アウロラ大陸シリーズ第5弾〝オセアニア“

アウロラ大陸シリーズ第5弾〝オセアニア“
アウロラ大陸シリーズ第5弾〝オセアニア“

待望のアウロアの大陸シリーズ第5弾オセアニアが入荷しました。
ホワイトベージュとワインカラーが複雑に絡まった上品な色合いで、金属パーツはピンクゴールド仕上げになっています。
お客様方の反応を見ていると、感性の鋭い女性方から称賛の声を聞くことが多く、手応えを感じています。
この万年筆から出るインクの色はボルドー系の、例えばエルバンのブルゴーニュレッドなどとてもイメージに合っていて、女性のお客様から共感してもらえるかもしれません。

当店がこれから売っていきたい、お客様方と共感し合いたいシステム手帳の名前を「コンチネンタル(大陸的)」としたのも、アウロラの限定万年筆の大陸シリーズが頭のどこかにあって、憧れがあったのかもしれません。

定番モデルオプティマをベースとしながら、そのペンのために専用のレジンを作り、削り出してボディとし、リングにはそれぞれの大陸を代表するモチーフをあしらう。
突飛なデザインではないし、毎回目新しさを感じさせるものになっているわけではないけれど、アウロラらしい抑えた華やかさを持った、地に足の着いた印象の万年筆をマイペースで作ってきました。

第1弾のアフリカでは砂漠と土の色を、第2弾のエイシアでは大河と大地の色を、第3弾のエウロパは機械をイメージさせるメタリックグレー、第4弾アメリカは星条旗をイメージさせる色をボディカラーに採用して、アウロラの解釈によるそれぞれの大陸を1本のペンで表現してきました。
そこにはアウロラの限定万年筆というのはこういうふうに作るのだとクールに示すような冷静な表現が感じられ、大いに共感していました。
第5弾オセアニアは陽と大地をイメージした色合いのように、私は受け取っています。
その印象はどこかノーブルで、そういったところがアウロラらしいと思っています。
私はオセアニアには行ったことがないけれど、スタッフKはニュージーランドに留学していたし、工房楔の永田さんはオーストラリアに木工留学をしていた。お客様で友人のS等さんはオーストラリアで仕事していたことがあったなど、身近な人たちがオセアニアに縁があって、その思い出話をよく聞いていたので、良い印象を持っている、いつか訪れたい場所になっています。

この万年筆は、大陸シリーズはどんな人が買うのだろうといつも思います。
もちろんそれぞれの大陸に思い入れのある人が、それを使いたい、いつも身につけていたいと思って、使い始めるのかもしれないけれど、気がつけばいつも完売しているという、静かな人気があるのがアウロラの大陸シリーズです。
アウロラは大陸というモチーフで美しい万年筆を作ることができたら、大陸というテーマで万年筆を作ることを楽しんでいるかのように、オセアニは美しい万年筆に仕上がっていると思っています。

たしかに値段は高くなって、この万年筆を使う人はとても限られるけれど、それでもアウロアは万年筆のメーカーの誇りをかけて大陸シリーズを完結させようとしています。

ポーチピッコロの持ち方

ポーチピッコロの持ち方
ポーチピッコロの持ち方

最近その機会が減って寂しいのですが、WRITING LAB.の打ち合わせを活発にしていた時、よく皆で夕食に繰り出していました。

そんな時、財布と携帯電話、メモ帳と万年筆を持って出ていましたが、鞄を持って出るのはあまりにも荷物になるし、ポケットに入れると財布を手で持って行かなくてはならなくなって無防備だし、カッコ悪い。
活動をなるべくフェイスブックに上げたいのでスマホはいるし、食事しながらでも打ち合わせになることがあるのでノートと万年筆は持っていたい。

