プロフィット30周年記念万年筆ブライヤー

プロフィット30周年記念万年筆ブライヤー
プロフィット30周年記念万年筆ブライヤー

20年前に発売されたセーラー創業80周年記念万年筆ブライヤーはいまだに人気があって、多くの人が憧れている万年筆のようです。

当時、木のボディの万年筆が全くなかったわけではありませんが、種類が少なく、木の万年筆の人気が高まるきっかけとなった万年筆が80周年ブライヤーだと考えています。
パイプにも使われているブライヤーという大変魅力的な素材、バランスの良いボディ、キャップリングの凝った象嵌風装飾など見所がいくつもある万年筆でした。
80周年ブライヤーは、価格も高く発売当初はなかなか理解されず限定品としては完売するのに長い期間を要しましたが、セーラーと言えばブライヤーあるいは木の万年筆というイメージを多くの方に植え付けた存在でした。

偉大な80周年万年筆のおかげで、セーラーが限定品を作るたびに80周年ブライヤーのような万年筆が期待されましたので、80周年の呪縛からセーラーはなかなか逃れることができなかったのではないかと思います。

そういった過去に発売された限定万年筆が再評価されて、発売後しばらく経ってから人気が高まるのは、メーカーとしては複雑な心境だと思います。
でも、今まで発売されたセーラーの限定万年筆はどれも高い評価を得ていて、それはセーラーの限定万年筆がある定型のひとつの流れの中に存在するのではなく、その時その時で全く形の違うものを出してくるところと企画の上手さに魅力が感じられるからかもしれません。

今回発売されたプロフィット30周年万年筆ブライヤーによって、セーラーは80周年記念万年筆の呪縛を取り払うことができたと思っています。

80周年のブライヤーボディは、表面がポリウレタンコーティングされていて、木のボディでありながら手の油によって光沢を増すような経年変化は見られませんでしたが、プロフィット30周年万年筆はオイル仕上げだけに留められていますので、磨いたり、使い込んだりすることで艶を増してくれます。
表面にコーティングされていないため、私が使うのならある程度磨いて艶を出して、多少汚れがつきにくくしてから日常使いすると思います。

仕様に関して多少のそういった注意が必要ですが、木軸の万年筆は木の手触りを感じられる、コーティングのないものが望まれているように思います。

キャップリングの彫りの深さ、力強さも特筆すべき点だと思います。
プロフィット30周年のキャップリングは、派手な意匠が凝らされているわけではありませんが、そこには奇をてらわない高い精度を持って施された仕事が感じ取られ、プロフィットらしさが成されています。

誰もが書きやすいと思う実用万年筆の中でも上質な書き味を持ったものがプロフィットで、それは多くの方が認めるところだと思います。

実用において完璧な万年筆をベースにした、趣味の万年筆。
プロフィット30周年記念ブライヤーにはそんな趣が備わっています。