MOLTE PENNE~松本さんからの贈り物~

ル・ボナーの松本さんは、時々様子を見に当店を訪れてくれます。

それは創業時から変わらず、一ヶ月に一度の時もあれば、何カ月も空くこともあるけれど、いつも木曜日の開店前後に「ど~も」と言いながら入って来られます。

ブログ「ル・ボナーの一日」やフェイスブックからも人柄が伝わると思いますが、松本さんが入ってくると店の雰囲気がパッと明るくなります。仕事でのシリアスな一面ももちろん知っているけれど、華やかな存在感がそう感じさせるのだと思います。

何気ない話をするだけで、松本さんにはそんなつもりはないかもしれないけれど、いつも色々なことを教えてもらっています。時には心配をかけていることも分かっていて、それは出会って15年経った今でも変わらずで、申し訳なく思っています。

松本さんが当店に立ち寄った後、元町駅前のかつ丼の店「吉兵衛」に行くのを楽しみにしていると聞いて、私も一緒に行くようになりました。

吉兵衛は以前働いていた会社の近くにもあったので、よく行っていました。当時はご飯大盛り&とんかつダブルも普通に食べられたけれど、今は二人とも普通盛りで満足している。

今年になって、私は自分自身の心の狭さと器の小ささから取引先を失うことがありました。そんなとき、松本さんが万年筆店には必要だろうと、革のコレクションケース 「ペントランク」の製作に動き出してくれました。

途中何度も試作品を見せてもらったり、電話で進捗状況を聞いたりしていましたが、問題点や難しいところを松本さんなりに解決しながら、少しずつ形になって行きました。

このペントランクに松本さんのたくさんのの時間と労力が注がれていることが分かっていましたので、当初の完成予定は過ぎていたけれど、私には催促することはとてもできませんでした。

今思うと、ようやく第1ロットが完成した時、全て手縫いで作るこのペントランクの製作は、65歳の松本さんの体力と集中力を激しく消耗させることにご自身で気付かれたのだと思います。そして、1点ずつ全て手作業で仕上げるしかない商品を量産するのは難しいと判断され、当店への納品をためらわれておられたのだと思います。

その話を聞いて、カンダミサコさんが後を引き継いでもいいと言ってくれて、ル・ボナー松本さんプロデュース、カンダミサコさん製作のペントランク「MOLTE PENNE(モルトペンナ)」の商品化が決まりました。

松本さんが製作した第1ロットと、半額で販売するその前段階の試作品は、現在店頭で販売中で、9月24日~26日の「巡回筆店2021福岡」でも販売する予定です。

カンダミサコさんが作るものからネットショップに掲載していきたいと思っており、それは10月末から11月掲載の予定です。

店に来ていただける方、福岡の出張販売に来ていただける方にはぜひ見ていただきたいと思います。遠方の方はネットショップ掲載までお待ちいただくことになり申し訳ないですが、数が限られていて少ないこと、それぞれハンドメイドの味が濃いことなどもあり、実際に見ていただきたいと判断しました。

 革製で軽く丈夫なので持ち運びも楽で、旅に愛用の10本の万年筆持っていきたくなるケースです。

このMOLTE PENNEは、松本さんからの大きな贈り物だと思っています。

*MOLTE PENNE(モルトペンナ)・・・ブッテーロ革・価格:110,000(税込)/エレファント革・価格:165,000円(税込)