木軸ペンで人気のあるクラフトAさんの万年筆Outfitの取り扱いを始めました。
クラフトAの津田さんのことは、590&Coの谷本さんから聞いて十数年前から知っていましたし、イベント会場などではよく顔を合わせていました。
ハンドメイドの木軸ペンが、今のように人気が出るかなり以前から木軸ペンを作り続けて、自分の信じた道を淡々と歩んでこられました。それが世の中に認められて人気が出たことには「こうなると思わなかった」と言われていて、変わらない自然体な人柄に好感を持ちました。
そのモノを当店で扱う時に、私は縁や出会いのような無理のないタイミングを大切にしています。
同じ兵庫県を拠点にしていて行き交うこともあったけれど、今まで津田さんとはそのタイミングが合わなかった。
多く流通していない個性的なペンを求めていた当店と、万年筆専門店で自作の万年筆を販売したいという津田さんとのタイミングが今合ったということなのだと思います。
津田さんが当店にたくさんの万年筆を持って来て下さって、その中から選ばせていただきました。
クラフトAさんの万年筆は、それをあえて懲りすぎずに道具のように仕立てているところが個性だと思っています。シンプルな寸胴型のデザインには潔ささえ感じます。
キャップは軽いアルミ製、首軸は重い真鍮製になっていますので、ネジが切ってある尻軸にキャップをはめて固定して書いても、リアヘビーにならずにバランス良く使うことができます。太い軸は細かな操りやすさよりも、長時間楽に書くことを狙っていると思われる、どっしりとした大らかな持ち心地の万年筆です。
軸に使う銘木は、シンプルな寸胴型のボディと硬質な印象のキャップによって、その魅力が引き立てられています。
材によって多少の価格の違いはありますが、比較的リーズナブルな価格に抑えられていると思います。価格の大きな違いは、ペン先の素材です。
よりリーズナブルなものはステンレスのシュミット製のペン先が使われています。
硬いけれど、一定のインク出でブレのない均一な線が書けるのはステンレスペン先ならではで、さすが老舗のシュミットだけあって、滑らかな書き味を持っています。手帳に細かい文字を書くのに適したペン先だと思いました。
私は良いペンは金ペン先であって欲しいという思いがあって、これはと思うものにJOWO製の14金ペン先をつけていただきました。
金ペン先の柔らかな書き心地は重量のあるクラフトAの万年筆に合わせるとよりその柔らかさが強調されて、気持ち良く書けるものになりました。
クラフトAの木のペンには、自分で塗って艶を出していく楽しみを感じていただくための「手入れ用オイル」が付属していて、クラフトAの津田さんの木のペンへの考え方が表れています。
当店はこういう世界観を持ったものを扱いたいと思っています。
(5/8~12まで不在のため、来週のペン語りはお休みさせていただきます。次回投稿は5/19です)