オマスの精神を受け継ぐASC(アルマンドシモーニクラブ)

ASCのペンを扱い始めました。

老舗であり、マニア受けするペンを作っていたオマスが2016年に廃業して、セルロイドなどの部材を引き継いだのがASCの創業者カルタ・ジローニ氏でした。

本当はオマスの名前も引き継ぎたかったそうですが契約の関係で叶わず、ブランド名をオマスの創業者の名前をもらいアルマンド・シモーニクラブとしました。

ちなみにOMASという名前もオフィチーナ・メカニカ・アルマンドシモーニの頭文字をとったものです。

カルタ・ジローニ氏をそこまで駆り立てたのは、他のメーカーとは一味違う、尊敬に値する万年筆メーカーオマスへの愛情だったのでしょう。

ASCはアメリカの会社で、メイドインイタリーのオマスとは違う、各部品を専門業者で製作する分業による現代のペン作りをしています。しかし、オマスへの愛情、イタリアのペンへの憧れには変わりなく、オマス愛を隅々まで行き渡らせたゴージャスなペンを世に送り出しています。

ASCのペンはオマスのペン作りの精神を受け継いだメーカーだと分かるのは、それぞれのペンの書き味の味わい深さから窺うことができます。

柔らかいペン先にエボナイトのペン芯の書き味は、大量生産品では出せないいい味を持っています。

スチールペン先の最も安価なスタジオシリーズでも、そのデザインのまとまりの良さ、透明感のある素材を使ったその姿はオマスのペンを彷彿とさせます。

ボローニャシリーズは、まとまりの良いデザインをセルロイドを使って高級感を与えたオマスらしいASCならではのシリーズで、非の打ち所のない完璧な仕上がりの代表的なシリーズです。

