~価値観の転換~スチールペン先のパイロットキャップレス

香水が少なくなってきたので新しいものを買おうと思ってお店に行ったら、以前よりかなり値上がりしていたので買うのを止めてしまいました。

その香水は私にとっての定番でしたが、特に強い思い入れがあったわけではなく、イギリスの好きなブランドのものというだけで使っていたので、別の好みの香りを探そうと思いました。今の値段は私にとっては香水の値段を超えているように感じました。

新しいものをいくつかお店を回って決めましたが、国産の良いものが買えたと思います。今まで使っていたものよりも、自分の価値観を反映してちゃんと選ぶことができた。

今回の香水の件は私にとって価値観の転換という静かな革命で、これからも色々なもので価値観の転換をすることになると思います。

私と同じように色々なものにおいて価値観を転換しようとしておられる方は多いように感じています。

これだけ色々な価格が上がっていたら、モノと価格のバランスが取れていると思わせるものに需要が流れていくのは仕方がありません。供給側の一方的な都合による値上げに対する、顧客の寛大な心は限界をとっくに超えている。

このままでは既存の供給網は自滅の道を辿るしかないのではないか。

為替のせいだとか、金の高騰を理由に値上げをする万年筆にも価値観の転換が当然起こっていると思います。

より値段と質のバランスが取れているものをご案内するのも当店の役割だと思っていますので、これから機会があるごとにそういうものを見つけて扱うようにして、ご紹介していくつもりです。

パイロットキャップレスは当店でも人気のある万年筆です。

手帳用の万年筆というと一番に挙げられる万年筆かもしれませんが、そのキャップレスもかなり値段が上がってしまいました。

しかし、その中でもあまり価格の変わらないものがあります。

ペン先が金でない、特殊合金製のペン先のキャップレスです。

今まで金ペン先のキャップレスしか目を向けてきませんでしたが、最近になってお客様からのオーダーで取り寄せたり、お持ち込みのペン先調整の依頼で手にする機会があって、スチールペン先のキャップレスもペン先調整してお渡しすると、とても書きやすいと喜んでいただけることが分かりました。

金ペン先特有の柔らかさやしなりはスチールペン先にはありませんが、筆圧の影響をあまり受けず、安定して滑らかに書ける良さもスチールペン先にはありますので、より多くのお客様にスチールペン先のキャップレスもお勧めしたいと思いました。

精神的な支柱になるような万年筆や、ステイタス、シンボルになるような万年筆は別として、仕事で書いたり、書くことを楽しむための万年筆はペン先は金でなくてもいいという価値観の転換をしてもいいのかもしれないと思うようになりました。

⇒パイロット キャップレス(ペン先:特殊合金)