きれいな文字が書ける万年筆

きれいな文字が書ける万年筆
きれいな文字が書ける万年筆

毎月第1金曜日の19時から21時に、青玄書道会の堀谷龍玄先生をお招きして“万年筆できれいな文字を書こう”というペン習字のワークショップを開催しています。

せっかく万年筆で文字を書くのだから、きれいな文字を書きたいという想いは誰もが持っていることで、私ほど字が下手でなくてもご自分の書く文字にコンプレックスを持っておられる方が多いことが分かり、堀谷先生の快諾もあって開講することになりました。

毎回、堀谷先生が書いてきて下さるお手本を見ながら2時間の間ひたすら書き続ける。
最初の15分程は物音ひとつ聞こえず、皆さんとても集中して書いておられることが分かります。
しばらくすると堀谷先生がお一人ずつの書かれたものを見て、そこに赤ペンで指導していきます。
ここで書き方のコツを教えていただいた文字は見違えるほどきれいになりますが、他の文字とのギャップがあります。
でもこうやってきれいに書くことができる文字がひとつずつ増えていって、自分でも練習することによって全体が変わっていくのだと思います。

すごく集中して、もっときれいな文字を書きたいと思って気合いを入れて文字を書いていると、その万年筆の持つ性能が見えてくることがあります。

自分が持っている万年筆の中で、一番高価なものを使いたいと思いますが、どの万年筆がペン習字に向いているのかはすぐに分かってしまいます。

ペン習字に参加されている方それぞれ使われている万年筆は違っていて、使い手によって向いたものがあるのだと思いますが、一番評価が高いのはペリカンM800のEFペン先です。
長くハードに書くことにおいて、最高のバランスを持った万年筆というのはペン習字においても良い使い勝手を見せるのだと、さすがペリカンM800だと唸りました。

一方私は、線の美しさや繊細さが必要なペン習字には日本のメーカーのものが合っていると思っていて、プラチナブライヤーやパイロットシルバーンばかりを使っています。
講師の堀谷先生も国産派で、セーラープロフィットスタンダード21と出会ってご自分の文字が変わったと言われます。

数ある万年筆の中でも比較的地味で、取り上げられるべき特長の少ない万年筆だと思っていましたが、堀谷先生のお話を聞いて納得しました。

プロフィットスタンダード21は、セーラーの代表的なモデルプロフィット21の小型版で、ボディの直径が10mm、全長で150mmプロフィット21よりコンパクトにできています。
ボディはコンパクトですがペン先には21金が使われていて、14金のものよりも上質な書き味を持っています。

堀谷先生がプロフィットスタンダード21に惹かれたのは、上質な書き味もそうですが、先生の独特の筆記スタイルがコンパクトなサイズを求めてのことでした。
堀谷先生は万年筆を持つ時、ペン先の根本近く首軸の先端を持ちます。
なるべく紙の近くを持って万年筆をコントロールしたいということだそうですが、ペン先の大きな万年筆でしたら指が紙からその分遠くなってしまいますので、ペン先の小さな万年筆が使いやすいそうです。
そして、先端を持って書かれるのでボディはなるべく短く軽いものがよく、プロフィットスタンダード21はそれらの条件にピッタリ合うそうです。

上質なペン先を持ち、軽く小さなペン先の万年筆と考えてみると他にあまりなく、プロフィットスタンダード21に代わるものがないことが分かります。
ボディやペン先は小さなサイズがいい、でも上質なものでないとフィーリングが悪いし、愛用のものになった時に長く使うことができないという願望に叶ったセーラープロフィットスタンダード21は、きれいな文字を書くことができる万年筆の筆頭だと言えます。

堀谷先生の万年筆での作品のほとんどはこのプロフィットスタンダード21で書かれていて、その作品は高い評価を得ています。

⇒プロフィットスタンダード21
⇒ペリカンM800

オリジナルダイアリーとダイアリーカバー

オリジナルダイアリーとダイアリーカバー
オリジナルダイアリーとダイアリーカバー

来年のダイアリーは何を使おうか考えながら、様々なものを見て迷宮をさまよっている方はおられないでしょうか?

