母校の伊川谷高校の近くに同級生の葛城君がご夫妻で営むベルグバーンというケーキ屋さんがあります。その業界では有名なお店で、アウゲンというお菓子は1年待ちになっているそうです。
高校の同級生が努力して、自分の店を名店と言われる存在にまでしたことを誇らしく思います。
ベルグバーンのケーキはどれも他のお店にあるものとは違っているような気がします。当然どれを買って帰っても美味しいのだけれど、月火の定休日も店でずっとケーキを作っているそうで、長年その仕事に携わっている職人が手を抜かず、全て自らの手で作っているケーキが美味しくないはずはないと思います。
無口な葛城君がケーキなどのお菓子作りで自分らしさを表現しているのを見ることができるので、ベルグバーンに行くのがとても楽しい。
私たちのような小さな店こそ、自分らしさを表現しなければいけないとつくづく思います。
当店は自分たちでモノを作らないけれど、作家さんやメーカーさんが作ったモノの良さをお客様にお伝えして、さらに楽しく使えるように、様々なものと組み合わせてお客様に提案することが仕事だと思っています。
それがお店の個性であり、それがないとお客様に商品を買っていただけないのではないだろうか。情けないことだけど当店はその表現がまだまだ足りていません。当店で買って下さっているお客様が当店のことを自慢に思えるような店になりたいと思っています。
当店に超個性的で素晴らしい作品を卸してくれているバゲラさんは、自分たちらしさを表現するということでも超一流で、バゲラさんの革作品を扱うようになったことは当店にとって大きな刺激になっています。
先日納品していただいた新作の3本差しペンケースは、今まで作ってくれていた1本差しをストレッチしただけではなく、ちゃんと3本がまとまっていて、美しい仕上がりになっています。新作だけど一目でバゲラさんのものだと分かります。3本差しはすぐに売り切れてしまいましたが、また近いうちに入荷する予定です。
オリジナルの正方形ダイアリーカバーは、オリジナルダイアリーをさらに魅力的に思ってもらうためにも必要なものだと当店からお願いして作ってもらいました。
仕様に関しては全て高田さんにお任せしていますが、太さが調整できる伸縮式のペンホルダーを備えるなど、ペンへのこだわりの強い当店のお客様のことをよく分かって下さっている仕様になっています。バゲラさんらしさを出しながらも、ターゲットとなるお客様のお好みに合わせて下さるところも、プロフェッショナルの仕事だと思います。
後ろ表紙の折り返しの部分(裏表紙の裏)に、高田さんらしさが強烈に出ていて笑ってしまいました。直線にカットするのではなく、革の状態の時の自然なままのラインが生かされていて、高田さんの表現の自由さを感じることができました。
他の部分は完璧に作り込んだ上で、1箇所こういう仕上げがあるというのがいいのだと思います。
私は初めて見て、大いに驚いてすごい仕事だと思ったけれど、高田さんからするといままでも普通にやってきたことなのかもしれません。
この部分があるだけでも、私はこのダイアリーカバーを使いたいと思いました。
キチンと正確なモノ作りも尊いものですが、さらに圧倒されるような個性的な表現が盛り込まれている。
私たちも自分たちの仕事で個性を表現していかなければと思います。