Iiro(イーロ)のノートは何でも書き殴るメモ帳として使っていますが、新書サイズという大きさや薄さはちょうどいいし、罫線の色も様々なバリエーションがあって、インクの色と合わせたり、季節によって変えたりすることができます。
そんな会食の道具を収めるのに、ル・ボナーポーチピッコロはとても便利でした。
私のラウンド型の大きな長財布とスマホ、SOLOのペンケースに入れた万年筆とiiroのノートがピッタリと入ります。
冬はコートを着ているので、ル・ボナーのパパスショルダーを斜め掛けにしていますが、ジャケットで出掛ける時に斜め掛けはしたくない。休みの日などポーチピッコロだけ持って出掛けることもあります。休日なので、会食の時と同じ持ち物で用が足ります。

このポーチピッコロをどうやって持つかが、これだけを持って出掛ける時の最大のポイントだと思っています。
昔流行った、誰もが持っていたセカンドバッグは小脇に抱えるようにして持っていたけれど、そうやって持つのは時代遅れだし、そうするにはポーチピッコロは小さい。
ハンドルを持って提げて歩くのも女性だと気にならないけれど、自分には何か違うと思っていて、私が行き着いたのはハンドル部分を上にして、そこに人差し指から小指を通して、上からつかむようにする持ち方でした。
少し無造作な感じがするけれど、この持ち方が一番小さな鞄(?)らしいと思いました。
ル・ボナーの松本さんはヨーロッパ旅行の時、さすが製作者だけあってとてもおしゃれにさりげなく、パパスショルダーと組み合わせて持っていました。

持ち方がポイント・・・と言っている私はまだまだポーチピッコロを使いこなせていないけれど、今の気分に合った、でも実際の使用において必要を満たしながら最小限のサイズにしてある、とても考えられた鞄(?)であると思っています。

⇒ル・ボナー ポーチ・ピッコロ

信頼の定番万年筆 ペリカンM805 そして新製品の発売予定

信頼の定番万年筆 ペリカンM805 そして新製品の発売予定
信頼の定番万年筆 ペリカンM805 そして新製品の発売予定

何か新しくモノについて知ろうと思ったり、使い始めようと思った時、その世界の定番中の定番から入ってみることが一番良い取り組み方なのではないかと思っています。
それは自分の直感や感性に自信がないから思うのかもしれませんが、長く使われてきたもの、多くの人が使ってきたものには、やはりどこか良いところがある。そういうものが定番と呼ばれ、面白味は少ないかもしれないけれど、そのモノに求められる機能は十二分に果たすし、飽きが来ない。使いこむことで得られる喜びも併せ持っているもの。
それが定番品だと思っています。

万年筆において定番品と言うと、ペリカンスーベレーンM800です。
万年筆を日常的に使い始めたばかりの頃にそう教えられて、そう信じてきましたが、この仕事をしてきて、それは正しかったと思っています。

自分で初めて買った万年筆がM800でした。万年筆のお手本と言われるものを最初に手に入れたことで、その後の私の人生が変わったのかもしれないと、今では思っています。
万年筆を使い慣れていない手にはM800は長く、重く感じられました。
なるべくキャップを尻軸に差して使いたいと思ってけれど、最初の数年間はキャップをつけずにしか書けなかった。
その後に購入したアウロラオプティマの方がM800より遥かに使いやすいと思いました。
実はM800のキャップをつけた重さに手を任せて書くようにすれば、無駄な力を入れずに書くことができる。それに気付けば万年筆使いとして一人前だと思いますが、私はそう使えるようになるまで5、6年かかりました。
でもそのペンの重さに任せて字を書く感覚を覚えたら、M800ほど書きやすい万年筆はないかも知れません。

そうなると、あれほど大きいと思っていたボディが実は大きくも何ともなかった、むしろ普通だったと思うようになれるものです。
書くことにおいて、こんなに自然な使い心地の万年筆はないと思えるようになるのがM800で、オマスパラゴンやM1000のような、書いていて楽しいと思える手応えのようなものはないけれど、手応えを求めるのはまた違う次元の話のような気がします。