様々なダイアリーを知れば知るほど、どのダイアリーがご自分の使い方に合っているのか分からなくなりますのでその気持ちはとてもよく分かります。

ダイアリー選びを迷われている方に、当店と西宮のステーショナリーショップ分度器ドットコムさん、神戸の印刷会社大和出版印刷さんが共同で企画したオリジナルダイアリーをお勧めしたいと思います。

オリジナルダイアリーは万年筆を使う方のために企画したダイアリーで、万年筆で書く楽しさも感じていただけるものだと確信しています。

万年筆は、インクによってその書き心地や性質が大きく変わってきます。

流れの良いインクを使うと、多くの場合インク出の良い、書き味の良い万年筆になりますが、筆跡がにじむこともあります。
あまり流れの良くないインクの場合は、書き味はまた違ったものになりますが、にじみにくいという点もあります。

仮に万年筆の書き味というフィーリングを無視すると、紙とインクの関係はもっとはっきりしてきて、にじみやすい紙にはあまりにじまないドイツ製かプラチナのブルーブラックが有効です。

万年筆を使うからには書き味を良く書きたい、でも書いた後の文字も美しく見せたいというのは万年筆を使う方々皆の心情だと思いますし、手帳を書く色が制約されるのも何か窮屈な感じがします。

インク選びに迷わず、好きな色のインクが使えて、書き味も良い紙がダイアリーの紙として理想だと私は思いますが、神戸六甲アイランドの大和出版印刷さんが開発したリスシオ・ワン紙はそんな紙で、その紙で作ったダイアリーは万年筆を使う人にとって一度は試しても良いものだと思います。

万年筆の書き味が良ければ紙の書き味はそれほど問題ではないと思いがちですが、ダイアリーにはなるべく小さな文字が書けて、後から見やすい細字の万年筆で書くことが多くなりますので重要な問題です。
細字の万年筆は、太目の字幅の万年筆に比べるとどうしても書き味が劣りますので、書き味の良い紙というのは、ダイアリーに使われて一番その良さを発揮すると思います。

オリジナルダイアリーは、紙の良さだけでなく、1年間十分に使い続けることのできる強度と快適に使うことができる平らに開く製本にも特徴があります。
罫線は、カレンダー式のマンスリー、売れ筋で評判の良いウィークリー、日記風のデイリーと3種類ありますが、組み合わせのお勧めとしてはマンスリープラス、1日の書く量に応じてウィークリーかデイリーを選択するという使い方になります。

予定が細かくたくさん入る方は、ウィークリー、記録として使いたい方はデイリーがいいと思います。

それらのダイアリーは万年筆で書くということを一番に考えていて、別売りの神戸の鞄店ル・ボナーさんの協力によって、作られているダイアリーカバーにペンホルダーやベルトが付いていないのも、書くときに邪魔になるからという理由からです。
とてもシンプルなダイアリーカバーですが、上質な革の感触を楽しみながら使うことができるものになっています。
ダイアリーカバーは、シングルとダブルの2種類があり、中に入れる冊数によって選択していただけます。
シングルはマンスリーとウィークリーかデイリー、あるいは横罫や方眼ノート。もしくは方眼罫に切取線がある分度器ドットコムオリジナルツバメノートの組み合わせ。

ダブルは上記のシングルの組み合わせにさらに1冊、もしくは2冊まで収納することができる、全てを1冊にまとめることができます。

シングルに用意している革はカジュアルな服装に合い、柔らかな質感でありながら、傷がつきにくいシュランケンカーフ、スーツなどのフォーマルな服装にも合う黒のブッテーロ革に赤のステッチの2種類です。
ダブルは、高級感のある光沢のクリスペルカーフ、使い込んでエージングさせる楽しみのあるブッテーロと、革のお好みによって選んでいただけるようにしています。

正方形のダイアリーサイズは、筆記スペースの確保と携帯性を両立したもので、縦方向が規格サイズよりも短いことにより、ダイアリーをパソコンのキーボードの手前に置いてもキーボードがあまり遠くなりません。

私の使い方は、クリスペルカーフのダブルのカバーに、カレンダー代わりのマンスリー、その日のメモを全て記すデイリーダイアリー、アイデアや雑記などに使い、用事が済むと切り離せる分度器ドットコムのオリジナルツバメノートの組み合わせです。
すぐにメモできるようにいつも傍らに置いていて、何でもこの1冊に書き込むことができます。

