきだと思いました。

日本各地の職人さんの手仕事を集めて、可愛らしい小品に仕立てたCohanaのステーショナリー、プレゼントやお土産にもいいと思います。

⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具

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カンダミサコ新作「マルセシステムバインダー」発売

カンダミサコ新作「マルセシステムバインダー」発売
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私自身も共感していますが、「作るなら今までにないシステム手帳を作りたい」とカンダミサコさんが一昨年末から製作されているバイブルサイズのシステム手帳は、金具の取り付け方が工夫されていて表紙が平らに開く、とても使いやすいものです。
薄型で携帯しやすく、綴じ手帳の延長のように使うことができる。
スマホやパソコンと共存できる、今の時代に合ったシステム手帳の在り方だと思っています。
薄型のシステム手帳は、当然収納できる紙の枚数が少なくなるので、常に持ち歩かなくてもいいリフィルは違うものに綴じたりして保管する必要がありますが、手帳を薄く保つことが、この薄型のシステム手帳を使いやすくする唯一の秘訣だと思います。
ダイアリーと筆文葉リフィルをアレンジしたToDoリスト、メモ欄だけを薄型システム手帳に綴じて、追い続けているデータは携帯しない他のバインダーに綴じておき、必要な時だけ取り出して書き込む。
あるいは日付が過ぎたダイアリーを違うバインダーに移すなど、手帳の整理を常に心掛けたいと思います。

カンダミサコバイブルサイズシステム手帳を活用するには、そこから溢れ出たリフィルをどう管理するかがポイントだと思っています。
筆文葉リフィルの中にはVファイルというものがあって、書き込んだリフィルは整理してこのファイルに挟んで、箱に収納する方法がありますが、Vファイルはどちらかというと書き込み済みのものを項目別に収納して、後から見やすくするためのものです。
常に携帯はしないけれど、追い続けているデータを記入するためにはバインダー形式の方が使いやすいので、カンダミサコさんにデスクでの使用を念頭に置いたシステム手帳、マルセシステムバインダーを作ってもらいました。

たくさんの紙を収納できる25ミリリング(目安として200枚程度)を装備して、ハードカバーの本のように平らに開くことができます。
表革はコンチネンタルシリーズで使用しているダグラス革なので、使ううちに艶が出てきますし、革用ブラシで磨いていただくとより早く艶が出て、使うことを楽しくしてくれます。
薄型のバイブルサイズシステム手帳との使い分けを想定して作られたマルセシステムバインダーですが、これを厚手のシステム手帳として携帯して使うことも可能で、バインダーが勝手に開かないようにバンドも装備しています。
とてもシンプルで、簡素の美さえ感じるシステムバインダー。
マルセとは、今回カンダさんがこだわった、背表紙の形状を指しています。
カンダミサコさんがまた使うことが楽しくなる商品を作ってくれましたので、システム手帳の可能性が広がったと思っています。

⇒カンダミサコ マルセシステムバインダー

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⇒2017.10.20「用途によって使い分けるノートと手帳」

ウォールエバーシャープ デコバンド再入荷

ウォールエバーシャープ デコバンド再入荷
ウォールエバーシャープ デコバンド再入荷

注文していたウォールエバーシャープが入荷しました。
普通にオーダーをメールで送って、それが一週間くらいで納品される他の商品と違って、やり取りする書類もあるし、何もできず待っている期間も長い。
100年近い歴史を持つウォールエバーシャープ社ですが、今は社長が奥さんと二人で数人の職人さんを使って切り盛りする小さな会社です。
オーダーを受けてからペンを作り始めるという、日本と比べるとスローな仕事振りで、当店の規模とペースには合っているのかもしれないけれど、予約して下さっているお客様にはお待たせして本当に申し訳なく思っています。
今回も余裕を持たせて納期を設定していましたが、結局遅れてしまった。
次はもっと余裕を持たなくてはと思っています。

私たちが慣れていないからかもしれないけれど、他の輸入をしている人からも「聞いたことがない」と言われることが時々起こります。
今回は、今まで18金だったペン先が突然、ファーストモデルと同じ14金になってきました。
当店の輸入を請け負ってくれているアジアンロードの岩田さんが、現在休暇中のウォールエバーシャープのCEOに連絡を取って、事情を聞いてくれました。
説明によると、18金だと柔らかすぎて、すぐに開いてしまったりヘタってしまう可能性があるという意見が顧客から寄せられたので、それを受け入れて仕様変更したとのことでした。
私たちはコストダウンを謀ったのだと最初非難したけれど、メールのやり取りやフェイスブックでの自然な発言を見ているだけでも、万年筆を愛していて、商売的に器用に駆け引きのできる人でないことはわかっていました。