ペリカンの万年筆は私たちのイメージでは緑縞が代表的なイメージですが、この縞模様自体他のメーカーにない特徴的な意匠だと思います。
ペリカンのホームページによると、ストライプの入ったスーツを好んで着た英雄、1923年には首相も務め、その後外相として活躍し、1926年にはノーベル平和賞も共同受賞したグスタフ・シュトレーゼマンから由来して、ペリカンのストライプ模様の万年筆を本国ではシュトレーゼマンと呼ぶ人もいるとのこと。

このたび(2月予定)、スーベレーンM800のシルバーの金具仕様のM805に黒の縞模様、ブラックストライプが発売されることになり、その万年筆はM805シュトレーゼマンという名前を冠しています。
定番品M800の新たなバリエーションと言うことで、かなりの人気が予想されます。シャープで抑えた印象の黒縞にシルバーの金具のM805、この万年筆らしい色づかいのものなのかもしれません。

※ご注文いただいた方には2月以降の入荷次第順次お渡しするつもりでおりますが、遅れも予想されます。ご了承下さい。

⇒M805 ブラックストライプ(予約受付中)

細くて硬いペン先~カスタムヘリテイジ912ポスティング

細くて硬いペン先~カスタムヘリテイジ912ポスティング
細くて硬いペン先~カスタムヘリテイジ912ポスティング

システム手帳を使ううちに細字の万年筆への欲求が高まってきました。
コンチネンタルのシステム手帳はバイブルサイズで、紙面のスペースも限られています。スペースを有効活用するためと、使う紙の枚数を少なくするために書く文字がだんだん小さくなってきたのです。
既に細字の万年筆は数本持っているし、その気になれば使っていない万年筆を細字に研ぎ出すこともできるので、それらを使えばいい。
実際、手持ちの万年筆でシステム手帳に記入するので満足していました。
その万年筆を知るまでは。

お客様のKさんと話していて、1990年頃に作られたパイロットカスタム72という万年筆の話になりました。
Kさんによると、その万年筆が京都の古くからある文房具屋さんにデッドストックで残っているという。
私は、ぜひ欲しいので、京都に行く際に買ってみますと話していました。
Kさんは、私が持っている万年筆の中でも異色なデルタコサックの元持ち主で、私に新たな世界を見せようとする何となく悪友のような存在。
なかなか京都に行く機会が持てず、カスタム72を入手できずにいる私の代わりに、先日Kさんが、ついでがあったからと私の代わりに買ってきて下さいました。
パイロットカスタム72を使い始めて、硬い細字のペン先の魅力に大いに魅せられています。
カスタム72は通常のカスタムシリーズよりも硬いペン先を備えた万年筆で、筆圧の強い人、運筆の早い人、カリカリの書き味が好きな人には好まれるものですが、すぐに生産されなくなって、今では入手することが難しくなっています。

硬いペン先の万年筆を使ってみて分かったことは、均一な文字が書けるということでした。
このペン先は私の欲していた手帳用の万年筆の条件にピッタリでした。
カスタム72はもう定番品ではないので皆様にお勧めはできませんが、パイロットカスタムヘリテイジ912のポスティングというペン先のものが、これに当たります。

パイロットの昭和2年の古い文献には既に今のペン先のラインナップが全て紹介されていて、このポスティングについて「一般の厚紙の帳簿に記帳するのに適当で、ブックキーパー(ペン先種類)の如く数字用でなく、普通の文字を細字に書くのに用ゐられます。極細であるから、弾力が硬い肉厚のものでなくてはならぬのは勿論、穂先は短か穂になっています。そしてブックキーパー程輪郭の鮮明な線は書けない代わり、紙当りを良くする目的から、イリジュウムの角々を丸めて研ぎます。従って書かれた線は濃淡の変化がなく、一本調子で勢いに欠けますが、繊細で清楚な感じを覚えます。」とあります。

繊細で清楚な線とはよく言ったもので、このポスティングも手帳に小さな文字をビッシリと書いても、スッキリと見やすい文字を書くことができます。
柔らかくてインク出の多い万年筆も味わい深くて良いけれど、システム手帳など手帳を書くことにこだわると硬いペン先の細字の万年筆の良さが見えてきます。