万年筆を使う人のために企画私共のオリジナルダイアリーを一人でも多くの方に使っていただきたいと思っています。

⇒オリジナルダイアリー(紙製品トップへ)cbid=2557112⇒オリジナルダイアリー(紙製品トップへ)csid=1″ target=”_blank”>⇒オリジナルダイアリー(紙製品トップへ)
⇒オリジナルダイアリーカバー(革製品トップへ)cbid=2557544⇒オリジナルダイアリーカバー(革製品トップへ)csid=0″ target=”_blank”>⇒オリジナルダイアリーカバー(革製品トップへ)

ミネルバボックスの革

ミネルバボックスの革
ミネルバボックスの革

六甲アイランドの鞄店、ル・ボナーの松本さんのブログにも出ていましたが、6月のヨーロッパ旅行は私たちにとって本当に良い思い出となっています。
かなりハードな日程で、体力の限界まで歩き続け、男だけで狭い部屋で寝起きするという毎日を2週間近く続けていました。
ホテルに帰ったらシャワーを浴びるのが精一杯で、すぐにベッドに入ってしまうという極限状態でも本当に楽しかったと思います。
体力の限界に挑んだ男だけの生活をしていると、気まずくなったり、言い争いなど気持ちがすれ違うことも起こりそうなものですが、そういうこともなく和やかに旅を続けることができたのは奇跡に近いことなのかもしれません。

毎日歩き続けた旅行でしたが、足が痛くならなかったのは、多少履きなれていたビルケンシュトックのメンフィスという靴を履いていたおかげだというのは間違いありませんが、もうひとつ歩き続ける役に立ったのは、ル・ボナーのパパスショルダーでした。
パパスショルダーの中に、長財布、デジカメ、パスポート、万年筆ケース、旅ノートやドイツ、チェコでは夜が冷えましたので薄い上着まで入れていました。
このようにそれなりにたくさんの荷物が入る鞄ですが、荷物が少ない時でも、体にピッタリとフィットしてくれて、たすき掛けしてもその姿が幼くならず、それなりにサマになります。

松本さんが長年の経験から作り出したこの鞄の形や構造がそれを実現していますが、もうひとつの要因として、パパスショルダーに使われている革の丈夫さとしなやかさにあると思っています。

私が使っているパパスショルダーは、ミネルバボックスという素材感のある非常に上質な革を使っています。

この革の特長は、タンニンなめしによる自然な風合いと良い香り、そして固く絞った布で水拭き(やり過ぎに注意)することにより革の表情を自分で作り出せるところだと思っています。

何もせずに使っていても艶が出て良い感じのエージングをしてくれますが、水拭きすることにより革に含まれたオイル分が表面に皮膜にようなものを作り色が濃くなり、艶を出すということもできます。
そのように表情を作ることができる革を松本さんと出会うまで知りませんでした。
ブッテーロも水拭きが効果的な革ですが、やはりミネルバボックスの変化は強烈です。
同じ革で作られているペンケースがデブペンケースのミネルバボックス仕様です。
ファスナー式の大きなペンケースで、ル・ボナーさんの長年に渡る定番商品です。
鞄は使わない日もありますが、ペンケースは四六時中近くにあり、より手に触れることが多いと思いますので、ミネルバボックスのような素材感を感じることができる上質な革で作られたものには、より愛着が湧くように思います。
デブペンケースには、ミネルバボックスの革を含めて3種類の革のバリエーションがあります。
しっかりとした革質でエージングの美しいブッテーロの革のタイプはル・ボナーさんで長年作られてきたものです。
シュランケンカーフは発色が明るいとてもきれいで、しなやかな革です。
傷に強いところもポイントだと思っています。
パパスショルダーは、ル・ボナーさんで扱っている名作鞄で、デブペンケースは当店でも扱っています。

⇒ル・ボナーデブ・ペンケース(革製品一覧へ)gid=2125743″ target=”_blank”>⇒ル・ボナーデブ・ペンケース(革製品一覧へ)

