ペンケースのサイズについて考えに考え続けてきました。
いろんな種類の万年筆に対応して、それらをスマートに収めることができるものができないだろうか。
M800、モンブラン146などのレギュラーサイズの万年筆はペンケースに納まって当然で、逆にこれらの万年筆が入らないとそのペンケースは万年筆用と言えない所があります。
そしてモンブラン149が入るとかなり説得力がありますが、サイズを149に合わせるとほとんどの万年筆が中でカタカタと遊んでしまうほど大きくなってしまいます。
149はペリカンM1000などとともにオーバーサイズというカテゴリーになりますので、これらが入らなくても仕方ない、ということになります。
そういえばパイロットカスタム743は、手の小さな日本人に合ったサイズのボディにオーバーサイズ並みの大きなペン先ついた万年筆で、メーカーからのアナウンスはありませんが、その辺りが開発思想としてあるのかもしれません。
話が少し横道に反れましたが、オーバーサイズやそれ以上の大きさの、例えば中屋万年筆ロングや工房楔のクローズドエンドなどを入れるペンケースに困っている方も多いと思い、当店オリジナル 長寸用万年筆ケースを発売しました。
中に入れる万年筆として一番イメージしたのは、中屋万年筆のロングサイズです。
キャップを尻軸につけなくても書きやすいサイズを保つ、この特長ある長寸万年筆を格好良く収めるための万年筆ケースの必要性を感じていました。
オーバーサイズの万年筆は、大太刀のような存在で、それ1本だけで持っていてもいいのではないか。
そういったものとして万年筆を捉えた場合、ある程度和の雰囲気を持ったものがいいのではないか。
当店の小器用なスタッフKが、自分のシガーロング黒溜めを収めるために自作していた簡単なペン入れの形をそのまま採用した、シンプルで和の雰囲気を持った万年筆ケースです。
表にはしなやかさと耐久性を持つ黒桟革を使っています。
黒桟革は非常に柔らかい、国産黒毛和牛の革にシボ加工して、シボの出っ張った部分に漆を塗るという加工が施されています。
この万年筆ケースに実用的にも質感もピッタリの素材だと思っています。
内側は柔らかさと粘りをもったソフトカーフを使っていますので、中の万年筆を保護するとともに、万年筆が滑り落ちてしまうことを防止してくれます。
シンプルな形だからこそ素材の持ち味が生きてくる。
当店オリジナル長寸万年筆ケースは黒桟革の持ち味が生きたものだと思っています。