⇒パイロット カスタムヘリテイジ912

今年最も印象に残った万年筆~プラチナセンチュリー3776~

今年最も印象に残った万年筆~プラチナセンチュリー3776~
今年最も印象に残った万年筆~プラチナセンチュリー3776~

今年最後のペン語りになります。
仕事である万年筆や、その周辺のものや考えをお客様に提案して、ともに考えたいという気持ちだけは強く持っている私のとりとめのない文章に今年一年お付き合い下さったことに心から感謝しています。
来年も何卒よろしくお願いいたします。

今年最も印象に残った万年筆をプラチナセンチュリー3776だと言うと意外に思われるかもしれません。
アウロラ、ペリカン、オマスそして工房楔とのオリジナルこしらえなど、思い入れの強い万年筆はいくつもあって、そのどれも自分でも愛用している万年筆なので、それらの中から選びたいとも思いました。
しかし、あえて自分で使っていないプラチナセンチュリー3776を挙げたのは、それを選んでくれたお客様たちとのやり取りが最も心に残っていたことも理由のひとつです。

今まで出席を拒んでいた同窓会に今年初めて出席して、高校の時の同級生たちとの交流が始まりました。
同窓会の後、真っ先に万年筆を買いに来てくれたKくんはレストランをいくつか経営しています。
多忙な中当店の近くの英会話教室に通っていて、その前に立ち寄ってくれました。
前もって来ることを知らされていましたので、レストランオーナーに相応しい万年筆をいくつか用意していましたが、その中で最も飾り気がなく、実用的なプラチナセンチュリー3776シャルトルブルーを選びました。
元々書くことが好きで、彼のスケジュール帳は文字で埋め尽くされていたので、その選択は実務家の彼らしかったのかもしれないと思っています。

高校の時あまり交流はなかったけれど、Kさんもすぐ万年筆を買いにきてくれて、Kくんと同じセンチュリー3776のブルゴーニュを使い始めてくれました。
ご自分で商売をしていて、アメリカ、フランス、日本とその活動の範囲は広く、一軒の店で精一杯の私とはそのスケールが全然違うけれど、私の商売も面白がって、興味を持って話を聞いてくれる。
Kさんはその後シャルトルブルーを青インク用にオリジナルインク朔を入れて、ブルゴーニュを赤インク用にWRITINGI LAB.オリジナルインクオールドバーガンディを入れて使ってくれていますし、カッコイイからとアウロラ88クラシック使いだしてくれています。

お客様で友人のS等さんと靴の話をしていて、日本の靴メーカーは安いものでは奇抜なロングノーズの流行りもののようなデザインのものばかりを出している。安いものこそスタンダードな形のものを出すべきで、それこそが文化を作りだすことだと言っていたけれど、大変もっともな話だと思いました。
日本の万年筆メーカーは、初めて万年筆を使う人が選ぶことが多い、金ペン先がついているものの中で一番安い価格の1万円クラスの万年筆をベーシックなデザインにしていて、文化を作っているという責任感のようなものが感じられます。

センチュリー3776もベーシックな万年筆のデザインを踏襲しているけれど、もう一歩踏み込んで、半透明のブルー(シャルトルブルー)とレッド(ブルゴーニュ)を用意したことは、万年筆を、それも大人が使うべき金ペン先の万年筆使用者を増やすのに、先述した同級生の例のように、大いに役立っていると思っています。

今年最も印象に残った万年筆として、このセンチュリー3776を挙げたのは、万年筆の文化を支えているもののひとつだと思ったことと、私の個人的な想いである高校時代に置き忘れてきた友情を、この万年筆が思い出させてくれたからでもあります。

