
良い革を切り放しただけのものを表紙にしたメモ帳、「サマーオイルメモノート」というものを以前作っていて、それをリニューアルしました。
メモ帳の台となる革はその厚みと手触りの良さから、以前と変わらずにサマーオイル革を厚いまま使っていますが、表革をより用途に合った革に変更しています。
美しい艶が出て色変化も激しい。エージングが劇的な革のひとつ、ミネルバボックスを使用しています。
ミネルバボックスは程よく柔らかく色気のある革。タンニンなめしの良い香りがして、この革がイタリアで作られた革だということがわかる気がします。
メモ帳としてこれで充分だと今までは思っていたけれど、次にメモを作るならどうしても中紙に切り取り線を入れて、書き終わった紙を楽に切り取れるようにしたいと思っていました。
切り取り線は村井製本所さんが誇るマイクロカットミシンの技術によって、切り取るのが快感に思えるほどスムーズに切り取れるし、切った紙もギザギザしていません。
200枚の紙は天のりで束ねています。
メモ用の紙は沢山の枚数が束ねてあるほど安心感があっていいですが、携帯するには薄い方が良くて、好きな厚さに割って革の表紙に挟んでおけるようにしました。
これは手元に置いて何でも書けるメモ帳ですが、携帯用の試筆紙としても提案したい。
お店で万年筆を買うときだけでなく、万年筆を趣味としている人の中には、人の万年筆を試し書きさせてもらう機会のある人も多いと思います。
そういう時にもきっと役立つものではないかと思っています。
ちょっと試し書きするのに、いつも使っているダイアリーに書くのも嫌だし、人前に出すものなので、ちょっとこだわりのあるものを出したい。
手渡されたペンを硬いテーブルの上にそのまま置かず、この革表紙の上に一旦置くようにしたい。そういう相手への心遣いも、革表紙のメモは表現できます。
そして試し書きする時に何を書いていいのか分からず、名前や住所を書いてしまうことが多いという人も少なからずおられると思います。
そういう時に参考にしてもらいたいと思い、当店で月1回ペン習字教室を開催して下さっている堀谷龍玄先生に小説の一節を楷書で書いてもらいました。
替紙に1枚ずつお付けしています。
4種類のお手本があって、それぞれの部分は完全に私の好みで選んでいます。
メモ帳という仰々しくすると使いにくくなるものでも、使い込むと馴染んでくる上質な革の素材であってほしい。そういう声が多くて再び作り始めたシンプルな革表紙のメモ。
こういうものが一番使いやすいと私も思っています。
M5リフィル 「そら文葉」発売

システム手帳リフィル筆文葉のデザイナーかなじともこさんが当店から独立して、智文堂という屋号で活動されています。
商品の製作の他、ご自身でオフ会を開催されたり、当店でイベントをしていただいたり、外部イベントに一緒に参加していただいています。
6月に発売されました趣味の文具箱vol.50にも紹介されたり、インスタグラムで発信している記事も多くの人に見てもらえるようになって、かなじさんの知名度が上がってきているのを私も実感しています。
かなじさんが手帳リフィルのデザインを仕事にするきっかけになれたことを、とても誇りに思っています。私たちもかなじさんに負けないように、ともに高め合えるよう活動したいと思います。
そういう刺激を与えてくれる、その人に見られて恥ずかしくない仕事をしていたいと思える相手が齢とともに増えていく。
何歳になっても楽しみながら、ともにあがき続けていきたい。
話を戻すと、かなじともこさんがM5システム手帳リフィル「そら文葉(そらもよう)」を発売しました。
先日当店で開催しました「智文堂PopUpStore」でお披露目しましたが、お客様方の反応は非常によかったと思います。
女性のお客様が多く、その中の一人であるシステム手帳の作り手のカンダミサコさんは、自分用に作ったシステム手帳を使うのをそら文葉の発売まで待って、買いに来てくれました。
バイブルサイズリフィル筆文葉もそうですが、M5リフィルそら文葉は、このリフィルの使いこなしを使い手に考えさせるところがあります。
何も考えずに使わせてくれず、使い手に工夫を要求するというイメージ。
それは書き味から快感が得られて、いつまでも書いていたいと思わせてくれる、当店オリジナルの「Liscio-1リフィル」の対極にあるものだと思えて面白い。
自分の手帳の用途、実情にどの罫線が合っているか、そしてどのようにレイアウトして使うか。正解は自分にしか分からないけれど、かなじさんから出されたクイズに答えるような感覚になります。