残心-ZANSHIN-シリーズ

残心-ZANSHIN-シリーズ
残心-ZANSHIN-シリーズ

ル・ボナーの松本さんから新しい考え方の革小物のシリーズ、残心(ざんしん)を作るということは今年の始めから聞いていました。
一緒に行ったヨーロッパ旅行でも残心のサンプルをご自身で試されたりしていましたので、私や分度器ドットコムの谷本さんも、今年は残心シリーズを販売するということを意識していました。

松本さんはいつも新しい商品を作ると私たちに見せて反応を確かめて、その思いのたけを話してくれますが、残心のシリーズへの意気込みは今までで一番強いものに感じましたので、一緒に盛り上げたいと思っていました。

一番最初に出た折財布を始め他の商品も、なるべく薄く、軽くした革を最小限の加工でいかに最良の実用性を発揮させられるかを考え抜いたものだと思いました。
職人技というよりも、革の加工を知り尽くした人がたどり着いた境地、無手勝流のようなもの作りを感じました。
独立系の職人さんには、全て自身が手をかけなくてはならないという固定観念みたいなものを持ってしまうものだと思います。
その中でも松本さんは、そんな固定観念を捨てることができた人で、その松本さんの立場が残心を生み出したと言えます。

多くの革職人さんは手をかけることを良しとして、物の美しさや実用性よりもいかに手がかかっているかが語られる物作りを目指しているような気がします。
しかし、残心はそれと真逆の物作りをしていて、松本さんだからこそ成し得たシリーズだと言えるのです。

残心シリーズも協力先の職人集団フラソリティーが製作を担当しています。
企画、設計が命だと言える残心シリーズを陰で支えて、都会的で洗練された革製品という松本さんのイメージ通りのものを量産してくれています。
残心シリーズでは、企画した松本さんの、ご自身のブログでは見せないストイックさが感じられて、そういったことを合わせて考えても非常に面白いと思っています。

私たちとの会話では、仕事に対する厳しさは見え隠れしますが、松本さんはそれをあまり表に出さないタイプの人でした。
新シリーズ残心のようなものを松本さんはずっと作りたかったのではないかと思っています。
しかし、残心シリーズの中にもブログで見る松本さんらしさは表れていて、例えばキーケースやコインケースに使われている金具を海外のその分野では一流と言われているメーカーのものを採用して、物としての面白みを追加していたりしていたりしています。

残心シリーズの核となるのは、やはり折財布です。
とてもシンプルで、小さく薄い財布で、ここにカードも3枚収納することができます。
休日など、いつも持ち歩く財布が大きいために鞄を持たざるを得ないと言う人もおられると思いますが、残心の折財布ならポケットに入れてもかさばりませんので、休みの日の財布としても使うことができると思います。

また、コインケースと折財布を組み合わせることで、一つの財布として使うこともできます。
折財布、キーケース、コインケースを現在発売しておりますが、今後は名刺入れ、ブックカバー、A7手帳カバー、長財布、ロディアメモカバー、ロールペンケースと続きます。

究極のシンプルさと物好きの美学、そして組み合わせて使える子供の頃のおもちゃのような楽しみまで、残心のシリーズは持ち合わせています。

カンダミサコミネルバボックスノートカバー

カンダミサコミネルバボックスノートカバー
カンダミサコミネルバボックスノートカバー

カンダミサコさんの文庫本サイズのノート、ダイアリーカバーが完成しました。
今回の企画は、このサイズのノートやダイアリーを使う人が万年筆を使う人には非常に多いということを踏まえ、そういった方々に、良い作り・良い革で作ったものを使っていただきたいという想いから始まりました。

分度器ドットコムの谷本さん、カンダさんとともに素材、色、仕様など決めていきました。
すでに多くの人が使っている文庫本サイズのノートですが、このカバーを見て、そのサイズを使ってみたいと思わせる魅力がこのカバーにはあると思っています。

自然な革らしい風合い、素材感が楽しめるミネルバボックスの革を表に、スムースで上質なブッテーロを内側に使っています。
ミネルバボックスはエイジングが楽しめる革で、使っているうちに変化していく過程は本当におもしろいと思います。また、濡らした布を固く絞って磨くように水拭きすると劇的に変化します。