オマスの三角形の断面を持つ衝撃作360を現代流にアレンジしたのがトリアンゴロです。

360はシンプルな装飾のほとんどないペンでした。三角形というインパクトのある姿に装飾は必要なかったのでしょう。

トリアンゴロは、透明なセルロイドを使って細部を洗練させた、ゴージャスでインパクトのある姿のペンに仕上がっています。

当店もオマスへの愛情は強かった。

オリジナル万年筆を作ったり、イタリアの本社を訪ねたりするほど力を入れていましたので、オマスの廃業は当店にとってもショックな出来事でした。

私がオマスを知ったのは、1990年代でした。

他社がしていない木軸のペンにも積極的に取り組んでいましたし、イタリアの上質な革を使ったペンケースも作っていました。

ほとんどのブランドが、黒、青、ブルーブラックのインクしか作っていない時代に、様々なカラーインクを発売していました。

他のメーカーの一歩も二歩も先を行っていた、取り組み方が全く違うメーカーで、それがオマスらしさになっていました。

私は主に万年筆を扱っていますが、昔からインクはもちろん革製品についても、万年筆と組み合わせて考える習慣があり、今思うとオマスの影響かもしれないと思います。

そうやってオマスの影響を受けて、オマス愛を持っている業界関係者はたくさんいるだろう。

今でもオーバーサイズのパラゴンの書き味を覚えています。ライバルはモンブラン、と自信満々で言ったオマスのCEOの言葉に、味のあるパラゴンの筆記感が重なりました。

私たちに影響を与えた万年筆メーカーオマスはASCのペンの中に生きていると信じています。

⇒ASC(アルマンドシモーニクラブ)TOP

アントウ~よく書けるだけではないもの~

自分の仕事において書くことはとても重要です。

自分がどういうことを考えて万年筆などの商品を販売しているのかを伝えることで、それに共感してくれたお客様が店に来て下さると思うと命綱と言っても言い過ぎではない。

週1回更新のこのコーナーも開店2年目から始めて15年になりますが、続いているのも命懸けだからです。もちろん好きでやっているということもあるけれど。

何か書こうとすると、私の場合は何らかの刺激がないとなかなか書くことができません。

その刺激を得るために本を読んだり、休みの日どこかに出掛けて行きます。

本を読むこともただ好きでしていることですが、何かを考えるきっかけになったり、行動のきっかけになります。

出掛けることはもっと刺激になって、お店を見たり、店員さんの接客を受けるだけでも大いに刺激を受けて、自分の店や仕事について考えることにつながります。 

だからコロナ禍で出掛けて行くことが憚られて、休みの日に神戸市内どころか家の周りにしか出て行けなかった時は本当に苦しかった。

店は暇で通勤電車もガラガラなので体は楽でしたが、自分が空っぽになっていく気がした日々でしたので二度と戻りたくない。

コロナ禍の只中、アントウのマルチアダプタブルボールペンを扱い始めました。

アントウのペンは、口金だけで芯を固定する仕様なので、油性、水性、ゲルインクなど市販されているボールペン芯のほとんどを使用することができます。

全員がすぐにアントウを手に入れて、アントウのペンに入れるリフィル探しを始めました。

アントウに入りそうな芯のボールペンや芯だけを買ってきて、いろいろ入れ替えて使ってみて、自分にとって最高の組み合わせを見つける。

そしてその発見を同じアントウを使う人と情報交換する遊びが楽しかった。

筆記具はよく書ければその機能を十分に果たしている良い製品だと言えるけれど、もはやよく書けるだけではいけない時代になっていることを実感しました。

日本のゲルインクボールペンの書き味はとても気に入っているけれど、外装がチープで嫌だと私たちは長い間思ってきて、それらの芯をいかに良い軸で使うかということを考えてきました。

今は作っていないけれど、今までそういったものも商品として提案したこともありました。

アントウは芯を探して遊ぶこともできる、もっと先を行っているペンでした。

よく書けることは当然として、そこから広がる遊びや人を幸せにするものがないといけない。当店はそういうものを扱っていかないといけないと思いました。

もしかしたら、アントウの遊びが楽しいと思う人は少数派なのかもしれないけれど、少数派でもその楽しさが分かってくれる人には最高のペンになる。

コロナ禍はできれば経験しなくてもいい、私たちにとって空白の3年間だったかもしれないけれど、アントウのペンを知ったことは自分の仕事において大変な収穫だったと思い、今でも大切に思っています。

⇒ANTOU(アントウ)

バゲラの松ぼっくり(pinecone)

あると便利なものは100円ショップなどにもたくさんあって、それが100円で買えることが有難くもあり、モノを売る側としては恐ろしくもあります。

私たちはそういったお店が商品化しないようなものを、お客様に提案しなくてはいけません。

ではどういうものを扱っていけばいいのか。

最近使い始めたもので、持っているだけでただ嬉しく、何とか自分の生活の中に溶け込まそうと思っているものが「ファーバーカステルのパーフェクトペンシル」で、差別化になる商品のひとつだと思います。

何か書く時に、鉛筆である必要は全くありません。便利さで言うなら、ボールペンの方が滑らかに濃く書けるし、削らなくてもいつも同じ太さで書くことができます。

鉛筆であるパーフェクトペンシルは当然使うと丸くなって減っていくので、削らなくてはいけません。

高価な鉛筆なので、キャップ兼エクステンダーの中に仕込まれている鉛筆削りでさえ、私はもったいなくて使えず、肥後守でいつも芯を尖らせています。

なぜそんなことまでしてパーフェクトペンシルを使うのかというと、そうすることが楽しいからです。

実用性とか、便利さを考えるとパーフェクトペンシルを使う理由はどこにもなく、世界で一番高価な鉛筆は100円ショップの商品から一番遠いところにあるものだと改めて思います。

鉛筆という文房具の中でもチープで基本的なものを、ただ持っているだけで嬉しい、何とか自分の生活に取り入れたいと大人に思わせる、遊び心に溢れたものに作り変えたパーフェクトペンシルの考案者、先代のファーバーカステル伯爵は遊びの達人だったのだと想像できます。

神戸の革製品オーダー専門店BAGERA(バゲラ)さんのPinecone(松ぼっくり)というモノが当店に入荷しました。

バゲラさんのペンケースを扱い始めてからすっかり魅了されていて、バゲラさんのホームページをくまなく見ていて見つけたものでした。

ものすごく個性的で、アクが強くて、でもコロンとしていてかわいいもの。

これを財布として持ち歩いて、中からカードや小銭を出して買い物をしたい。自動販売機でコーヒーを買うだけでも楽しくなるものだと思いました。

お札は折りたたまないと入らないし、カードも多くはきっと入らない。

でも何とか使って、自分の生活に取り入れたい。これが似合うかっこいい大人になりたいと思わせてくれるもの。それがバゲラさんのPineconeです。

Pineconeはバゲラの高田奈央子さんが、鞄を作ったときなどに出る珍しい革やもう手に入らない革の端材を集めた箱(宝箱と呼ばれています)の中から、イマジネーションのままに組み合わせて作られています。

