思想を表現するもの~アウロラ88クラシック

思想を表現するもの~アウロラ88クラシック
思想を表現するもの~アウロラ88クラシック

ミュージシャンはより良い音楽を奏でるために良い楽器を手に入れようとします。
その楽器を手にすることによって自分の腕がもっと良くなるのではないかと期待するのがアマチュアのミュージシャンだとすれば、自分の持ち味を際立たせる楽器として選ぶのがプロのミュージシャンということになるのだろうか。

いずれにしても、ミュージシャンはより良い楽器で演奏したいと思うはずです。
良い楽器を求める理由は良い音を求めてということになりますが、ミュージシャンは選ぶ楽器によって音楽に対する考え方、思想を表現したいとも思うでしょう。
そして私たちが万年筆を手に入れようとする心もそれに近いのではないかと思うようになりました。

例えば誰もが知っている有名なブランド、モンブランやカルティエの万年筆を使うことで、信頼感を演出しているのかも知れません。
ペリカンを愛用する人には、道具を実用性で選ぶ堅実さが感じられますし、アウロラを愛用する人は個性・その人らしさを感じます。
それはもちろん私の独断と偏見ですが、アウロラはそれを選ぶことで、その人のこだわりのようなものが感じられる万年筆だと思います。

アウロラの代表的なモデル、オプティマ、88はかなり特徴的な万年筆です。
吸入機構は、カートリッジ・コンバーター両用式が多い中にあって、ボディ本体がインクタンクになっている吸入式です。
アウロラオプティマ、88の吸入機構はリザーブタンクが備わっていて、出先でインク切れが起きても、そこからインクをおろす(その表現がピッタリです)とA4サイズで数枚書くことができます。

リザーブタンクの使い方は、実際にアウロラを使ってみるとすぐに分かる簡単なものですが、なるほどコロンブスの卵的な機構だと言えます。
アウロラの書き味は硬く、カサカサした感じだと言われることがあって、それがアウロラ的だと思われているフシがありますが、実はそんなことはありません。
調整次第で生まれ変わり、滑らかで代わるもののない書き味に仕上げることができます。

万年筆だけでなく、何か物を選ぶ時にあれこれ実質的な理由を挙げて人はそのモノを選ぼうとしますが、私がアウロラ88クラシックを選んだ理由は、自分の万年筆に対する考え方、生き方、思想を表現しているものだからです。

古臭くてもいい、時代に流されない人でありたいといつも思っています。
シガーのように太く凹凸のない丸みのあるボディのシルエット、黒のボディに金のキャップという時代遅れなデザインにも思えるアウロラ88クラシックにそれを見出して、憧れて自分の指標として、その考えを表すシンボルとして、この万年筆以上に適したものはないと思っています。

万年筆は書き味がどうで、どんな文字が書けるから、それでどんな仕事ができるかが一番に論じられることですが、自分の思想を表すものが万年筆であっていいと思うし、万年筆はそういうものであって欲しいと思っています。

私の思想を表す万年筆として、アウロラ88クラシックをご紹介しましたが、私と考えを同じくする方がアウロラ88クラシックを顧みて下さると、とても嬉しく思います。

⇒アウロラ88クラシック