モンブラン149 オーバーサイズの中心のピース

万年筆店として、思い描く理想の品揃えがあります。それでも意外と様々な制約があって一気に揃えることはできないけれど、少しずつ近づくためにその理想を持ち続けています。

モンブランもそんな理想の品揃えの中に入っていました。

でも私の理想はモンブランも他の万年筆と同列に扱って、他の万年筆と比較してもらいたいというもので、それはブランドであるモンブランが希望するものとは違っていました。

別に状況が変わったわけではないし、時代がそうなってきたと言うと煙に巻くような言い方ですが、 定番のスタンダードモデルマイスターシュテュックに関しては、当店の理想とするモンブランの扱い方ができるようになりました。

オーバーサイズの万年筆には本当に魅力的なものが揃っていると思っています。その中でもモンブランマイスターシュテュック149は最も有名で、スタンダードな存在です。

オーバーサイズの万年筆をいくつか挙げると、当店が独自に輸入しているウォール・エバーシャープ社のデコバンドは、無駄が一切ない149と違って、ゴツゴツとしている無骨なデザインが魅力だし、吸入メカニズムの仕掛けや書き味など、楽しむための要素が多い万年筆だと思っています。

149が入って比較する対象ができたことで、デコバンドの良さもまた伝わりやすくなったのではないかと思います。

またペリカンM1000は味わいのある万年筆です。控えめな遊び心があるけれど、シンプルでスッキリして見える。M1000のデザインから、濃厚で甘い書き味が生まれるのが不思議な気がします。

モンテグラッパエキストラ1930は、ボディはそれほど大きな方ではありませんが、そのペン先の大きさからオーバーサイズ万年筆と言ってもいいのではないかと思います。

シルバーの金属パーツやセルロイドのボディとの組み合わが醸し出す佇まい、大きなペン先から生み出される粘りがあるような上質な書き味は、どのオーバーサイズペンに勝るとも劣らない万年筆だと言えます。

そういったオーバーサイズの万年筆の中にあって、モンブラン149はそれらの万年筆に少なからず影響を与えている、思想的なベースとなった超スタンダードな存在の万年筆です。

面白味は少ないかもしれないけれど、多くの万年筆のお手本となった最も万年筆らしいオーソドックスで洗練されたデザインと、書くことを仕事としている人が書かなければいけない時に信頼できる頑丈さがこの万年筆の特長で、何か万年筆を1本だけ選ばなければいけない時に選ぶような万年筆なのかも知れません。

でも本当はモンブラン149について評価するのは非常に怖い。なぜなら多くの人が愛用していて、この万年筆を特別なものとしているからです。

それがモンブランマイスターシュテュック149で、この149が入ることで、当店もポッカリ空いていたパズルの中心のピースがはまったような気がしています。

当店ホームページ、モンブランマイスターシュテュック149のページ