根付け作家の彫刻作品 オリジナル万年筆「自在龍」

当店でいつも満寿屋の原稿用紙を買って下さるお客様で画家のWAKKUNさんという方がおられます。

新聞や雑誌に寄稿される多くの著述家の方がPCデータでの入稿を求められるのに、WAKKUNさんは原稿用紙に万年筆で手書きしたもの出しておられて、手書き原稿が許されている数少ない方です。

アートの世界の人たちの間でもよく知られた存在で、WAKKUNさんに教えてもらったと言って来店される方も多く、とても有難い存在です。

現代根付け作家の川本泰さんもWAKKUNさんから当店のことをお聞きになられて来店されました。

店内をご覧いただいている時に、世間話をしていて根付けを作っておられるという話になりました。私の反応に、川本さんはそんなに興味を示すならと、とても気さくに作品の写真やスケッチブックに描かれたデザイン画を見せて下さいました。

私は当店のオリジナル万年筆に川本さんの作品のような彫刻が入っていたらとても素敵だと思いました。そこで探るように恐る恐る万年筆に彫刻をするということに興味がありますかと聞いてみました。

オリジナル万年筆をベースにしたアート作品のようなものを作っていただきたいと思っていましたので、川本さんとの出会いは本当にタイミングが良く、WAKKUNさんはこんな風に色々な所で人と人を繋いでこられたのだと思いました。

私の恩師の一人である、一昨年亡くなった狂言師の安東伸元先生によく言われていたのは、人とは本当に必要とした時に自然と出会うようになっているものだから探し回らなくてもいい。無理に探してもその関係は長く続かない、ということでした。実際に何度かそんな経験をして、その言葉は本当だと思っています。

ただそういう人と出会った時に見逃さないよう、自分の感性を磨いておかなければいけません。

感性を磨くためには普段から美しいものを見て、本を読んで色々な人の生き方を知らなければいけないと私は思っています。

そうやって普段から自分に合った人に気付く感性を磨いておくことは、当店のような個人同士の繋がりが大切な小さな店にとってとても大切なことだと思っています。

そうやって知り合った川本泰さんに作品をお願いして数ヶ月後、この怪しくも愛嬌を感じる龍の彫刻が入った万年筆が出来上がりました。

龍はすごむわけでもなく、そのキャップの中に棲みついているような感じがします。目立たないように外の様子を伺っているように目だけがギョロっと光っている。万年筆として、ユニークで存在感のあるものができたと思っています。

龍が紙の上を自由自在に泳ぐように、この万年筆が自由に紙に文字や絵を描くものになる、という想いで自在龍(じざいりゅう)という銘を付けて下さいました。

こういう万年筆を実際に使うのかどうかは分からないけれど、ペン先は14金で未研磨のペン先もありいますので、研ぎに凝ることもできます。三角研ぎ、上弦の三角研ぎ、細字研ぎ出し、下弦半月など何でもできますが、龍の玉のように、球のままの大きなイリジウムで書くのも嬉しいものです。

私も未研磨に近い状態で使っているものがあって、真横にしても書くことができるほど角度が広い。押して書く左利きの方にも良いと思います。単純にペンポイントに存在感があり、それを見ているだけでも書くことが楽しくなります。

現代根付けという、アートと工芸どちらの世界でも知られている根付け作家川本泰さんによる彫刻が施されたオリジナル万年筆「自在龍」、一点もので販売しています。

⇒Pen and message.オリジナル万年筆 根付作家川本泰(かわもとたい)作「自在龍」