ペンケースやシステム手帳同様、全て手縫いで、異素材の革を貼り合わせて、継いで作られる、小さいけれど存在感のあるもの。

Pineconeの話をしている時、実は5年前に出来上がったばかりのPineconeを高田さんから見せてもらっていたことが分かりました。すっかり忘れていたけれど、高田さんに言われて思い当たりました。

今ならそのPineconeを手放すことはしないと思うけれど、その時はそうしませんでした。

5年前の私にはPineconeの存在の意味が分からず、この良さを見る目ができていなくて、良いけれど高いですねで終わっていたのかもしれない。恥ずかしいことだと思いました。

きっと今が当店がこのPineconeを扱うのに相応しいタイミングで、それまで待っていてくれたバゲラさんに感謝しています。

⇒BAGERA(バゲラ)Pinecone

Craft Aの万年筆 ”Outfit”

木軸ペンで人気のあるクラフトAさんの万年筆Outfitの取り扱いを始めました。

クラフトAの津田さんのことは、590&Coの谷本さんから聞いて十数年前から知っていましたし、イベント会場などではよく顔を合わせていました。

ハンドメイドの木軸ペンが、今のように人気が出るかなり以前から木軸ペンを作り続けて、自分の信じた道を淡々と歩んでこられました。それが世の中に認められて人気が出たことには「こうなると思わなかった」と言われていて、変わらない自然体な人柄に好感を持ちました。

そのモノを当店で扱う時に、私は縁や出会いのような無理のないタイミングを大切にしています。

同じ兵庫県を拠点にしていて行き交うこともあったけれど、今まで津田さんとはそのタイミングが合わなかった。

多く流通していない個性的なペンを求めていた当店と、万年筆専門店で自作の万年筆を販売したいという津田さんとのタイミングが今合ったということなのだと思います。

津田さんが当店にたくさんの万年筆を持って来て下さって、その中から選ばせていただきました。

クラフトAさんの万年筆は、それをあえて懲りすぎずに道具のように仕立てているところが個性だと思っています。シンプルな寸胴型のデザインには潔ささえ感じます。

キャップは軽いアルミ製、首軸は重い真鍮製になっていますので、ネジが切ってある尻軸にキャップをはめて固定して書いても、リアヘビーにならずにバランス良く使うことができます。太い軸は細かな操りやすさよりも、長時間楽に書くことを狙っていると思われる、どっしりとした大らかな持ち心地の万年筆です。

軸に使う銘木は、シンプルな寸胴型のボディと硬質な印象のキャップによって、その魅力が引き立てられています。

材によって多少の価格の違いはありますが、比較的リーズナブルな価格に抑えられていると思います。価格の大きな違いは、ペン先の素材です。

よりリーズナブルなものはステンレスのシュミット製のペン先が使われています。

硬いけれど、一定のインク出でブレのない均一な線が書けるのはステンレスペン先ならではで、さすが老舗のシュミットだけあって、滑らかな書き味を持っています。手帳に細かい文字を書くのに適したペン先だと思いました。

私は良いペンは金ペン先であって欲しいという思いがあって、これはと思うものにJOWO製の14金ペン先をつけていただきました。

金ペン先の柔らかな書き心地は重量のあるクラフトAの万年筆に合わせるとよりその柔らかさが強調されて、気持ち良く書けるものになりました。

クラフトAの木のペンには、自分で塗って艶を出していく楽しみを感じていただくための「手入れ用オイル」が付属していて、クラフトAの津田さんの木のペンへの考え方が表れています。

当店はこういう世界観を持ったものを扱いたいと思っています。

(5/8~12まで不在のため、来週のペン語りはお休みさせていただきます。次回投稿は5/19です)

⇒Craft A TOP

万年筆のフォルム

綴り屋の「漆黒の森」という万年筆を見て、万年筆のフォルムについて考えました。

綴り屋さんの万年筆の一番の特長は、これ以上ないと思わせる軸のラインの美しさにあると思っています。

キャップやボディの絶妙な膨らみ具合と、キャップトップあるいは尻軸の角から頂点への角度、キャップとボディのわずかな段差など見所が多く、見ていて飽きることがありません。