⇒プラチナ萬年筆#3776センチュリー

日本の技術とさりげなさ~パイロットキャップレス~

日本の技術とさりげなさ~パイロットキャップレス~
日本の技術とさりげなさ~パイロットキャップレス~

ある世界的ブランドが、先日パイロットキャップレスをベースに従来品の10倍ほどの値段を付けて発売したのですが、好評だそうです。
有名な潜水艦の名前をつけて外装もそれらしくデザインしてありますので、とてもカッコ良く魅力的なので、けっして高くないと思います。

ペン先が引っ込むタイプの万年筆で、ペン先が乾かないのはキャップレスだけで、スティピュラやさすがに大丈夫だろうと言われていたラミーでさえ、乾かないキャップレスタイプの万年筆を作ることができなかった。
それほどペン先を収納するキャップレスタイプの万年筆は構造的に難しいのだと思いますし、それだけにその技術力の高さ、長年かけて改良に取り組んできたという粘り強さは、パイロットらしいと思います。

完璧な造形の美しいラインを持つものに対して、パイロットキャップレスはあまりにも実用的な配慮により、武骨なデザインになっているけれど、それが日本のデザインなのだと思っています。
あった方が使いやすいクリップは、筆記の邪魔にならないよう細心の注意を払った形状になっているし、尻尾のようの出っ張っているノックバーは、実はとてもノックしやすい。
キャップレスのペン先はとても小さいけれど、その形から想像できない柔らかく心地よい書き味を持っています。
メモを書く万年筆としてこれ以上の資質を備えた万年筆は他にないと思えます。

使い手の好みによって選択できるようになっている3種類のボディについてご説明します。
1・キャップレスデシモは最もキャップレスのコンセプトに忠実なものになっています。
軽いアルミ製のボディは細めで、ポケットにさしても邪魔になりません。書き味の良い18金のペン先も備えています。
2・真鍮のボディのキャップレスマットブラックは、書くことにおいてはキャップレスデシモよりも上質な書き味を持っていて、これは重量感と握りの適度な太さによるところだと思います。

3・キャップレスフェルモ
キャップレスは普通の万年筆と比べるとかなり前重心で、ペンの後ろを持って寝かせて書く方にはそのバランスがあまり向きませんでしたが、キャップレスフェルモはそのバランスが普通の万年筆に近く、机上で使うキャップレスとしての機能に特化していると思っています。
キャップレス、キャップレスデシモはノックしてペン先を出しますが、キャップレスフェルモ だけ回転させてペン先を出すようになっています。

すでに一部店舗で出始めていて、来年初め頃から安定供給されそうですが、木軸のキャプレスも定番モデルになり、キャップレスのバリエーションは少しずつ多くなっていることで、需要が高まっていることが分かります。

きっとこのキャップレスが冒頭の世界的ブランドの目に留まり、今回のオリジナル製作ということになったのだと思いますが、ダンヒルに蒔絵万年筆を供給していた時にはダブルネームを頑として譲らず、ダンヒルナミキの名での発売を実現したのに、今回はパイロットの名前が表に出ていないのは少し寂しい気がします。
でも、このちゃんと使えるキャップレス構造の万年筆の偉大さを世界中の人が、大ブランドのモデルにより知ったのだとしたら、それよりも前からその存在を知っていたということを誇りに思いますし、それを10分の1の値段で実用本位なさりげないデザインを貫いてきたキャップレスに、これぞ日本製だというこの万年筆に愛着を覚えます。

⇒キャップレスデシモ
⇒キャップレスマットブラック
⇒キャップレスフェルモ

革の色~コンチネンタルのシステム手帳とペンケース~

革の色~コンチネンタルのシステム手帳とペンケース~
革の色~コンチネンタルのシステム手帳とペンケース~

最近ではあまり言われなくなりましたが、靴と鞄、靴とベルトの革の色はなるべく同じにしたいと思っています。
朝間違えて持って出たり、身につけてしまったらとても後悔するし、一日中少し憂鬱になってしまいます。
それと同じように思っているのが手帳とペンケースの色で、その二つは同じ色にしたい。
色だけでなく革質も同じにしたいと私は思っています。
色合わせをして、合う色同士を組み合わせた方が絶対にお洒落に見えるし、当店の女性目線ブランド「DRAPE」ではそれをなかなか上手に提案できていると思っています。