パズルを解くように、古い常識に捉われている硬い頭を柔らかくして使いこなす。それを考える作業が実は一番楽しくて、手帳を使いこなす楽しみの大きな部分を占めていることをかなじさんは伝えたいのだと思います。
私も自分なりにそら文葉の使いこなしを考えている途中ですが、フレックスダイアリーはミニ5穴システム手帳を1日1ページとして使っている私にとっては、とても使いやすいと思ったリフィルのひとつです。
フレックスダイアリーと4つ折りカレンダーを組み合わせると、半年のスケジュールと1日1ページやウィークリーと合わせて見ることができる。
この小さな紙面に無限の可能性が、楽しめる要素があるようにさえ思えます。
そら文葉の用紙は筆文葉とは違っていて、少し薄めの紙になっています。挟める枚数に制約の多いミニ5穴システム手帳で使いやすいようになっていますが、書き味はかなり良いと言えます。
どこにでもある普通のものでなく、それに惹かれる人は少ないけれど、その良さが分かった人にはより楽しんでもらえる。
少ない人数をターゲットにしているからこそできるモノ作り。この店でしか手に入らないものをなるべく作ったり、売ったりしていきたいと、私たちは思っています。
オリジナルダイアリー2020年完成しました

毎年発売していますオリジナルダイアリー2020年版が出来上がりました。
最近システム手帳の趣味性の追究ばかりしてきましたが、時系列が分類のルールのダイアリーにおいて、綴じ手帳の優位性は否定しようがない。
ウィークリーダイアリーにはマンスリーダイアリーもあって、予定とToDoを管理して、記録も書ける道具として、これ1冊で全く不足のない完璧なダイアリーだと思っています。
マンスリーダイアリーは薄型で、壁掛けカレンダーのようでパッと見て分かりやすい仕様です。
システム手帳と併用しながら、スケジュールだけをこのマンスリーダイアリーで管理するという使い方にも重宝します。
もしかしたら私だけかもしれないけれど、仕事をもっと良くしたいと思った時に手帳の仕組みを変えたくなります。
せっかく考えて効率的に組んだ手帳の仕組みを全てクリアーにしてゼロから始めることは、もしかしたら無駄な行為なのかもしれないけれど、いつまでも一緒でいいものなんて特に仕事においてはあるはずがない。
時が流れるのとともに仕事の仕方や内容は変化して、気分も変わる。手帳はそれを反映しているものなのだと思っています。
オリジナルダイアリーは、当店と大和出版印刷さんそして分度器ドットコムさんの3社の共同企画で作り始めて、今年で10年になります。
自分たちが理想とする万年筆で書くためのダイアリーを作ろうと、印刷や製本の技術のある大和出版印刷さんと、アイデア豊富で感性の鋭い分度器ドットコムの谷本さん、そして当店の3社で今も作り続けています。
今まで3社の意地と、特に大和出版印刷さんのおかげで続けてくることができましたが、毎年昨年よりも良いものを作りたいと思って作ってきました。
作り上げて、出来たと思ったら違うところが気になり、毎年少しずつ手を加えながら、改良しながら今の姿になった。
10年かけて熟成してきたレイアウト、見やすいフォント、万年筆のインクを弾かない印刷、1年間使い通すことができる強度と平らに開く製本技術、書き味の良い用紙。
手帳の趣味性とか、面白さというものを超越したところにオリジナルダイアリーはあると思っています。
今では様々なフォーマットのダイアリーが存在するけれど、オリジナルダイアリーのフォーマットは奇をてらったように見えず、よくあるものに見えるかもしれません。
しかし、ウィークリーもマンスリーダイアリーも他のどれにも似ていなくて、これを使い始めた人にとって代わるものはないと思えるはずです。
これを使う人の仕事や生活を支えるものとして、より愛着を持てる存在になって欲しいと思い、今回はSkyWindさんにオリジナルダイアリー用ミツロウ引きカバーを作ってもらっています。それは9月末完成予定ですので、またご報告します。
⇒オリジナル正方形ダイアリーTOPへcbid=2557112⇒オリジナル正方形ダイアリーTOPへcsid=1″ target=”_blank”>⇒オリジナル正方形ダイアリーTOPへ
旅の装備に

旅の場数をこなすうちに装備が充実してきます。
車内でどう過ごすか、移動中に取り出したいものは何かなど、旅の間の自分の行動がわかってくるので、それに合わせたものが揃ってきました。