強いて言えば2000年以前、ルイ・ヴィトンの傘下に入る前の古いオマスがこれに近い姿をしていたかもしれませんが、綴り屋さんの方がより全体的にボリュームがあって、魅力を感じます。

これがたくさんの万年筆を研究して計算して作られたものなら、綴り屋の鈴木さんには何千本という万年筆コレクションがあるに違いないけれど、きっとそんなことはなくて、非常に高い美的感覚を持っているのだと思います。

でもきっと若い頃の私では、綴り屋さんの万年筆の良さが分からなかっただろうと思います。

今までたくさんのペンを見て、触れる機会に恵まれてきました。そして目が養われてきて、このペンの良さに気付けた。今出会えてよかったと思っています。

素材の良さや、デザインの華やかさも万年筆の楽しみですが、フォルムにその美しさを見出すのも製作者の意図を汲むようなところがあり、それがモノを理解するということなのだと思います。

フォルムの美しい万年筆としてはアウロラ88も挙げられます。

キャップトップの丸み、軸の膨らみ方、キャップとボディの段差の少なさなど。個人的な見解ですが、似た形のバランス型(両エンドが丸い万年筆)の万年筆の中で最も美しいフォルムをしていると思っています。

1940年代に生み出されて、今も美しいと思えるフォルムを持つアウロラ88は、万年筆の古典と言えるのかもしれません。

フォルムの美しさとは少し違うかもしれませんが、ドイツの万年筆は直線を基調として堂々としたデザインのものが多いのではないでしょうか。

ファーバーカステルクラシックは、直線的なシャープなデザインの中にクラシックな意匠が盛り込まれていて、独特ないいデザインだと思います。

この万年筆は1990年代に登場した万年筆で、歴史あるモデルではありませんが、クラシックさを感じるのは古いペンシルカバーから着想を得たデザインだからなのだと思います。

オーソドックスに見えますが、ペリカンも直線的な軸とエンド処理に丸みを持たせて温かみのある独自のデザインをしています。

私たちにとってペリカンは多くの人が持っていて、特に目新しいものではないかもしれませんが、そのデザインは飽きのこない深みのあるものと言える。こういうものを日常の道具にしたいと思える万年筆です。

ひとつひとつ挙げたらキリがないけれど、長さ10数センチ、太さ数10ミリの小さな棒なのに、色々な形の違いがあってそれを見るのが楽しい。

様々な万年筆に自分なりの美を見出して使う。万年筆は、それぞれの人の美意識を表すものであって欲しいと思います。

⇒綴り屋(TOP)

⇒AURORA88

aunのガラスペン

先週末の590&co.さんとの横浜での出張販売は、590&Co.さんのお客様が開店前から列を成して、開店後も数時間はその列が途切れることはありませんでした。

今人気のものを見極めてそれらを集め、時には自ら人気のものを作り出す谷本さんの手腕がその行列を作り出している。すごいことだと思います。

今回は当店にも開店前に女性のお客様が何人も来られたのですが、谷本さんのように整理券発行機を設置していなかったので、急遽整理券を手書きで用意しました。行列を作ることを目的にしているわけではないけれど、嬉しかったし、来て下さるお客様がおられたことにホッとしました。

当店に開店前からお客様が並ばれたのはaunのガラスペンがあったからでした。

ここ数年で、様々な事情から当店でずっと扱ってきた商品があれこれ無くなりました。

何もないというと大袈裟かも知れないけれど、ゼロに近い状態から少しずつ新しい作家さんと繋がりができて、当店らしいモノが集まってきたと思います。

かなり長い期間入荷していなくて、一時はもう入らないかもしれないと諦めていたaunさんのガラスペンが先日入荷しました。

取扱店として多くのお客様がお待ちだったことは分かっていましたので、ガラスペンがないことをずっと申し訳なく思っていました。

ガラスペンは今すごく人気で多くの人に注目されているけれど、当店とaunさんとのやり取りはそれよりずっと以前に始まっていました。

岡山倉敷に工房のあるaunさんの商品を、当店は他県で最初に扱い始めた店だという自負があり、思い入れもあったので、aunさんのガラスペンがまた入荷したことは嬉しかった。

aunさんのガラスペンは、ガラスアクセサリー作りなどで腕とセンスを磨かれた江田明裕さんによる自然をテーマにした素朴で美しい軸と、研磨師の小野拓さんによる滑らかな書き味が特長です。