革に染み込んでいるオイルが表面に現れ膜を作っていくため、マットな風合いの革に光沢が出てきます。そのためご自分で革の表情を作り出すことも可能です。

ブッテーロは傷などがついた場合、浅いものであれば指で擦ると消える面白い革で、ミネルバボックス同様水拭きで艶を増します。
このカバーの最大の特徴は、万年筆を一緒に収納できるということで、ペリカンM800(最大径15mm)までのペンを保護しながら収めることができます。
手帳を書く時に万年筆を使いたいという方も多いですし、安心してお使いいただけると思います。

また、一つずつ手作業で仕上げられていますので、細部に至るまでの丁寧な造りを感じて頂けると思います。

文庫本サイズのダイアリーというと、ほぼ日手帳を使われている方が多いと思います。
このカバーを作る時にほぼ日手帳のこともやはり意識しています。
カバーを開いた左側にほぼ日手帳などの日付入りダイアリーを、右側に文庫サイズのノート差し込むようにイメージしていますので、厚くなっても対応できます。

ユニークなのは、色の選択にもあります。
グリージオ、オルテンシア、プルーニャの3色は一般的な革の色の売れ筋とは違うものですが、カンダさん、谷本さん、当店スタッフKが決定しました。
とてもお洒落な色合いで、こうやって3色を見てみるとどれも魅力的な色合いで、色選びにも大いに迷うのではないかと思います。

ノート、ダイアリーカバーという中身がまず主体としてあって、それをサポートするものがカバーですが、このカバーを使うために中身を選びたくなる、魅力がこのカバーにはあると思います。

*画像は店主の私物(グリージオ色)です。

オリジナルダイアリーカバー

オリジナルダイアリーカバー
オリジナルダイアリーカバー

万年筆で書くためのダイアリーとして発売しています分度器ドットコム、大和出版印刷との共同企画のオリジナルリスシオダイアリー。
そのダイアリーの機能を補い、最大限活用するためのダイアリーカバーを新色も交えて今年も作りました。

オリジナルダイアリーカバーは、鞄店ル・ボナーさんの制作によるもので、店主松本さんのアイデアも込められています。
中身を入れたその物の佇まいを大切にしたいと思い、ペンホルダーやベルトなどのない、とてもシンプルな造形を目指しました。

ウィークリー、マンスリー、デイリー3種類のダイアリーと横罫、方眼の2種類のノートの中から好きなものを選んでひとつにまとめることができるカバーで、中身のボリュームによってシングルとダブルを選ぶことができます。

シングルはマンスリーダイアリーと他のノート1冊の組み合わせをイメージして作りました。

ダブルでは少し重く感じられる女性の方にも使っていただきたいと思い、表革に柔らかく傷に強いシュランケンカーフ、裏革に艶やかでスムースな感触のブッテーロを使い、さらにカラーバリエーションを豊富にして、選んでいただけるようにしました。

色の選択、外側と内側の配色などはセンスの良い分度器ドットコムの谷本さんと当店スタッフKが担当していて、とても気持ちいい色の組み合わせになっていると思っています。

シングルにはブッテーロの黒に、ステッチと内側を赤にしたものもあり、これも人気の配色です。

ダブルのカバーは、オリジナルダイアリーとノートの良さを最大限引き立ててくれるものだと思っています。
昨年の発売時にもかなり話題になりましたが、私共の企画の目玉となるものだと思っています。

「マンスリーダイアリー+ウィークリーダイアリー」あるいは「デイリーダイアリー+ノート」の組み合わせをイメージしていて、スケジュールの管理だけでなく、メモを取ることができるものになっています。

ノートを全て1冊にまとめたいという願望を実現したものでもあります。
ダブルのカバーは、クリスペルカーフブラックとブラウンとブッテーロキャメルそして、シュランケンカーフオレンジとイエローがあります。

クリスペルカーフは、スーツと相性の良い緊張感のある革です。

シンプルなダブルのカバーが最も美しく引き立つ素材だと思っています。
スーツではなく、カジュアルな服装でお仕事をされている方や、革のエージングを楽しみたい方には、ブッテーロがお勧めです。
ブッテーロの中でも特にキャメルはエージングが美しく、使い込むごとに色合いが変化し、光沢を増す素材です。