最近は、次の東京インターナショナルペンショーにも持って行くペン先調整用の機械を入れて運ぶものを何とかしたいと思っています。
今はホームセンターで買った機械運搬用のアルミケースをカートにベルトで縛り付けて使っていますが、結構な手間が掛かるうえに飛行機に乗る度外さなければならず、時間がもったいないと思えて来ました。
今欲しいのは、軍用にも使われているペリカン社の大型で車輪付きのプラスチックケースです。万年筆のペリカンとは別のイギリスの会社ですが、中身を保護してくれる丈夫なケースを作る会社として有名です。
調整機をカートで引いていくため、自分の着替えなどはリュックを背負うしかなく、なるべく荷物は少なくしようと心掛けています。
でもどんなに荷物を減らしても、万年筆は持って行きたい。万年筆のない出張先のホテルでの時間は寂しすぎる。
私にとって万年筆は無理してでも持って行くものなので、結果ぎゅうぎゅうのリュックの中に押し込むことになってしまいます。
そういう時に安心感があるのはル・ボナーの絞りペンケースやイル・クアドリフォリオのシガーケース型ペンケースSOLOです。
ル・ボナーの松本さんもイル・クアドリフォリオの久内さんも旅好きな人なので、どちらのペンケースも実体験に基づいて生まれたのかもしれません。
私が乗るような国内線の飛行機では万年筆のインクが漏れるということが少ないと思いますが、多くの人の証言から、ペリカンM800はインクが漏れない万年筆として知られてもいいのではないかと思いました。
多くの万年筆を使うようになって、個性的なものを知るようになると、万年筆の超定番であるペリカンM800は少し面白味に欠けると思い始めるのかもしれません。
でも、丈夫でトラブルが少なく道具としての安心感は抜群で、先程のペリカンケースとの共通点があります。
万年筆としては大きく感じることもあるM800ですが、特に意識することなく握っても、自然に手にフィットするバランスの良さは他に代わるものはないと思います。
荷物が多くて万年筆を1本しか持って行くことができないという時、私ならル・ボナーやイル・クアドリフォリオのペンケースにM800を入れて、ぎゅうぎゅうの荷物に押し込むだろう。
趣味的な面白い万年筆も良いけれど、丈夫で信頼性の高い超実用的な万年筆もご紹介していきたいと思っています。
私の単独の出張販売は今年はほぼ終わりましたが、他のイベントもありますのでご案内させていただきます。
・9/15(日)「智文堂・Pop Up Store」:当店開催・終日
システム手帳リフィル筆文葉のデザイナーかなじともこさんが、リフィルの販売をします。イベント限定の商品や、新作のM5システム手帳リフィルもお披露目します。
・9/28(土)29(日)「工房楔イベント」:当店開催・終日(最終日は18時まで)
工房楔の永田篤史さんがこの日のために作りためた木製品の販売をします。
かなり多くの木製品を一度に見ることができる春秋恒例のイベントです。永田さんは最近デザインがシャープになって、さらに洗練されてきました。そんな新作の販売も始まります。
・10/5(土)6(日)東京インターナショナルペンショー
このイベントは私とスタッフ全員で参加します。当店のオリジナル商品、新商品もご用意しています。会場ではペン先調整も承りますので、ご希望の方はメールかお電話でご予約下さい。
*期間中準備を含め10/4~7は実店舗は閉店しておりますのでご注意下さい。
・11/23(土)24(日)神戸ペンショー
当店の近くで開催される地元での大きなペンショーで、リラックスした雰囲気の楽しめるイベントです。
ヨーロッパの匂いのするモノたち

過去2回の札幌での出張販売は、集客・売上ともに苦しく、札幌では当店は受け入れられないのかもしれないと思い始めていました。
でもその一方では来て下さるお客様のお顔が思い出され、札幌での出張販売をやめるとなると辛い決断になると思いました。
一度決めた街なので、何とか札幌での当店の出張販売の形を作りたい。
だから今回は、後がないという決意を持って臨みました。
すると今年の札幌の雰囲気は違っていました。
座ってゆっくり世間話をしながら、ペン先調整やお探しの商品をお申し付けいただいたりするのはいつもの当店のスタイルですが、何となく札幌での形が出来上がっていました。