その書き味は素晴らしく、ガラスペンのイメージを完全に覆します。字幅もパイロットのEF~スタブまでオーダーすることができる。

万年筆の調整をしている当店が、自信を持ってお勧めすることができるガラスペンだと思って扱い始めましたが、さらに磨きがかかっています。

数に限りがありますし、当分の間は店舗やイベントだけでの販売に限らせていただこうと思っています。

神戸の店に来ていただければ、aunさんのガラスペンが並んでいます。

研ぎの違い アウロラカーシブニブと当店の三角研ぎ

4/15、16の横浜出張販売に持って行くために、研ぎの違う万年筆をいくつか用意しました。

まず、アウロラのビアッジオセグレート(神秘の旅)シリーズ・マテーラの「カーシブニブ」と「フレックスニブ」です。

最近万年筆は世界的に「研ぎ」がブームになっています。

様々なメーカーから、従来のペン先の仕上げとは違う特別な研ぎの万年筆が発売されるようになりました。

カーシブニブは立てて書くと細く、寝かせて書くと太く書けるようになっていて、漢字などを美しく書くのに適した形状になっています。

日本では以前から人気がありましたが、おそらく中国での人気が高くなって、アウロラも取り組み始めたのだと思います。

ルーペでペンポイントを見なくても分かる、美しい研ぎが施されています。

フレックスニブはかなり以前、1990年代にアウロラ88につけられていたペン先で、オプティマよりも穂先が長く、筆圧の変化で文字に強弱がつけられる柔らかいペン先です。

当時定番品のオプティマと88でペン先を分けて、異なる書き味に仕上げていました。今ではアウロラのほとんどのペン先が穂先が短いオプティマ型になっています。

今回は、特別に神秘の旅シリーズに付けて発売されましたが、その中でもマテーラに絞って、カーシブニブの中で一番細い<CE>とフレックスニブの中で一番細い<FE>を選んで仕入れました。カーシブニブはなるべく細い方が線のキレが表現しやすく、フレックスは太い細いの変化が出やすいと思いました。

当店も以前から特別な研ぎに取り組んでいます。

立てると細く、寝かせると太く気持ち良く書けて、書いた文字に表情が出る「三角研ぎ」をパイロットカスタム845、743でご用意しました。

また筆記角度、ペン先の向きなどを気にせずに、気持ち良く書ける「丸研ぎ」も同モデルで用意しています。

万年筆がある程度揃ってくると、あまり人が持っていないものが欲しくなってきます。

当店でお役に立てるのはこれらの万年筆のような特別な研ぎが施されたペン先で、それらは他とは違う書き味を持ったものです。

軸のデザインは同じでも、書き味が異なるこれらの万年筆もまた所有欲を満たすものだと思いますし、使っていて楽しめる万年筆としてご提案いたします。

出張販売とウォール・エバーシャープ販売についてご報告

4/15(土)16(日)、横浜市関内のギャラリーシミズさんで、昨年に続いて590&Co.さんと共同出張販売「&(アンド)in 横浜」を開催します。

590&Co.さんとの仕事は両店のそれぞれのお店のお客様が来て下さるという相乗効果もありますが、590&Co.の谷本さんとの仕事はとても勉強になると思っています。今回初めて同行する森脇も、谷本さんからたくさんのことを学び取ってくれるはずです。

出張販売のために、たくさん商品を集めました。

それらは2日間のイベントで全て売り切るというものではなく、これからの店の品揃えを強化するための大切な商品たちです。

今回のイベントのために用意できた商品は、aunガラスペン、綴り屋万年筆、パイロットの廃番品と過去の限定モデル、アウロラ神秘の旅「マテーラ」のカーシブニブとフレックスニブという特殊ペン先など、たくさんのペンたち。

そしてカンダミサコ ダグラス革の10本用ペンケース「モルト・ペンネ」、バゲラのシステム手帳・ペントレイなどで、今年当店が主力として販売していきたい商品を集めました。

