ペン習字のお稽古

毎月当店でペン習字教室の講師をして下さっている堀谷龍玄先生から、ペン習字のお手本が届きました。ホームページ(https://www.p-n-m.net/?mode=f9)に掲載しておりますので、よろしければ練習してみて下さい。先生はB5サイズの縦罫ノート(ツバメN3021)を使われています。

私はできるのなら万年筆できれいな文字を書きたいと思うし、文字の形を気にしながらゆっくり文字を書く時間は楽しく、贅沢な時間だと思っています。

お手本なしで字を書くとどうしてもクセが出てしまって、いくらゆっくり気をつけて書いてもきれいな字を書く練習にはなりにくい。こういう先生のお手本があって、それに似せて書こうとすることでクセがなくなってきます。

それでは自分らしい文字ではないと言う人もいるけれど、文字にはまず基本の正しい形があって、それを書けるようになったら、自分らしさは自然に加わってくるものなのかもしれないと思います。

堀谷先生は当店オリジナルで発売しています革表紙のメモの替紙(https://www.p-n-m.net/?pid=146902010)にも、文学の名作を題材にしたお手本を書いて下さっていますので、そちらもぜひご覧下さい。

堀谷先生は比較的硬めのペン先の万年筆を使われていて、運筆のスピードを変えて文字に強弱つけています。

ゆっくり書くと強い線、早く書くとシャープな線が出ているように思うけれど、そんな単純なものではないのかもしれません。

でも初心者では硬いペン先でこれだけ文字に表情を出すのは難しいのかもしれません。柔らかすぎるとインクが常にたくさん出てコントロールが難しくなりますので、適度な硬さと少しの柔らかさのあるペンが良いように思います。

筆圧に応じて、多少ペン先は開く方がいいので適度な柔らかさは必要ですが、戻りは早い方がいいので適度な硬さもまた必要です。

パイロットなら、SF、SFMなどの軟ペンよりも、F、FM。プラチナならSFあたりです。セーラーのF、FMも適していると思います。ペリカンM800のEF、アウロラFも使いやすいかもしれません。

ペン習字を楽しく書くにはインクも重要です。色はなぜか黒の方が、こういうお稽古には合っていて、文字がきれいに見えます。

インクの濃度も重要です。あまりにも濃くて、黒いインクでは濃淡が出ません。パイロットの黒でもいいし、さらに薄めの当店オリジナルインク冬枯れもペン習字では冴えを見せてくれます。

堀谷先生のお勧めは冬枯れで、先生は長年冬枯れインクを使い続けて下さっています。

万年筆は欧米から入ってきた筆記具ですが、美しいとされる文字を追究して練習する心は東洋の書道のもので、こういう万年筆のあり方にも私は惹かれます。