でも私は感性が古いのだと思うけれど、どうしても革の色は統一したい。
革の色が服装のコーディネートの中でアクセントになることくらいは分かっているので、その中に革が溶け込めばいいなあとは思っているけれど。
オリジナル商品で、と、
A7メモカバー(商品名クリックで移動します)は、シュランケンカーフの黒にこだわって、必ず黒をカラーバリエーションに入れています。
それは同じシュランケンカーフの革でいろいろなものを持って、統一感を楽しんでもらいたいと思ったからで、その中でも革の表情や質感に集中できる黒を選択しました。
美しいカラーバリエーションが多くあるシュランケンカーフの中で黒を選ぶというのは、本当にもったいないと思われるかもしれないけれど、黒のシュランケンカーフには他の色にはない飽きない魅力があると思っています。

当店オリジナルのに使っているダグラスという革の色、少し使い込んだ時のキラキラしたような艶が気に入っています。
こういう表情が見たくて、私はこの革にこだわっていて、そのような変化が大陸的だと銘打ったこの手帳らしさだと思っています。
コンチネンタルシステム手帳の内革はアノネイ社のバーガンディカラーのボックスカーフで、少し男性的な外革のダグラスと比べると対照的なノーブルなイメージの革になっています。この二面性が当店の地味な遊びで、この手帳の面白みになっています。
革の色を揃えたいといつも思っていますので、コンチネンタルシステム手帳と同じダグラスの革を使った当店の看板商品ペンレスト兼用万年筆ケースをカンダミサコさんに作ってもらい、コンチネンタルシリーズのペンケースとしています。
正直に言うと、使いやすさはしなやかなシュランケンカーフの方がいいけれど、太めのペンを入れて盛り上がったところにできる艶はこの革独特の色気があり、とても気に入っています。
革の色あわせがあって、服装のワンポイントになる。
ステーショナリーの革製品も、私は服装と調和していて欲しいと思うし、それを考える遊び心のような余裕を持っていたいと思っています。

⇒コンチネンタルペンレスト兼用万年筆ケース
⇒コンチネンタルシステム手帳

ダイアリーについて考える

ダイアリーについて考える
ダイアリーについて考える

カンダミサコさんのA5ノートカバーが再入荷しました。外側のシュランケンカーフ、内側のブッテーロなど、上質な革を贅沢に使ったものです。
特長的な構造で裏表紙にあたる内側のブッテーロ革を幅広くとっていますので、下敷き効果もあり、とても書きやすくなっています。更に外側に適度な丸みを持たせる効果もあって、考え抜かれた革カバーだと思っています。

12月は来年のダイアリーの試用期間かもしれません。
ほとんどのダイアリーが1月からではなく、前年の12月くらいから始まっていますので、今までの手帳と併用したりしながら新しく導入しようと思っているものを使い始めてみるといいのかもしれないと思い、私も始めてみました。
先日来店されたお客様が、来年は正方形のダイアリー(当店のオリジナルダイアリー)のマンスリーとデイリー(フリーの1日1ページ)を組み合わせて使おうと思っているとおっしゃっていて、私も同じことを考えていたので驚きました。

スケジュールはなるべく広く見渡せた方いいし、後からもう一度見たい事項も、なるべくページ数が少ない方が見つけやすい。そこでマンスリーダイアリーに書き込むことにしようと思いました。
1日1ページの効果は、その日あったことをそのページに全て書くという潔さを持たせることで、後から見つけやすくなります。
その日やるべきことも、あったことも全て同じページに書く。
とてもシンプルで無理のないやり方なのではないかと思います。