本州との季節や気温の違い、都市間の距離感の違い、先日札幌市内に出没したヒグマの話など、万年筆やステーショナリー以外の話で大いに盛り上がり、本当に楽しい時間を過ごすことができた。
初めて札幌らしい形ができ始めていることを実感しました。
札幌の出張販売の会場は、北晋商事さんが運営されているギャラリーを使わせていただいています。
北晋商事の金社長は、写真趣味が高じてヨーロッパの古いオリジナルプリント写真を収集されています。それらは全て鑑定されたもので、歴史的にも貴重なものです。
そこはそれらを展示するためのギャラリーで、3年前から始められたそうです。
そんな歴史的にも価値のある作品に囲まれている環境は、出張販売の場所としてとても贅沢な空間です。
一枚一枚いくら時間かけて見ていても見飽きない作品がある札幌の出張販売。
福岡や東京とはまた違ったものになっていて、それぞれの街での出張販売の形があることを実感しました。
北晋商事さんは、代表的なところではローラーアンドクライナー、KWZ、ダイヤミンなどのインク、クレオスクリベントの筆記具など、ヨーロッパの手作りの雰囲気が残っている製品を扱われています。
大メーカー、大ブランドのペンも良い思うけれど、完璧に工業化・オートメーション化された製品よりも、人の手が感じられるものを扱いたいといつも思っているので、当店ではローラーアンドクライナー、KWZのインクと、クレオスクリベントの万年筆を販売しています。
北晋商事さんは日本のインクブームのきっかけになった会社のひとつだと思っていて、今も新しい海外のインクを日本に次々と紹介されています。
ローラーアンドクライナーのインクの素朴な形の瓶、時代を感じさせるシンプルなデザインのラベル、そして発色の良さや紙への定着の良さなどに優れたインクの質。
インクメーカーはたくさんあるけれど、ドイツの片田舎で作られているローラーアンドクライナーは良質なインクを作るトップメーカーのひとつだと言えます。
KWZインクは色数豊富で、万年筆やインクが好きな人の立場でインクを作っていて、絶妙なラインナップの色を揃えています。
それらのインクは当店でもなるべく全色ご用意するようにしています。
クレオスクリベントの天然木をボディに使用したナチュラシリーズは、素材の入手が難しく製作数が少ないためなかなか在庫できないのですが、できる限り取り扱っていきたい。
北晋商事さんが扱っている製品は、世界やヨーロッパを代表する主流の製品ではないけれど、ヨーロッパの田舎の風景が見えるような素朴で、ハンドメイドを感じられ、ヨーロッパの匂いも一緒に運んでくれるような製品ばかりです。
私たちは、たいていいつも変わらない毎日を繰り返しています。でも私はそれに愛着を感じて愛おしく思っている。そんな生活にしっくりくるのは、温かみを感じることのできる素朴なもので、札幌のイベントでの時間はそれらのヨーロッパの片田舎で作られているものについて見直す時間にもなりました。
⇒CLEO SKRIBENT(クレオ・スクリベント)cbid=2557105⇒CLEO SKRIBENT(クレオ・スクリベント)csid=8″ target=”_blank”>⇒CLEO SKRIBENT(クレオ・スクリベント)
⇒ローラー&クライナ-ボトルインク
⇒カウゼットインク
趣味クオリティを広める

私たちのように万年筆やステーショナリーを専門的に扱う、お客様の趣味的要望に応えようとする店の課題は、自分たちのしていることを趣味の世界以外の一般の人にも、存在や価値観を知らせることだと思っています。
自分たちが扱っている実用を遥かに超えたクオリティのステーショナリーを使うと、どれだけ気分が良いかということを知ってもらうこと。
それを知らなければ、きっと今使っているものを不満に思うことはないけれど、良いものを知ると今まで使っていた普及品的なもののクオリティでは楽しいと思わなくなります。
その辺りのことを広めるように努力して、自分たちの面白いを伝えるようにしなければいけない。
それはペン先調整も同じです。
きっと多くの人は万年筆のペン先を調整できるということを知りません。
自分が買ったペンが書きにくかったり、書けなかったりしたら、ペン先を交換するしかないと思っている人が多い。
これは持論ですが、万年筆の構造をしていたものなら、ペン先をちゃんと調整したら、金ペンは金ペンの、鉄ペンは鉄ペンなりに書きやすくなる。極端な言い方をするとどんなものでも書きやすくなると思っています。
