2021年に第一集を発売した堀谷龍玄先生のペン習字お手本集の続編、「続万年筆で書く龍玄手本集」が完成しました。
先日の代官山の出張販売では、ご購入いただいた方に、特典として「年賀状」か「暑中見舞い」文章のお手本をお渡ししました。
出張販売では初めての試みでしたが堀谷先生も同行して下さいましたので、そのお手本の裏に、その場でご購入された方のお名前を書いていただきました。
楷書、行書、草書の中からお好きな書体を選んでいただいて書かれていましたが、ほとんどの方が楷書を選ばれていたようです。
楷書できっちりと自分の名前を美しく書きたいと思っておられる方が多いことを改めて認識しました。
私も日ごろから、せっかく万年筆を使っているのだから自分にしか読めないような文字ではなく、はっきりとした端正な文字を書きたいと思っています。
それに草書、行書の続け字よりも、整った楷書の文字で自分の名前を書くということが、最も相手に敬意を表明した書体であると思っています。
そんな私の希望もあって、今回の手本集では中国の古典、蘭亭序と九成宮醴泉銘のお手本を載せていただき、書道の気分を味わいながら楷書の練習ができるようにしました。
端正な楷書を書きたいと思った時に、プラチナセンチュリーなどの硬いペン先の万年筆が合っているように思いがちですが、堀谷先生のお手本ではカスタム743フォルカンなどの極端に柔らかいペン先の万年筆で楷書のお手本が書かれています。
楷書だからこそ、フォルカンのような柔らかいペン先で強弱をつけて書くようにするのだということを前回のお手本集で知りました。
美しく文字を書くには、インクも重要です。
堀谷先生は、文字が締まって美しく見えるということで黒インクを勧めておられますが、黒インクの中でも少し薄めの当店オリジナルインク「冬枯れ」を愛用して下さっています。
冬枯れは乾くと少し黒味が引くインクなので、運筆の濃淡が表現でき、筆圧がかかったところは濃く、力を抜いたところは薄くなって文字が生き生きします。冬枯れはペン習字の練習を楽しくしてくれるものでした。
この手本集の原稿書きに使われているのは主にツバメノートの立極太罫ノートで、他にはない太い縦罫線と、滑らかでにじみの少ない自然な書き味を持っています。当店でのペン習字教室では、この2種類のノートを使ってお稽古しています。
ぜひお手本集と冬枯れ、ツバメ立極太罫ノートのセットで美しい文字を書くお稽古を楽しんでいただけたらと思います。
万年筆で美しい文字を書く練習は、静かな楽しい時間を過ごすことができます。それこそが当店がいつも提案したい大人の万年筆の楽しみだと思っています。