来年からは、自分なりのやり方で日記をつけたいと思っています。
あまり大きなものは自信がないので、サニーゴールド手帳などは自分の日記帳としていいのかもしれない。
ページ数が206ページなので1日1ページというわけにはいかないけれど、それくらいのコンパクトさがいい。
これも先日メールでやり取りしていたお客様がおっしゃっていて、ハッとしました。

最近、手帳用にエルバンの「TERRE DE FEU(ティエラ・デル・フエゴ)」というインクを使い始めて、とても気に入っています。
南米パタゴニア地方の最南部ティエラ・デル・フエゴという土地をイメージしたインクで、赤みがかった茶色のインクです。
見ようによっては落ち着きのあるボルドーのようにも見えて温かみがある。

ティエラ・デル・フエゴは非常に寒い、自然の厳しい最果ての地ですが、火山活動が活発で地熱あり温泉も出る場所。
そういったイメージをインクの色にしたらこうなるのかもしれないと思い、知らない土地へのロマンも感じられて楽しい。
大陸的と銘打ったコンチネンタルのシステム手帳に託した想いと、内側のボックスカーフのバーガンディカラーにもピッタリの色とイメージだと思っています。

ダイアリーひとつで仕事の効率も変わります。
ダイアリーが変われば、気分も大きく変わります。
1ヶ月間練って、来年1年快適に楽しみながら使うことができる手帳について、そして何か皆様にご提案できるものを考えたいと思っています。

カンダミサコ 文庫手帳カバー

カンダミサコ 文庫手帳カバー
カンダミサコ 文庫手帳カバー

先週に続けてカンダミサコさんの商品をご紹介することになりますが、それだけ年末に向けてカンダさんの製作のピッチが上がっているということと、当店とカンダさんとの距離が近くなっていると(色々な意味で)感じています。カンダさんは最近納品などでよく当店を訪れて下さるので、色々話をしています。

ただ良いものを作るだけではなく、店の様子や需要をその目で確認して、ご自分が作るべきだと確信を持ったものとのバランスを測っているプロフェッショナルな仕事をカンダさんから感じています。
カンダミサコさんの商品は、男性寄りの商品が多い当店の品揃えの中で異彩を放っているけれど、女性のお客様に来ていただくきっかけのひとつになっています。

カンダミサコさんの文庫サイズノートカバーが入荷しました。
厚さ10mmくらいまでの文庫サイズ(A6)サイズのノートなら収めることができる革カバーです。
私は買う必要もないのに、あちこちの文具店でシーズン真っ只中のダイアリー売り場をウロウロしていますが、文庫サイズのダイアリーの多さに改めて気付きます。
コンパクトだけどそれなりに書くスペースもある文庫サイズは手帳やノートにとってもちょうどいいサイズで、何よりもいつも鞄の中に本を入れておきたい活字中毒の方には最も馴染みのあるサイズだと思います。
このカバーの特長は、一般的なカバーに比べ比較的太径の万年筆も収めることができるバタフライストッパーの存在と、上質な革を使用しているところです。
バタフライストッパーはノートが広がらないようにする役割も担っていて、ペリカンの万年筆でM600まで収めることができますので、携帯用の万年筆には充分なサイズと言えます。

素材であるシュランケンカーフはその発色の良さと、色数が特徴的ですが使い込むことで艶が出てきたり、しっかりとしていながらしなやかさを合わせ持っている理想的な革です。
さらにカンダミサコさんの多くのカバーの特長として、表紙から折り返した前後の裏表紙部分を大きく、革を贅沢に使うことで表紙を補強していることもあります。
このしっかりとした表紙は書き込みがしやすくなるというメリットがあって、カンダミサコさんのこだわりどころになっています。

古い話で恐縮ですが、20年ほど前は文庫サイズの手帳というのはほとんどなく、手帳の多くが男性をターゲットにしていて、スーツの内ポケットやYシャツの胸ポケットに入る、各メーカーオリジナルサイズになっていました。
以前から革の表紙にダイアリーを入れて、毎年中身を交換して使いたいという需要は少なからずあったけれど、サイズの問題がありなかなか難しかった。
それでも最近は文庫サイズなど、本や紙の規格に合わせたものが女性をターゲットに出始めたこともあり、カバーなどは作りやすくなったと思っています。