それだけルイス・エドソン・ウォーターマンが発明した、毛細管現象によってインクがペン先まで伝わる構造は優れているということだと思います。
もちろんはじめから100%のポテンシャルを発揮できている万年筆も中にはあって、それはペン先調整の必要がありません。
よくどんな時にペン先調整をしたらいいのかと聞かれますが、書きにくいと思うペンだけをお持ち下さいと言います。
皆様自分のお持ちのペンが正しい状態かどうか気にされるけれど、ご自分が書きにくいと思っているのであれば、その万年筆のペン先がいくら教科書通り正しくても調整の余地があります。
そういうことができるのが万年筆の良いところで、正解かどうかよりも、自分に合っているかどうかの方が大切です。こういう曖昧な要素があって、パーソナルな仕様が優先される側面が万年筆にはあるので、私はペン先調整を仕事にしたい、そして自分にできると考えました。
きっと何でも理詰めできっちりと考える人にはその人の、美的感覚・芸術的感覚に優れた人にはその人のやり方があるのだと思いますが、私は言葉を交わしたり、そのペン先をルーペで見て使う人の意向を汲み取るようにしたい。
そういうペン先調整を何というか分からないけれど、対話型のペン先調整といつも自分では思っています。
こうやって調整したペン先の書き味を知ってもらえるようにしていかなければ、万年筆もペン先調整も一部の趣味で使う人だけのものになってしまいます。
一般的な人への広がりがないと、後世に残すことができないのではないかと思うことがあります。
手帳の風景を作るリフィル

先日から、ロゴの箔押しをして下さった神戸須川バインダリーさんと、シビアな穴あけ作業を担当して下さった村井製本所さんの工場訪問記をブログに書いてきました。
読んで下さった方の中には私も行きたかったと言って下さる方もおられて、自分は恵まれているのだと思いました。
実はそれらの大人の社会見学に行っていたのは、こだわりを込めた当店オリジナルのミニ5穴リフィルを作るためでした。
ミニ5穴の小さな紙面でも万年筆での書き味を楽しみながら書きたい。そしてそれを綴じた手帳の風景も楽しみたいと思って作ったリフィルです。
大和出版印刷さんのLiscio-1(リスシオ・ワン)紙は、万年筆の書き味において群を抜いている最高の紙だと思っています。
しかし印刷業界が直面している問題、需要の低下、設備の整理などで、Liscio-1を製紙した機械が廃棄処分になり、二度と作ることができなくなってしまいました。
大和出版印刷さんのLiscio-1製品は、在庫がなくなり次第廃番になっていますが、当店と大和出版さんが使うことができる原紙状態のLiscio-1の在庫はまだ残っています。
それを使って今回のM5リフィルを作りました。
オーソドックスな4mm方眼罫のリフィルで、記録などに使いやすいものを心掛けました。
このリフィルには、ネイビーの厚手の紙が2枚入っています。これは仕切りとして、手帳を開いたときの景色を美しくするために使っていただければと思います。当店のロゴを目立ち過ぎないように、透明の箔で押していただきました。
これは何色もの箔押しを神戸須川バインダリーさんで試してもらった中から選びましたが、今回はこういう細かなところにもこだわることができました。
手帳の革の表紙を開けた時にいきなり色々書き込んだページがあるのは興がそがれる。
記入するページが始まる前に落ち着いた色の紙があって欲しいと思います。
同じ目的で、ディバイダーも作りました。
ディバイダーは手帳の最初のページに挟んでもいいけれど、間に挟んで付箋などをつけてインデックスとしてお使いいただくこともできます。
色も、ネイビーとルビーの2色をセットにしています。
こういった手帳の中の世界を演出するものも以前から作りたかった。
プラスチックのものはよくありますが、それらは手帳の中の世界をどことなくチープにしてしまう。手帳の中身を演出するのに、インデックスは重要な役割を持っていると思っています。
シンプルな4mm方眼罫のリフィルと2色の紙のディバイダ―ですが、M5システム手帳を楽しみながらお使いいただく役に立つものだと思っています。
⇒オリジナルM5リフィルTOP・4mm方眼罫/ディバイダ―cbid=2557112⇒オリジナルM5リフィルTOP・4mm方眼罫/ディバイダ―csid=5″ target=”_blank”>⇒オリジナルM5リフィルTOP・4mm方眼罫/ディバイダ―
~それぞれの筆記具の用途~ 工房楔のシャープペンシル