オリジナルダイアリーは、これらのダイアリーカバーと一緒に使うことで、さらに愛着を持って、楽しみながら使うことができるものになると思います。
使う方の満足感を得られるものを作りたいといつも思っていて、ダイアリーカバーは自信を持ってお勧めできるものです。

一人でも多くの人に書く楽しみも知ることができる「オリジナルダイアリープラスカバー」を使っていただきたいと思っています。

*画像はクリスペルカーフ・ダブルです。

⇒オリジナルダイアリーカバー(革製品一覧へ)cbid=2557544⇒オリジナルダイアリーカバー(革製品一覧へ)csid=0″ target=”_blank”>⇒オリジナルダイアリーカバー(革製品一覧へ)
⇒オリジナルダイアリー(紙製品一覧へ)cbid=2557112⇒オリジナルダイアリー(紙製品一覧へ)csid=1″ target=”_blank”>⇒オリジナルダイアリー(紙製品一覧へ)

当店のペン先調整

当店のペン先調整
当店のペン先調整

あまり物事を深く考える方ではないですが、ペン先の調整については私なりに考えていることがあります。

万年筆のペン先調整は万年筆店の必要なサービスのひとつだと考えています。
調整の方法が万年筆よりも先に議論されることは私としてはあまり面白いと思えることではなく、ペン先調整はさりげなく、自然なものであるべきだと思っています。

メーカーの工場出荷調整ではなかなか実現が難しい、その万年筆のポテンシャルを最大限に引き出すこと、使う人の書き方に合わせたりすることがペン先調整であると思っています。
指先の技術だけではなく、書きやすいと思ったペン先の形を頭の中に蓄積していき、それを単純な作業で実現する目と頭の訓練、イメージの作業であると、日々調整しているうちに思いました。

調整が上手くいかない時、黙々と作業を続けるよりも少し距離をおいて(例えば外でタバコを吸いながら)その調整について考え、再度取りかかると上手くいったりします。そういうところからも調整は手先の訓練ではなく、イメージによるものだと思っています。

目に焼き付いている素晴らしい書き味の万年筆のペン先に、今目の前にあるペン先を似せるように努力していくのです。

私の調整に使う道具はとてもシンプルです。
基本的な調整なら1000番の耐水ペーパー、10000番のフィルムやすり、25倍のルーペとゴム板(ペン先を外す)でできてしまいます。

電動のグラインダーもあり、よく使いますが、これは時間短縮のためと、より上質な書き味を実現するプラスアルファの効果のためで、これがないと絶対調整ができないというわけではありません。
やすりなどでペン先を研ぐことがペン先調整だと思われることが多いですが、ペン先とペン芯を毛細管現象がちゃんと働くように合わせることや、ペン先の左右の食い違いを矯正することの方が重要で、それらが出来上がると、ペン先調整はほぼ出来上がっていると言えます。

私のペン先調整は、万年筆を全て別なものにするのではなく、その万年筆が本来持っている性能を発揮できるようにするというところにあります。

書き慣らされたペン先に調整はかないません。ただ、書き慣らすための基礎作りをしているというのが、私のペン先調整なのだと思っています。

趣味の道具か、実用か ペリカンM800ブルー・オ・ブルー

趣味の道具か、実用か ペリカンM800ブルー・オ・ブルー
趣味の道具か、実用か ペリカンM800ブルー・オ・ブルー

ブルー・オ・ブルーは忘れかけていた万年筆の正解、M800の良さを思い出せてくれる役に立ったと思っています。
たくさんのメーカーからたくさんの万年筆が出ていて、新製品もたくさん発売されています。
メーカーも常に新しいものを示して顧客に飽きられないように、当然の活動です。
しかし、万年筆の実用においての正解があるとするなら、これから発売される何かではなく、すでに発売されていて、長い間使い継がれている定番の中にあるのではないかと私は思っています。
何か大きな新発明が出ない限り、万年筆の実用においての正解はもう既に示されているのです。

宣伝の必要のない定番品と比べて、派手に雑誌広告などで取り上げられ、発売される限定品や新製品の方が目立ってしまい、正解である定番品に多くの人の目が向かないのは残念に思っていました。

