通勤などの移動中の乗り物の中で多くの人がしているように、私も何もしないでいると時間がもったいないような気がして、本を読んだりスマホを見て過ごしています。
でもそういったことを一切せず、ボーッと考える時間も必要だとよく思います。
あるテーマについて考えをまとめる必要がある時、繰り返しそのことを集中して考えて、自分の頭の中に既にあるものにたどり着く作業は、私が最も好きな時間ですが、それはボーッと考えるのとは少し違います。
テーマを決めず、ただボーッと想いが巡るままに考えていると、時々思いがけない発想が浮かぶことがあります。
一片のキーワードだったり、とりとめもない言葉だったりするそういうものは、今すぐ何かの形にはならないかもしれないけれど、きっといつの日か何かのヒントになるのだと思っています。
そんなものを集める専用のネタ帳があってもいいと思います。
ネタ帳に使うのは、例えばシステム手帳のようにバラバラになるものではなく、シンプルな綴じノートの方が時系列でその中に存在し続けてくれますので、合っていると思います。
毎日使うわけではなし、長い文章を書いてどんどん消費していくものではないので、ある程度良いものを使いたい。でも中身は草稿でラフに書くものなので、バランスが難しい気がしていました。
そんな時、MUCUの革表紙ノートを新たに仕入れました。
使い込んだ風合いが出てくれる、タンニンなめしの革表紙のリングノートで、使い終わったらMUCUさんに送ると、書き込んだものは別で綴じて、革表紙の方には新しい紙をセットして送り返してくれます。そうすることで使い込んで風合いが出た革表紙を引き続き使うことができます。
自分が書いたものを送るのはちょっと、という方は、リングを広げて中身を外し、革表紙だけMUCUさんに送ればノートにしてもらうこともできます。
このノートに合う使い道をずっと考えていましたが、いつも鞄に入っていて、長い期間継続して使うネタ帳のような使い方がいいのではないかと思いました。
実は14年前の創業時、MUCUの革表紙ノートを扱っていました。
雑誌でこのノートを見て、その素材感を生かしたシンプルなノートに一目惚れして、東京のMUCUさんの工房まで行って扱わせていただけるようになりました。
当時の革表紙ノートの中紙はわら半紙のような紙になっていて、切りっ放しの革表紙と雰囲気も合ってMUCUの世界観を表現していました。でも万年筆のインクとなるとどうしてもにじむので、難しいものがありました。
でも革表紙のノートは進化していて、中紙も万年筆のインクと相性の良いものに変更されています。
この14年の間に色々な良いものを見る機会があって、取り扱ってきましたが、今見てもMUCUの革表紙ノートは変わらずに輝いて見えました。
ヌードラーズのインクもそうでしたが、自分が万年筆やステーショナリーに夢中だった原点を思い出させてくれるものに、久しぶりに再会しました。