先日訪問しました王子公園駅近くの590&Co(こくえんあんどこー)さんで、たくさんの鉛筆や芯ホルダーを目にして刺激を受けました。
私が万年筆で書くことの楽しさを伝えたいと思ったのと同じように、きっとその店の店主さんも鉛筆など黒鉛芯の筆記具に夢中になっていて、専門店を作りたいと思ったのだと思います。
私たちの仕事は自分の「面白い」を人に伝えることだけど、そのお店からはちゃんとそれが伝わってきた。私も万年筆だけでなく、用途に応じて鉛筆やシャープペンシルも使いたいと思いました。
万年筆は書き味の良い筆記具で、私などはその書き味を味わいためにどんな用途にも万年筆を使いたいと思ってしまいます。
でも万年筆には万年筆の適正のようなものがあるのだと思います。
手紙を書いたり、手帳やノートに記録を残すなどの用途には万年筆が合っていると思います。
万年筆はインクが乾くという問題がありますので、例えばキャップを開けたまま長時間考えごとをするのは向いていません。
私はブログやペン語りなどの文章を考えることが多いのですが、いつもまず下書きをしています。
文章を考えながら直にパソコンで打ち込むと言うことができないので、ノートに下書きして、校正しながらパソコンに入力している。
下書きをするときに頭の中でかなり考えて、組み立てて、一気に書き上げるような時はいいけれど、例えば今回のように苦しみながら文章を書いている時は手が止まることが多い。そんな時はシャープペンシルの方がいいのかもしれません。
そう考えると、シャープペンシルは頭の中にあるものをポツポツと書き込むような用途に向いていて、それは思考の道具と言えるのかもしれない。
最初にセットされているシャープペンシルの芯を入れ替えて、好みの濃さや色に替えたりカスタマイズできる部分があるのも面白い。
ところで日本のシャープペンシルのユーザーは、中学生、高校生、大学生など、学生が多いのかもしれません。
文房具店で販売されているシャープペンシルの多くは、機能は素晴らしいけれど、学生向けのデザインのものが多い。大人がビジネスの場で使えるものは少ないと思います。
だけどこの分野なら当店にもできることがあります。
工房楔の永田さんは、シャープペンシル、芯ホルダーなど黒鉛系のものを多く作っています。
こだわって選んだ銘木の、杢の良い部分をペンのボディにしていますので、同じ材でも同じものは絶対ありません。大量生産の製品とは一線を画しています。
工房楔のペンシル系の筆記具。大人の思考の道具として、幅広い年齢層の人に使っていただけるたらと思い、当店も力を入れています。
子供向けにきちんと作られた大人の仕事~ラミーサファリホワイトブラッククリップ~

始めての万年筆を買おうと、一見さんだと入りにくい当店に若い人が勇気を出して来て下さることがよくあります。
わざと入りにくくしているわけではありませんし、人から言われるまでそのことに気付かなかった。
入りにくい原因は、当店が半地下にあるため階段を3段降りなければならないからかもしれないし、店内が見えて、中にいるお客様全員が常連さんに見えるのかもしれません。でも彼らは入ってきてくれます。
もっと買いやすいお店はいくらでもあるのに、当店で万年筆を買おうと思ってくれることが、ものすごく嬉しい。
もし何を買っていいのか分からなければ、私がいろいろ選んでご提案します。
いずれにしても、最も書きやすい状態にして、インクも好きなものを選んでもらって、使い方もちゃんと説明して、インクの入れ方も目の前で実演してお渡ししています。
初めて万年筆を使うという人が来てくれると、この店はまだ大丈夫だと思えます。若い人にも選んでいただける店でなければいけないと思うので。
あまり低価格な万年筆は置かないようにしようと思っているのですが、ラミーサファリだけは置いておきたい。
前述の、初めて万年筆を使う人から選ばれることが多いというのも理由ですが、サファリは万年筆の中では安めの価格帯の万年筆でありながら、もっと高価な万年筆にあるような、使っていることに誇らしさが持てるようなところがあると思っているからです。
私たちが万年筆に惹かれるのは、万年筆から教えられるものがあるという側面もあるからです。
例えばサファリなら、インク残量を見やすいように窓が空けられているとか、尻軸にキャップを付けなくてもペンが転がらないようにボディに平面がつけられているとか、子供がカバンのストラップにはめても広がらない頑丈なクリップがついているなど、ターゲットとする人が快適に使うための仕組みが価格という制約がある中でちゃんと込められていて、価格が安いことを言い訳にしていない。
