ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ

ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ
ファーバーカステル250周年エレメント オリーブ

どんな企業でもターニングポイントとなるような変革の年というものが訪れて、時代の求めに応じて変化していくのだと思います。

創業して250年もたつファーバーカステルにはそんなターニングポイントとなる年が何度も訪れたのではないでしょうか。
今から考えると10年前、240周年の年。

翌年から始まる限定万年筆のシリーズペンオブザイヤーの試金石となるモデルオリーブが発売されましたが、それがカステルが限定万年筆を手掛けることになったターニングポイントで、それによってファーバーカステルの万年筆の世界での存在感が大きくなったと思っています。

ペンオブザイヤーは万年筆ファン全てから注目を集めていて、話題に上りますので、240周年のオリーブを世に問うたカステルの戦略は相当の効果があったことになります。
今回発売された250周年エレメント・オリーブもファーバーカステルが自社の新しい展開を予告する、ターニングポイントを自ら作り出したペンになっていると見ています。

250周年エレメント・オリーブ、そして今後に続くストーリーは数年前から始まっていました。
エレメント・オリーブのベースとなっているイントゥイションは2009年に発売されました。
万年筆としては独特のバランスを持っていて、異端的な存在だったクラシックコレクションと違って、他の万年筆から持ち替えても使いやすい標準的なボディバランスを持ちながら、カステルらしさを持った、カステルの世界戦略的な万年筆です。
イントゥイションのバランスの良さ、使いやすさはそれなりに評価されましたし、実際良いペンでペリカンM400と比較しても見劣りしないものですが、クラシックコレクションにあった、どうにも仕方なく惹かれるような強烈な説得力が薄いように思っていました。

イントゥイションは実用万年筆として、好意的に万年筆ユーザーに受け入れられ、カステルらしい金属キャップのイントゥイション・プラチノという発展モデルを生み出します。

エレメント・オリーブはこのイントゥイション・プラチノを木製ボディにして、ペン先、ペン芯を大型にして、最上の書き味を持たせたものです。

エレメントオリーブは今後、クラシックコレクションのようなペルナンブコ、グラナディラボディのものが発売され、新しいカステルの伯爵コレクションの中心的な存在になっていくと思われます。
数年前に始まった250周年の展開のための点が今やっと線になって、これからもっと太いものになっていくのだと思うと、このエレメントは非常に上質は書き味やボディの色合いや質感という、その物自体の価値以上の重みのあるペンだと思います。