イベントの話とは少し違いますが、当店が輸入して販売していた「ウォール・エバーシャープ社」の販売代理店が変わることになりました。

ウォール・エバーシャープ社と当店は、独自で西日本での販売契約を取り交わしていましたが、オーナーがペンファミリー社に代わりました。

ペンファミリー社は日本での販売代理店をプリコ商事さんに任せていますので、それに伴ってウォール・エバーシャープの日本での販売も、今後はプリコ商事さんが行うことになりました。

円安ということもあって、今後入荷するものは金額が変更になります。そのため、現行価格で販売できる商品は当店の在庫のみとなります。

直接輸入することはなくなりますが、今後も変わらずウォール・エバーシャープ商品は販売継続します。また、新たにペンファミリー商品も取り扱い開始しますので、私も楽しみにしています。

ウォール・エバーシャープの特長について少しご説明いたします。

1917年に創業したウォール・エバーシャープは、パーカー、シェーファーなどのメーカーとともに1920年1930年代のアメリカの万年筆の黄金時代を担ったメーカーで、数々の名作万年筆を世に送り出しました。

現在のラインナップであるデコバンドとシグネチャーは、往年のウォール・エバーシャープ社の名品を、現代的にリニューアルしたモデルになっています。

デコバンドはモンブラン149相当のオーバーサイズのペンです。よく動く柔らかいペン先と、尻軸を引っ張り出して押し込むことで豪快にインクを吸入する吸入機構が特長です。

シグネチャーは抑制の利いた柔らかいペン先で大変書き味の良いレギュラーサイズの万年筆で、吸入機構もカートリッジ・コンバーター両用式(カートリッジはヨーロッパサイズ)です。

骨太なデザインと滑らかな書き心地。メジャーな万年筆メーカーには見当たらなかった魅力がウォール・エバーシャープにはあって、当店は本国に直接アタックして2017年から扱ってきました。

ウォール・エバーシャープの万年筆も横浜での出張販売にお持ちします。

⇒ウォール・エバーシャープ TOP

⇒出張販売「& in 横浜」日時・場所

ほどよいジュエリー感の万年筆

ラマシオンのシルバーの時計を愛用しています。

時計に凝る方ではないのでこれ1本しか持っておらず、毎日同じ時計をしています。

でもケースのシルバーの質感、文字版のデザインなど好きなところばかりで気に入っているので、買って数年経つけれどいまだに時間を見るのが嬉しい。こういう愛用品を着けていると毎日が楽しくなります。

アクセサリーを着ける習慣のない自分にとって、ラマシオンの時計は唯一のジュエリーと言える存在です。

そう考えると、万年筆もそういう存在のものなのかもしれません。特にスターリングシルバー(純銀)の万年筆はジュエリーと言っても過言ではありません。

万年筆の世界においての金属の格付けとして、最上位は間違いなく金無垢ですが、その次はスターリングシルバー、次にチタン、銅、真鍮、ステンレス、アルミと続きます。これは私の感覚ですが、大きく間違ってはいないと思っています。

実用として使うこともできるけれど、ジュエリーのように貴金属でできているもの。ファーバーカステルクラシックスターリングシルバーの、細身でクラシカルな完成されたデザインは誰もが認めるところで、この万年筆を使いこなしたいと思っている人は多いと思います。

スターリングシルバーを証明する刻印がパーツパーツ全てに押されていて、これも所有欲を満たしてくれます。

細身ですが重さがあるので、尻軸にキャップを付けると後ろバランスになって、あまり長時間書き込む万年筆ではないかもしれませんが、手帳を書いたり、サイン用として使ったり、私に言わせると一番華やかな用途でのみ使う万年筆です。

シャープペンシル・ボールペンも万年筆と統一感のある美しいデザインで、揃えて持ちたくなる、数少ないモデルでもあります。

廃番になってしまったので、シャープペンシルとボールペンしか残っていませんが、クレオスクリベントの「リネアアルト」もスターリングシルバーを贅沢に使ったペンです。

保管されていた自社の資料の中から見出した、1940年代のデザインを復刻したもので、近未来的なところが今では逆にレトロに感じるデザインです。

軸に少しふくらみを持たせていて、握りやすく実用的にも良いペンだと思います。

ドイツの2つのスターリングシルバーのペン。シルバーでできたジュエリー感のあるものですが、こういうものは身につけると嬉しいような元気がもらえるような気がします。それがジュエリーがもたらす効果なのかもしれません。