彼の言葉を信じて、改めて14金のニブの書き味と向き合ってみました。
もともと硬めのゴールドフレックスニブにおいてはほとんど変わりがありません。怖いくらいに柔らかかったスーパーフレックスニブは硬くなっていましたが、その代わり扱いやすくなっていました。
今までのとろけるような柔らかさがなくなったのは残念ですが、筆圧で強弱をつけて書いた時に、ある程度粘りがあった方が開いた後の戻りが早くて、適しているという話は聞いたことがあります。
それはまさにウォールエバーシャープが目指していることでした。

ウォールエバーシャープデコバンドは、ただ文字を書くための普通の万年筆ではないと思っています。
この万年筆なら、筆圧で強弱をつけて、メリハリのある文字が書ける。
同じインクを入れるなら、他のものと同じ仕様ではなく、少しコツもあったりするけれど、楽しみながらインクを入れることができる仕様にしよう。
そんな一つ一つの行為を楽しむことができる、そして持っていることが楽しい、趣味のための万年筆がウォールエバーシャープデコバンドだと私は思っています。

*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)商品ページcbid=2557105*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)商品ページcsid=1″ target=”_blank”>*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)商品ページ

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⇒2018.2.2「ウォール・エバーシャープ入荷しました」

カンダミサコシステム手帳新色完成 と送料適用に関するお願い

カンダミサコシステム手帳新色完成 と送料適用に関するお願い
カンダミサコシステム手帳新色完成 と送料適用に関するお願い

カンダミサコさんに作っていただいたは、エッグシェルのシュランケンカーフにターコイズ色のステッチを施していて、その万年筆の明るい雰囲気によく合っていると思います。
以前のM600ピンク用でも作りましたがあっと言う間に売り切れてしまったので、今回は当店に入荷したM600ターコイズホワイトよりも多い本数をお願いしました。

ペリカンが示したピンクから始まったM600の明るい縞模様のシリーズと、カンダミサコさんの革製品との相性はとても良くて、それぞれがターゲットとしているところは近いと思っています。
M600の明るい縞のシリーズは、女性をはじめとする、従来の万年筆の持つ重厚な趣きが苦手だった人にも高級万年筆を使ってもらいたいという、ペリカンのこれからの万年筆を担う新しいターゲットへの働きかけとなるものだと解釈しています。
カンダミサコさんも、重厚で男性ぽいものが多い革製品の中で、明るい色をセンス良く組み合わせ、アイデアを盛り込みつつシンプルな革小物や鞄を作られています。

先日、カンダミサコシステム手帳の新色が出来上がりました。
バイブルサイズシステム手帳にも、ペンシース同様カンダミサコさんの世界観が表現されていると思います。
薄手で軽いシステム手帳は、表革と内革の色合わせを楽しんでいるかのようで、カンダさんらしい色合わせになっています。
昨年のものよりも明るめの色のものが多く、カンダミサコさんの本領発揮といった仕上がり。
このシステム手帳は、ペリカンM600ターコイズホワイト同様に女性の方をはじめとする、重厚で重い従来のシステム手帳は使いたくないという、これからの万年筆ユーザーの中心となる方のために作られていて、当店もカンダミサコさんも同じ思いでこのシステム手帳を世に送り出しています。

*送料に関してのお願い*
5月1日(火)より当店のウェブショップでのお買い物送料無料金額を、18,000円(税抜・ペン先調整代含まず)に変更させていただきます。
昨年より配送業界で大幅値上げが実施され、お客様になるべく送料のご負担をお掛けしないように配達業者の選定や当店で負担してきましたが、このたび苦渋の決断をいたしました。
今後、地域別の送料加算システムを取り入れるなど、より公平な送料適用を心掛けたいと思っております。それまでの間、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

⇒新色追加・カンダミサコバイブルサイズシステム手帳

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⇒2016.9.30「カンダミサコバイブルサイズシステム手帳」

万年筆銘木軸こしらえ長軸

万年筆銘木軸こしらえ長軸
万年筆銘木軸こしらえ長軸

工房楔の永田篤史さんが、当店オリジナルとして製作してくれている万年筆銘木軸こしらえの、ボディを1cm長くした「こしらえ長軸」を製作してくれました。
こしらえはパイロットカスタム742・カスタムヘリテイジ912のペン先ユニットを使うことができます。
太さに対して短めのデザインはコロンとしていて、私は理想的な縦横のバランスだと思っています。
ただ、書く時にキャップを尻軸はめて書くと、天然無塗装の木故に尻軸にキャップ跡がついてしまいますので、その使い方はおすすめできません。
そういったこともあって、こしらえのボディは短いとたびたび言われていました。
その都度私は、これはモノとしての美しさを優先した寸法なので、そのまま使っていただきたいと説明してきました。
カスタム742・カスタムヘリテイジ912のペン先のサイズだと、見た感じのバランスからこのボディサイズが合っているのではないかと思っています。

