ヌードラーズインク 自由なアメリカの万年筆文化の象徴

ヌードラーズインクは、東海岸のマサチューセッツ州で生まれた比較的新しいインクメーカーです。

ヌードラーズインクの名前は、趣味でナマズを取る人達のことを「ヌードラーズ」と呼ぶことに由来しています。

ナマズ取りたちは、裸に近い恰好で沼に入り、底のナマズの穴に手を入れてナマズを引きずり出して取っているそうですが、ヌードラーズインクの創業者がナマズ取りの名人だったため、ヌードラーズインクと命名したそうです。

ヌードラーズインクは、乾きが早く、にじみがほとんどないという使いやすい性能の他に、ラベルにpH Neutralと表記されているように、万年筆に優しい中性インクであることを特長としています。

その特性は色ごとに違っていて、その中でも耐水性、耐退色性の強いバーナンキブラック、54thマサチューセッツはサラサラしたインクで、太字では極端に太くなりますので、極細や細字などの万年筆での使用をお勧めします。

私は54thマサチューセッツも使っていますが、文字が太くなるので専ら細字に入れて手帳書き用にしています。保存性の強さは手帳書きには強みですし、乾きが早く、詰まりにくそうなところも気に入っています。

万年筆好きな人が、自分の大切な万年筆を傷めず、しかも紙を選ばずに使いやすいインクを作りたいと考えて開発したインクがヌードラーズインクで、たくさんの量が入って安価であるというコストパフォーマンスの高さも、万年筆を使う人のためのインクであるというポリシーが表れています。

最近は少量で薄い色のインクが最近多く見受けられます。それらは今のインクの使い方、今のお客様が求めているものなのかもしれないけれど、ヌードラーズインクはその性能、コストパフォーマンスの高さからメインで大量に使うインクに相応しい。

ヌードラーズインクの面白味は、そのラベルにもあって、それぞれの色からイメージしたものが自由に描かれていて、それを見ているのも楽しく、ただ実用本意なだけではないと思います。

万年筆を使う人にとって理想的な特長を持ちながら、価格を抑えたヌードラーズインクからはアメリカの素朴で良心的な物作りを感じます。

万年筆文化は、ヨーロッパの貴族たちだけのものではない。

肩の力を抜いて、書くことを自然体で楽しむアメリカの万年筆文化の象徴がヌードラーズインクだと思っています。

⇒ヌードラーズ ファウンテンペンインク