ジュエリー感とは違うけれど、シルバー独特の手にピタリと添うような感触、少しずつ黒く変色して凄みが出てくることにもシルバーの価値があって、万年筆をはじめとする筆記具に向いた素材であると思います。

私がこの年代の代弁者というわけではないけれど、書くことを大切に思っているおじさんには、実用的なシルバーの万年筆がちょうどいいジュエリーと言えるのかも知れません。こういうものを使う、あるいは持っているだけでも、日常が楽しくなるのは間違いないと思います。

⇒Faber-Castell クラシックコレクション スターリングシルバー 万年筆

⇒Faber-Castell クラシックコレクション スターリングシルバー 0.7mmペンシル

⇒クレオスクリベント リネアアルト ボールペン

⇒クレオスクリベント リネアアルト 0.7mmペンシル

いつか手に入れたい万年筆

WBCの準決勝が気になって、店ではスマホの文字中継から目が離せませんでした。画像を見られなかったので、決勝戦のあった翌日の定休日は、もちろんテレビにかじりついていました。

どちらかと言うと、まだコロナ禍から抜けきれていない元気のない日本でしたが、WBCの優勝で日本中が勇気づけられて、大きな力をもらったのではないかと思います。

侍ジャパンの選手たちはとてつもなく大きなことを成し遂げた。それはきっと彼ら一人一人が血のにじむような努力を重ねてきて、その力を世界レベルにまで高めてきたから決勝でアメリカに勝つことができたのだろう。

私たちは自分の仕事において、彼らのような大きなことを成し遂げることはないかもしれませんが、頑張ろうと思わせてくれる彼らの活躍でした。

私たちの仕事は今だけ良ければいいわけではなく、長い間立ち続けて、最期まで立っていることを目指すようなものなので、スポーツの世界とはまた違った結果の出し方をするのだろうと思います。

そんな盾やトロフィーのない戦いの中で、密かに手に入れて、自分の記念碑的なものになる万年筆を当店では揃えておきたい。万年筆にはそんな存在でもあると思っています。

いつか手に入れたいと思える万年筆は、目標に思い続けることができる定番万年筆である必要があって、そんなふうに思える定番万年筆はそれほど多くないのではないかと思っています。

そんな特別な定番万年筆のひとつが「アウロラ88クラシック(ゴールドキャップ)」です。

最近では少なくなった、金キャップに黒軸の万年筆。力強い大人の威厳を感じさせてくれるシンプルな万年筆です。

個人的に、黒×金の万年筆が良いと思えるのは40歳を過ぎてからだ、と思っているので、この万年筆の魅力はもしかしたら若い人には伝わらないかもしれません。でもある一定の年齢を超えた人には、どうしようもなく惹かれる万年筆だと思います。

88クラシックには近年、スターリングシルバーキャップがラインナップに復活しています。コーティングされていない銀のキャップは、使ううちに落ち着いた光沢になって、黒ずんできて凄みが出てきます。純銀を証明する刻印が天冠とバレルに打たれていて、ある意味ゴールドキャップよりもよりジュエリー感があって、記念碑的な要素は強いかもしれません。

ゴールドとシルバーのメタルキャップの圧倒的な存在感に目が奪われますが、この万年筆を持ってみると、自然なカーブが手に馴染み、非常に握りやすい持ち心地の良い万年筆であることが分かります。

重そうなキャップですが、尻軸にはめて書くとバランスが良く、決して後ろに引っ張られるようなことはありません。

ゴールドキャップもシルバーキャップも限定品とは違う14金のペン先です。アウロラの18金ペン先は初めから柔らかく良い書き味であることが多いですが、14金ははじめ硬めで、使い込むうちに柔らかい書き味になってくると言われています。

硬めと言われるペン先ですが、ペン先調整で気持ちいい書き味に仕立てて、使い込んでいただくのに相応しいものにしてお渡ししています。

目標にして、何かの記念に手に入れるペンだからこそ最高の書き味にしたい。そのために、もっと腕を磨いて、相棒の調整機も常に良い状態にしておきたいと思っています。

当店は、いつか手に入れたいと思う特別な万年筆を手に入れるのに相応しい場所でありたいと思っています。

⇒AURORA 88(オタントット)シルバーキャップ