ラミーサファリ〜届けたい生活万年筆

ふみぶみというフリーペーパーの冊子を当店で置かせていただいていて、ご来店いただきましたお客様や、通販をご利用いただいたお客様でご希望される方にお渡ししています。

この冊子は、手紙を書くことが好きで、手紙を書くことの楽しさを伝えて手紙を書く人を増やしたいという志で「お手紙向上委員会」を主催しているうちだまきさんが発行しています。

私はvol.1から寄稿させていただいていて、いつも好きなことを書かせていただいていますが、ふみぶみを読んで当店に興味を持たれた方が来て下さるという、とても有難い冊子です。

ふみぶみは年4回の発行で、先日最新のvol.27が出来上がりました。今回はその中で、私が日常使っている「普段使いの万年筆」について書きました。

ペリカンやモンブラン、アウロラのようなラグジュアリーな存在のものではなくて、ペンケースにガチャガチャとしまって、持ち運んでいる日常使いの万年筆。

上海の万年筆工場でもらったサンプルの軸に、当店のオリジナル万年筆のキャップを合わせたという適当な万年筆や、使用感が出てきているセーラープロフィット、枕元に置いて寝転んで書いたりしているラミーサファリなど。

特にラミーサファリはペン先がステンレスで、金ペン先の万年筆に比べると価格も安いですが、自分で使い込んだことでとても良い書き味になりました。

そのペンで書くことが嬉しくて、気付けばいつまでも書いていたいと思えるような書き味になっていて、大切に思っている万年筆たちです。

多くの人にとって文字を書く道具はスマホ、タブレット、PCになっていて、紙にペンで文字を書くことが世界的になくなっているそうです。

そう考えると、高級万年筆メーカーが万年筆などの高級筆記具をライティングジュエリーというラグジュアリーな存在にして、書く道具ではなく、宝飾品だとしようとしていることも頷けます。

しかしラミーは、美しいペンを作っているけれど考え方が違います。

著名なインダストリアルデザイナーを起用して、実用的に意味のない装飾を排除した、機能がデザインを決定するという考え方のペン作りをしています。実用のためのペンであることを宣言しています。

そう考えるとラミーというメーカーは、万年筆メーカーの中では実用性にこだわっている稀有な存在なのかもしれません。

うちださんが手紙を書く人を増やしたいという志でふみぶみを発行しておられることに強く共感します。

私も万年筆を使うことで毎日が明るく、楽しくなると自分の経験から思っていて、自分と同じように万年筆を使うことで毎日が明るくなる人を増やしたいと思ってこの店を始めました。

今もそう思っていますが、創業当時よりも書くということが尊いことになっているような気がします。

でもそんな大したことでもなくて、覚え書きでも買い物メモでもいい、どんなものでも万年筆で書くようにすると毎日が楽しくなるということを私は伝えたいと思っています。

そしてラミーサファリは私が万年筆で書く楽しさを一番伝えたいと思っている人たちに一番届きやすくて、伝わりやすい万年筆なのだと思っています。

⇒LAMY サファリ

刑事(デカ)手帳 ・DRAPE発売

刑事(デカ)手帳は、上着のポケットはもちろん、ベストのポケットにも入る携帯しやすいメモ帳で、キチンとした印象の本革の手帳は持つ喜びも味わえると思います。

バインダーのついたシステム手帳は、好きなリフィルを入れられて、中身に縛られないのも良いところです。

メモ帳として小さくてとても使いやすい刑事手帳をもっと多くの方に使っていただきたいと思って革の印象が少し異なる「刑事手帳DRAPE」を作りました。
刑事手帳DRAPEでは、有名メゾンも使用しているとても発色の良い美しい革「エプソン」のカラーバリエーションから、トープとロイヤルブルーを選びました。

今まで刑事手帳という名前に自分たちが縛られていて、ハードボイルドな印象のブラックのゴート茶利革、焦茶色のオーガニックオイルドレザーを製作してもらっていましたが、エレガントで華やかな刑事手帳に仕上がりました。