しかし、M800ブルー・オ・ブルーは限定品でありながら、万年筆の正解を手に出来るということで、皆様にお勧めしたい万年筆です。

ペリカンM800は、日常の道具として酷使に耐えうる道具であり、このM800が万年筆の中で最も優れたバランスを持った万年筆であることは多くの人が知るところで、私もペリカンM800を初めての万年筆としてもおすすめしています。
同様に、モンブラン146もほぼ同じプロポーションを持っています。モンブラン146には計算され尽くした、均整のとれた完璧でスマートな優等生らしさが感じられると思っています。

それに対してM800は洗練とはほど遠い、長時間ハードに書くための道具であり、もしかしたらとても文房具的でシンプルすぎる存在なのかもしれません。
M800を最初の1本として使い始め、万年筆の全てを教えてもらいながら、他にもっと良いものがあるかもしれないと違う万年筆をいろいろ使ってみるけれど、やはりこれが良かったと、最後に手にする万年筆なのかもしれないと思っています。

万年筆は趣味の道具か、実用の道具かということをよく考えますが、実用の道具でありたいと思っています。

私にとっては仕事を趣味に近付けるための道具、書くことで仕事を楽しくしてくれる道具が万年筆でしたので、趣味と実用の間なのかもしれません。
そんな私にとってM800は本当に丁度良い存在でした。

書き味が良いだけでなく、所有することにも価値を見出せますし、最もプロポーションに優れた万年筆であり酷使に耐えるものである、という事も嬉しいところです。

万年筆のような、趣味と実用の中間に位置し自分のこだわりを表現するものにおいて、ポテンシャルが高いということはとても大切なことで、自分は潜在能力の高い万年筆を持っていると思えることが、こういった万年筆を使う上で大切な気持ちの置き所なのかもしれません。

このM800のポテンシャルの高さは相当なもので、ペリカンの中で最も硬いペン先とインクの性質に左右されにくい高性能なペン芯の存在が、ボディのバランスの良さと一緒になって、M800を最も筆記に適した万年筆にしています。

趣味の道具でもいい、でもハードな実用に耐えられる存在であってほしい。
M800はそんな物への期待に応えてくれる万年筆だと思っています。
限定生産品ブルー・オ・ブルーは、M800と言うモデルの、「ロングセラーであるが故の目新しさのなさ」を解消する役割を果たすと思っています。

ダイアリーの季節

ダイアリーの季節
ダイアリーの季節

毎年非常にたくさんのダイアリー が文房具店や書店の店頭に並んで、多くの人が1シーズンにそれらを1冊だけでなく、2冊以上買うことも珍しくないと思います。
でも毎年必ず同じ物を使い続けている人は少ないかもしれませんし、繰り返し使われるリピーター率の高いものというのは、決まっているのかもしれません。

そんな厳しいダイアリー商戦に私たちが敢えてオリジナルダイアリーを出して挑んだのは、ダイアリーが私たちの筆記習慣の中心となるものだと思ったからです。
言い変えるとダイアリーは万年筆を使う理由として最初に多くの人が挙げるものだからです。

手紙などを書かず、電子メールで全て済ませる人でも手帳は手書きする人が多いので、そういった人たちにも使っていただくための、独自のこだわりを持ったダイアリーを発売したいというのは願いに近いものでした。

当店のオリジナルダイアリーは、分度器ドットコムさん、大和出版印刷さんとの共同開発で、それぞれの得意分野を反映しています。
ダイアリーの用紙は大和出版印刷の万年筆用紙リスシオ・ワンです。
リスシオ・ワンは文句なしに書き味が良く、この紙の書き味を知ってしまうと他の紙が使いにくくなるほどです。

リスシオ・ワンの書き味を確かめながら、書くことを楽しみたい方には、デイリーダイアリーが最適だと思います。

日記のように使うことができる、日付の入っていないフリーダイアリーですので、その日の書く分量によってページを加減することができます。
1ページの4分割レイアウトは各人の工夫で、様々な使い方ができます。
同じ項目は、ページの同じ場所に書くようにすると後から見たとき必要な情報を見つけだしやすくなります。