気に入った革の手帳カバーは長く使うと味が出てきて、毎日使えることが喜びになってきます。
手帳の内容は使ってみないと自分に合うか合わないか分からない。
複数の選択肢がある文庫サイズのダイアリーなら、表紙をそのままに中身をまた買い替えることもできるので、ぜひ来年用のダイアリーの候補にしていただけたらと思います。

革を敷く

革を敷く
革を敷く

私にとっての理想的な大人の仕事風景は、机の上に紙を1枚だけ置いて愛用の万年筆が1本ある・・というもの。
テレビも音楽もついていない静かな部屋で紙を前にじっと考えて、思いついたアイデアをポツポツと書いていく。
そんな風に仕事したいと思うし、そうやったからと言って古臭いアイデアしか出ないわけではないし、パソコンを点けてネットを駆使していろいろ調べまくってもいい仕事ができるとは限らない。
万年筆の愛用者だったという、先日亡くなった高倉健さんはそんな風に著書の原稿を書いていたのではないかと想像している。

地味な毎日の繰り返しの我々にとって、健さんの演じる寡黙な人物はお手本のような存在だったので、ご高齢だったとはいえ早すぎる、もっと健さんの演じる男を観たかった。
惜しい人を亡くしたと思っています。

紙1枚の下に革のデスクマットを敷くとさらに快適に書くことができるので、そのシンプルな仕事の装備に、デスクマットと机上にわずかに彩りを与えてくれる少しの小物も加えて欲しいと思います。

カンダミサコのデスクマットはブッテーロという良質な素材を使っているので、使えば使うほど艶が出てくるし、傷が目立ってきたらブラシ掛けや水拭きで目立たなくすることができます。また、銀面、床、フェルトの三層構造になっていて、革のデスクマットが最も直面する反りに強い構造をしています。

私たちの机上事情に合った小さめのサイズというところも、発売から4年半経っても作り続けていることができる理由だと思います。
机の天板に革を敷くことは、机上用品を揃える基本だと思っています。

デスクマットの上に紙1枚だけ置いて万年筆で書くととても書き味が良くて、気持ちいいですが、その下敷き効果だけでなく他の働きもあります。

私はとても大事なことだと思っていますが、革のデスクマットがあれば、万年筆をその上に安心して置くことができるし、アクセサリーや時計なども同様だと思います。
大切にしているものをなるべく硬いものの上にそのまま置きたくないので、革の上に置くということも革のデスクマットの存在意義なのです。

デスクマットが敷けたら、あとひとつ小物も追加してほしい。
当店の品揃えの中にはペントレーなど様々なものがありますが、その中で私がとても気に入っているものは、借景のペンレストです。
ペンを1本置ける後ろにポストカードを1枚立てられるようになっていて、背景のポストカードでペンのある風景を演出するものです。
当店では、SkyWindさんの写真のポストカードを全て揃えていて、このポストカードと万年筆を組み合わせるために作った商品です。

SkyWindさんは女性の写真家ですが、道具に全くこだわっていなくて、お使いのレンズの倍率やスペックなどを興味津々に聞いても、何を使っているのかよく分かっていないことが多い。
上手な人というのはそういうものなのかもしれない、撮る前からレンズの性能とかカメラが、とかと言っている(それも楽しいことだけど)我々男性とは違っている。
でもその姿勢は、紙1枚と愛用の万年筆1本でまず何を書くかを考える、私が思い描く大人の男の姿勢に近い、理想的な表現者の姿だと思っています。

シンプルに生きる、シンプルに仕事をすることを考えた時、革のデスクマットを敷いてポストカードを1枚飾り、少しの彩りを添えた机上を想像しています。

⇒カンダミサコ ブッテーロ革デスクマット
⇒WRITING LAB.借景のペンレスト(栃・黒檀)