働き出してからすぐ、仕事で覚えておかなくてはいけないことを書き留めるためのメモ帳を持つようになりました。

当時確か厳しい先輩に言われて持つようになったような気がしますが、仕事の時にはもちろん、休みの日にもペンとメモを持って歩くようになりました。

何かあるとメモを書いている私を、590&Co.の谷本さんはメモ魔と言うけれど、もう習慣になっています。
私はそれよりも、書き残さなくても何でもきちんと覚えている谷本さんがすごいと思っています。手帳がなくても仕事ができる人に出会うたびそう思うのですが、手帳があると仕事が楽しくなるのに、とも思います。

まあそれは私が手帳好きだからそう思うのかもしれませんが、手帳が好きな人にとっては、万年筆と同様、趣味と実益を兼ねたものなのかもしれません。
私の頭の中はものすごく単純で、覚えておかなくてはいけないことがあるとそれで頭がいっぱいになって他のことが考えられなくなります。
それで自分で覚えておく代わりにメモ帳に覚えてもらっておいて、自分はなるべく考えることに専念したい。
考えると言ってもそんな複雑なことではなくて、企画や書くべき原稿の内容であることが多いです。

毎朝駅までの30分間に歩きながら考えようといつも思いますが、歩くことや途中で見た景色に気を取られて、考えようと思っていたことが考えられずに駅に着くことがよくあります。

散歩している時やトイレにいる時にアイデアが湧いたという話も聞きますが、
私の場合はまず自分を考えるモードに持って行き、考えることに集中しなければいけない。そうやって考え続けて、もう考え疲れたと諦めた先に良い考えが浮かんだ、ということも今までに何度か経験しました。

だから考え続けて、これ以上掘り下げられないと思ったさらに先まで掘り下げたところにある良いアイデアに辿り着くために、なるべく頭の領域を空けておかなくてはいけません。 

そう言いながらそうやってとことん考えを深められることは稀なので、スマホをいじっている時間をちゃんと考える時間に当てなければと思います。

でもそう言いながらも本を読む時間はしっかり取っていたりします。

刑事手帳に話を戻すと、身に付けておける小さなメモ帳は自分の代わりに覚えておいてくれて、考えることに集中させてくれるものということになります。そんな手帳が気に入った革だと気分も良く仕事ができると思います。

⇒刑事(デカ)手帳/M5サイズシステム手帳

生活を書く文化

お店のサンプルと店主の使用品

5月発売予定のペリカンM600アートコレクション ゲオルク・ティッペルのご予約を5月10日まで受付中です。今回はまるで蒔絵作品のような渋い色合いで、東洋的な模様だと思っています。
M600アートコレクションはボディ部が金属製で適度な重量感があり、バランスも良いので実用性も高い万年筆です。また「オーロラ加工」という、真鍮の素材に細かな彫刻を施し、10層にもおよぶ透明ラッカーを丁寧に塗り重ねた加工は、このアートコレクションの大きな特徴と言えます。
⇒ペリカンM600アートコレクションゲオルク・ティッペル予約ページ

先日フィンランドの方から、自国では万年筆を買うことができる店がほとんどなく、インクを買いたいと思ってもイタリアやドイツのお店から通販で買わないと手に入らない、という話をお聞きしました。
日本はそこまでではないけれど、一般的に使っている人の少ない、ノスタルジックな筆記具だと思われています。だから万年筆のことだけなら、そういう国もあると思われるかもしれません。
それよりも私がもっと驚いたのは、今年になってから中東の方とオンライン会議をした際、相手の方が私がノートにメモする姿を見て、自分たちは普段の生活で紙に字を書くことがないので珍しいと言われたことでした。

世界では紙に文字を書くことがなくなっているのか?
私自身が、万年筆や紙製品などのステーショナリーを販売している、万年筆で書くことが好きなお客様が来られる店にいますので、もしかしたら世間と認識がズレているのかもしれません。
私たちは紙に書くことを楽しいと思っていて、多くの人にもしていただきたいと思っています。

本当は万年筆を使うことが書くことを最も楽しくできることだと思うけれど、それにこだわるのはもう一つ先の段階であって、まず「紙に書くこと」を無くさないように考えなければいけなかった。
紙に書くということが生活の中にあることで毎日が楽しくなって、潤いあるものになると思っています。

何の目的もなく万年筆で手書きするということは、余程好きな人でないとできないと思います。しかし、手書きしたものが生活の役に立つとしたら、多くの方が取り掛かりやすいのではないでしょうか?