月間ダイアリーの一覧性は侮れないものがあります。スケジュール管理をするために一番使いやすい形はこのようなカレンダータイプだという方も多いかもしれません。

たくさんの量を書き込むことはできませんが、一覧性と同時に書き込むことも楽にできます。
ページの一番左側の部分、1ヶ月の目標や予定を書くスペース、各週の始めにあるスペースはその週の予定や、日にちは決まっていないけれど、この辺りの予定などを書き込むのに便利です。

月間ダイアリーは定番のレイアウトの中に、独自の工夫を盛り込んだものになっています。
週間ダイアリーは、シンプルな定番レイアウトを守りながら、使い手の自由度を高めたものになっています。

1日を大きく2つに分けたページ欄は、当然午前と午後に分けて使うことも可能です。
仕事とプライベート、自分と相棒の予定など様々な使い方が工夫ひとつでできる、実は優れ物なのです。

これらのダイアリーと横罫や方眼のノートを組み合わせて使うために便利なカバーもル・ボナーさんが昨年同様制作しています。
カバーの完成は11月上旬ごろを予定しています。
あと2ヶ月半で2011年。
当店のオリジナルダイアリーをぜひお使いいただきたいと思います。

⇒リスシオ・ワンオリジナルダイアリー

追い込まれて出会った道具「Liscio-1薄型ノート」

追い込まれて出会った道具「Liscio-1薄型ノート」
追い込まれて出会った道具「Liscio-1薄型ノート」

こんなに緊張することは人生においてあまりないのではないかと思いました。
大和座狂言事務所の狂言の公演間に行われる、基調講演というものがあります。それは公演ごとにあらゆる分野の専門家が壇上に立ち、古典文化とのつながりや精神性について話すというものでした。

お客様である、大和座狂言事務所の安東先生から出演の依頼をいただき、大勢の人の前で話す事が苦手な私ですが、万年筆の事を一人でも多くの方に知って欲しいという気持ちから思いきってお引き受けしたのです。

基調講演自体は時間が足りなくなって、皆さまにご迷惑をおかけして自責の念にかられていますが、人前で話すことに対する度胸みたいなものはついたのではないかと思っています。

今までになかった負荷の中で、様々なご配慮をしてくださった大和座狂言事務所の方々の気持ちが心に沁み、感謝しています。

今回の基調講演のために本当は半年前から色々考えていたのですが、やらなければいけないというリアリティを持って取り組んだのは夏になってからでした。
それでも数ヶ月もの時間がありましたが、毎日減っていくカレンダーに焦りながら、とにかく何かをやらなければならないという気持ちで、無駄な作業もたくさんしていたようにも思います。

まず、講演で話す内容を項目ごとに細かく情報カードに書いていきました。先に情報カードにタイトルだけを書き、順番を決めてから、箇条書きで内容を情報カードに書き込んでいくのです。
それを元にパソコンで原稿を作り、声に出して読んでみたりして、そこに手書きで修正、加筆などしていきました。
その原稿をもとに、また声に出して読んでみたりしましたが、私の場合は間の流れがつかめず上手くいきませんでした。

こういうやり方があったのだと思ったのは、かなり講演が迫ってからでした。

話す内容が決まったら、順番や項目、内容の箇条書きを見ながら、その内容をひたすら書くということが、結局私に合っていることが分かりました。
話したい内容をひたすら書いていくと、自然と頭に入っていき、内容も練られていくような気がします。

そういった作業に向くのは、立派な厚いノートではなく、薄型のひとつのテーマで使い切れるようなノートが良いと思いました。
私が使ったのは、大和出版印刷のリスシオ1薄型ノートで、綴じ方もホッチキス留めなので、折り返してつかうのにも便利です。
1時間半の講演の内容をひたすら書いて、ちょうど1冊使い切るくらいの分量で完結します。
そうやって書いたものは、そのまま講演のカンニングペーパーになりました。

いろんなものを使って、無駄な作業を繰り返して、たどりついた道具、それが本当に簡単な薄いノートで、その存在はとても有難く感じられました。

*出演直前の最終確認中の画像です
⇒Liscio-1(リスシオ・ワン)薄型ノート横罫・方眼
⇒Liscio-1(リスシオ・ワン)薄型ノート無地