昨年7月に工房楔の永田さんと開催した「Pen and 楔 福岡展」で、こしらえをお使いのお客様方から長いボディのものをオーダーされました。
お客様の強いご要望もあるということで、やはり長いボディのこしらえも作ろうという話になりました。
どうせ作るのなら、長さだけでなくひとつ大きなペン先を持つカスタム743も使えるようにしたい。そこでキャップの奥行きを大きく取り、大き目のペン先も入るようにしました。カスタム743も742・ヘリテイジ912もネジ径は同じなので、こしらえ長軸には全てを使うことができます。

そもそもカスタム743・742(912)の違いは、ペン先の大きさの違いによる書き味の違いで、それは極端に柔らかいペン先フォルカンが一番分かりやすい。
カスタム742(912)の方が743よりも柔らかいため、筆圧のかけかたにコツがあり、743の方が踏ん張りが利くような粘りがあるので初めてでも使いやすい。
SFやSMなどの軟ペン先にも同じことが言えて、言葉で表現すると柔らかいカスタム742・カスタムヘリテイジ912、柔らかさの中に粘りがあって意外と扱いやすいカスタム743ということになります。

こしらえとこしらえ長軸、それぞれの存在価値は違うと私は思っていて、キャップを閉めた時のプロポーションの良さはこしらえ、キャップを尻軸につけて書くことに慣れている方の筆記しやすさはこしらえ長軸になります。
対応するコンプロットで言えば、こしらえは全てのサイズのコンプロットに入りますが、こしらえ長軸はコンプロット1ロング、4ロング、10、ということになります。
そんなこしらえが、長軸の登場で2種類のボディサイズから選べるようになりました。

⇒銘木万年筆軸「こしらえ」cbid=2557546⇒銘木万年筆軸「こしらえ」csid=1″ target=”_blank”>⇒銘木万年筆軸「こしらえ」

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⇒2016.4.8「銘木万年筆軸 こしらえ」
⇒2016.10.14「こしらえ~用途で考える素材選び~」

ペリカンM600ターコイズホワイト

ペリカンM600ターコイズホワイト
ペリカンM600ターコイズホワイト

この文章をホームページに掲載する時にはおそらく完売していると思いますが、ペリカンの限定品M600ターコイズホワイトについて書いておきたいと思いました。
ペリカンのM600ピンク、M605ホワイトストライプと続いた、M600ホワイトをベースにした明るい色のストライプのシリーズは本当に人気があって、あっと言う間に売り切れてしまいます。
(本体は完売していますが、合わせて作ったカンダミサコのペンシースはまだ在庫がありますし、ホワイトストライプもターコイズホワイトもボールペンは今日の時点ではまだあります)
ストライプの色を女性にも好まれる色にしただけと思う人もいるかもしれないけれど、ペリカンが頑なに守った縞模様の伝統があるからこそこれらの色が成功するのだと思うし、魅力的に映るのだと思います。そして、よく頭を切り替えてこれらの華やかな色のストライプを発売したと感心します。

先程女性に好まれる色と書きましたが、男性からも人気があって、こういった軽やかな印象のものを多くの人が求めていたことは間違いありません。
どちらかと言うと重厚な印象の高級万年筆において、ペリカンのこのシリーズは確かに異色だと思います。
でも今ままで本格的な万年筆を使うことをためらっておられた方々の背中を押して、新しい世界に引き込んでくれた、とても意義のある存在だと思います。

伝統のあるメーカーのこういった取り組みは、ファーバーカステルのギロシェでも行われていて、かなり大胆に展開されています。
ファーバーカステルの取り組みはペリカンとは少し違っていて、以前は万年筆メーカーらしい定番カラー(黒・赤・青など)のみでしたが、女性向けの中間色を増やしたことによりかなりイメージチェンジをしました。
結果として、エルメスなどのブランドのようにファーバーカステルをステーショナリーブランドとして印象づけることに成功しているのではないかと思っています。

それまでギロシェのシリーズの字幅はFしか日本に輸入されていませんでした。
ファーバーカステルなどドイツのメーカーは他のメーカーに比べて、同じ表記の字幅でもかなり太めになりますので、手帳用に使いたいギロシェのような万年筆が国産の中字くらいの太さだと使いにくかった。
カラー展開と同時にEFもラインナップされたのは、ギロシェという万年筆の性格からいっても正しいことでしたし、新しいターゲットである女性のお客様を取り込む意味でも意義のあることでした。

ペリカンもドイツのメーカーなので、一番細いEFでも太めです。
M600ターコイズホワイトは、当店でさせていただいている国産細字くらいにペン先を細くする「細字研ぎ出し調整」を承る率が他のペンに比べ非常に多く、女性の方が万年筆にどういった要素を求めるのかが分かります。
私は相変わらず古い考えだと思われるかもしれないけれど、重厚で、クラシックなものに惹かれる。しかし万年筆を仕事として扱っている以上こういった動きには非常に興味がありますし、歓迎すべきことだと思っています。
万年筆もその時代時代で、少しずつ姿やあり方が変わってきたからこそ、続いてこられたのかもしれません。



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