サファリの起こりは子供たちが使う学童用の万年筆です。安い価格で、機能をきちんと満たした、大人の仕事がされている子供向けの万年筆です。
サファリは毎年限定色を発売していて、今年はピンク、ブルー、グリーンのパステルカラーを出して、私たちを驚かせましたが、そのラミーらしからぬ色も後々伝説になるだろう。
今年はもうひとつ、日本限定仕様としてブラック金具のホワイトのサファリが発売されました。20年近く前には定番としてあったモデルですが、今回初めて見る人にはまた新鮮に映ると思います。
もちろん、初めて使う万年筆としてもお勧めいたします。
⇒LAMY(ラミー)TOPcbid=2557105⇒LAMY(ラミー)TOPcsid=9″ target=”_blank”>⇒LAMY(ラミー)TOP
東京出張販売後記

7月18日~20日の、東京での出張販売が終わりました。
首都圏はインターネットのお客様も多く、アフターサービスのためにも当店が行かなければいけない場所だと思っていました。
東京にはたくさんのお店があるし、お客様方も目が肥えているので、相手にされないのではないかと厳しい反応を予想しながら昨年から始めましたが、想定していたよりずっと多くのお客様が来て下さり、自分自身も楽しい出張販売になりました。
東京での出張販売の特長は、私たちが売りたいもの、新しいものが売れるということ。
普段伝えたいと思っていることがちゃんとお客様方に伝わっていて、それに鋭く反応して下さっているような手応えをいつも感じて、励まされます。それに、来て下さるお客様方は皆温かかった。
来年また新しいネタを用意して、同じ場所に行こうと思いました。
来年はオリンピック開会式の前の週、7月16日(木)~19日(日)にギャラリーを確保していて、この期間内3日間を予定しています。
出張販売の場所、代官山の駅の東側は、西側よりも落ち着いた大人っぽい場所だと思っています。
当店が元町駅西口という三宮、元町の喧騒から外れた場所にあって、お洒落度は違うけれど、その感じとよく似ています。
朝ホテルから出張販売に向う時や、一日が終ってどこか手近なところで晩飯を食べてホテルに帰ろうと歩き出す時の、静かな街の雰囲気も気に入っている。
神戸の当店の近くと違って、やる気に満ちた若いクリエーターたちが多く歩いていて、おじさんも頑張らなければいけないと、この街から受ける刺激も自分には必要だと思う。
借りているギャラリーは、コンクリートの壁に白い漆喰を塗っただけの飾り気のないものだけど、その装飾のない簡素な内装が自分の美意識に合っています。どうも豪華で華やかな場所は落ち着きませんので、自然体の当店を見せられる場所だと思っています。
今回は、中目黒の住宅街の中にあるホテルをとっていましたので、ギャラリーとの往復は歩ける距離でした。
お店はどこも閉まっているけれど、知らない街の雰囲気を楽しみながら30分弱の道は、ちょうどいい散歩になりました。
代官山から中目黒、そして密集した住宅街という短い距離で景色が変化していく。ずっとこうやって東京で出張販売をしていられたらと少し思いました。
出張販売は木曜日から土曜日までで、日曜日は後片付けの日にしていました。
片付けをした後は自由で、どこかお店を見に行くことができます。
しかし、街を歩き回るにも、重い調整機を引きずって、3日分の洗濯物を背負っては辛過ぎるので、渋谷のコインロッカーに荷物を預けに行きました。東京のコインロッカーで空きを見つけるのは至難の業ですが、運良く入れることができました。
渋谷は人が多く、道もジグザグで苦手な場所です。伊東屋さんで長時間遊んでいたけれど、他には寄らず中目黒に戻りました。
知っている店がたくさんあるわけではないけれど、近くに来たらいつも行きたくなるcowbooksで1時間以上本を選んで、大好きな鞄フィルソンの店で鞄を触って、トラベラーズファクトリーでまたゆっくりしているうちに時間がなくなってしまいました。
絶対走りたくないと、いつも時間に余裕を持って行動する方ですが、モノレールに乗って羽田空港に着いた時には、乗る便の受付時間が過ぎていました。
何とか受付をしてもらって、急いで搭乗口に行ってそのまま飛行機に乗り込むという、最後はバタバタして東京を後にしました。
次は10月5日(土)6日(日)、東京インターナショナルペンショーで皆様にお会いしたいと思います。