SMOKEブロッター「パゴダ」

オリジナルインク・虚空や、ローラー&クライナーのパーマネントブルーのような薄めで紙に馴染みやすい色のインクが好きです。他には、ヌードラーズのネイビーも好きでよく使います。

ネイビーは最近の流行とは違ってかなり濃い色のインクで、書き味も良くなり万年筆で書いている醍醐味が味わえます。だけど海外のM以上のペンで使うと、紙によってはなかなか乾かないということがあります。

乾きが遅いというのは、濃い色のインクの常で、インクが紙に収まるのを待つ心の余裕が万年筆を使う者の心得なのかもしれないけれど、そんな悠長なことを言っていられる時ばかりでもありません。

当店はネット販売の発送業務と店舗営業を同時にしているので、来客の合間にネットのお客様へのお礼状を書くことが殆どなので、乾きは早くあってほしいと思います。

世の中には「吸取紙」というものがあって、その名の通りインクを吸い取るための紙です。紙の状態のまま使ってもいいですし、ブロッターという器具にセットして使うと、より使いやすく机上での見栄えもします。

お客様からのリクエストも多いのですが、ブロッターにはこだわりがあって、当店ででしか扱っていないブロッターがあります。

時計作家ラマシオンの吉村恒保さんにお願いして作っていただいたのは、アサメラという質量の高い木で作ったブロッターです。これはサイズも大きめで、重量感と圧倒的な存在感を持っています。

ハンドル部分が大きな球形で、握るととても気持ち良く、意味もなく握っていたくなります。アサメラの質感はかなり締まっていて、艶が出てくれそうです。

もうひとつ、最近出来上がったブロッターはスモークの加藤亘さんに作っていただいた「パゴダ」です。

家具職人である加藤さんが、個性を活かしたものを作りたいと試作を繰り返して作り上げた、かなり特長的な形をした意欲作です。机の上のシンボルのような存在になるのではないかと思います。

家具で多用する安定感抜群の素材ウォールナットは、派手な模様はないものの、味わい深い通好みの素材です。個体によって色味の違いがあって、それがこのブロッターの箱に表れていて、面白い味になっていると思います。

パゴダを収める箱は、指物の技術「相鉤の逆留め」という凝った作りになっていて、家具職人らしい取り組みをしてくれていて、こういうところが加藤さんの木製品面白味の一つだと思っています。

パゴダはブロッターに付いている天板(紙を押さえる板)のない仕様ですので、柄入りの吸い取り紙などを使うと映えて、面白い効果を出してくれます。

パゴダと同様、ユニークな形の5本用ペンスタンドペンテーブルは長く作っていただいているものですが、最近認知され始めたのか、よく売れるようになってきました。

ペンテーブルにペンを5本立てている様子は見ていても楽しいものですし、よく使うペンがすぐ手に取れるところに立ててあるのはとても便利です。机上の景色作りと実用性を兼ね備えた、他にないものだと思っています。

ブロッターもペンスタンドもなくても困らないものなのかもしれないけれど、あると万年筆を使うことがもっと楽しくなって、机上の時間が味わい深いものになると思っています。

⇒SMOKE ブロッター パコダ

⇒SMOKE 5本ペンスタンド ペンテーブル