私たちはそれがダイアリーを書くことだと思っています。

ダイアリーに明日の予定を書いたり今日あったことを書いたりすることは、これからの行動について考えることであり、来年を今年よりも良く楽しく暮らす役に立つと思っています。

では、より良く楽しく暮らすということはどういうことか。

それは人によって違うことですが、時間に流されるのではなく時間を把握して意識を持つことだと思っています。

そうするためのダイアリーを当店では扱っています。

1月始まりのダイアリーについて5月に語るのも何ですが、正方形のオリジナルダイアリーを大和出版印刷さん、分度器ドットコムさん(590&Co.さん)と共同で、16年継続して毎年販売しています。

私は主に、自分の行動記録帳として使っています。

日中はその時々のことをメモ帳に書き留めておいて、夜に細字のプラチナセンチュリーでダイアリーに書き写すのが日課になっています。

その日の仕入れ額、売り上げなども書き込んでいて、そういうことを書いていると明日の予習にもなり、もっと若い頃からやっていれば良かったと思っています。

他に使い方はたくさんあって、見本のように仕事の納期管理、ハビットトラッカーなどに使うことができるページもあります。

こうやって私たちが自分の足元を見て、身の回りのことについて書き記すことは、自分の生活をより良いものにする役に立つと思っています。

それは何か新しいものを生み出すよりも大切なことだと、やっと思えるようになりました。

ダイアリーを書くことは自分の日常を文化することだと思っていて、そこからの可能性を大いに感じています。

⇒オリジナル正方形ダイアリーTOP

*次回の更新は5月22日(金)です

満月ペン先と仙台

先週末、文具事変in仙台というイベントに参加しました。
590&Co.さんが取引のあるお店に声をかけて開催しているイベントで、昨年の第1回目から参加しています。
神戸空港から仙台行きが出ていますので、乗り物に乗っている時間は2時間くらいで着くという便利さです。

仙台の街は、いくつかの大学が中心部近くにあるせいか若い人が多く、観光で来られている方も多いので、とても活気があるように思いました。
仕事で来ている者としては街の活気はとても気になり、駅に降り立った時からそればかり気にして見ています。
ただ波長の合うお客様との出会いを探して出てくる当店としては、お一人お一人との濃いつながりの方が大切なので、街の活気はあまり関係ないのかもしれません。それなら谷本さんが言うように色々な街に行ってみた方がいいのかもしれませんが、単純に人口が少なくなるとやれる自信がありません。

仙台はしっかりとした文具店がいくつもあるし、今回イベント翌日にお尋ねした樂さんという万年筆店もありますので、万年筆に興味のあるお客様が多いのかもしれません。

また今は廃業してしまいましたが独立系の万年筆メーカーの大橋堂さんは仙台にあって、全国の百貨店の職人店などに出店していました。
エボナイトを中心としたハンドメイドの温かみのある軸が魅力の万年筆を作られていて、ペン先の書き味の良さにも定評がありました。当店の委託販売で時々目にすることがありますが、人気ですぐに売れてしまいます。

大橋堂さんの、未研磨の球のままのイリジウムから研ぎ出すという字幅の作り方に興味がありました。
完全な球形のままだと紙に点で触れますので字幅は細めになり、書き続けると面が作られて太さが変っていきます。

個人的に字幅に関係なく大きなペンポイントを見ながら書くのは何とも楽しい。必然的にペン先の寿命も長く、そう簡単に擦り切れることはありません。まさに一生ものという感覚になる万年筆です。
当店のオリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985の14金ペン先では、未研磨のペン先が手に入ることになりましたので、なるべく球のままに近い状態のペン先を始めました。
未研磨のペン先は当店では満月と呼んでいて、文具事変in仙台でも多くの方の眼に留まったようでした。

ちなみに、未研磨と言っても調整していないわけではありません。本当に未研磨のままのペン先をそのまま書くと引っ掛かりますので、切り割りに沿って少し当たりをつけて滑らかに書けるようにします。あとはお好みやその方の筆記角度に合わせて筆記面を作っていきます。

この未研磨のペン先は、大橋堂さんがあった仙台だからこそ多くの方の眼に留まったのかもしれません。大橋堂さんの足元にも及びませんが、私たちもなるべくいろいろなところに出向いて、お客様方に直接万年筆を手渡したいと思っています。

⇒オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985 14金ペン先