
自営業なので、自分がやめようと思うまで仕事を続けることができます。
ただ、その前にお客様から求められなくなったり、健康を損なったらできなくなります。
私としては、周囲から見て痛々しく思われるまで続けたいとは思っていないけれど、先のことは自分でコントロールできるようでできないことの方が多い。
今57歳なので、もう少しは続けられとは思っていますが。
始めたばかりの頃は自分の仕事は一生続くと思ってやってきたけれど、なかなか先々のことは考えられませんでした。その時その時を積み重ねてきて、気がついたら今になっていました。そんなことではいけなかったのかもしれないけれど、あまり先のことを考えると疲れてしまわないだろうか。
先のことを考える。例えばこの「店主のペン語り」の原稿は毎週書くから、一年で50本書かないといけないとか、出張販売は毎月行っているから、来月も再来月も準備して荷物を発送して、店開きして・・などと考えるとやはり疲れてしまいます。
原稿は楽しみながら書きたいと思っていますので、自分を信じて、その時々で書きたいことを書くようにしています。
出張販売は体力的に大変な仕事なので、先々のことを考え過ぎずその時その時完全燃焼して、日常業務に戻りリセットして次に臨むということをしてきました。
それが楽しみながら長く続けるコツだと思っています。
年金や保険というのは仕事ができなくなった時にはきっと有り難いものなのだと思いますが、自分に先々のことを考えさせます。
あと何年で満期になるから仕事をしなくても生きていけるということを考えてしまうのではなく、あればラッキーくらいに思うようにしたい。
とても恵まれたことだと思いますが、いつもその時その時に新しい出会いに恵まれてきました。それはいつも周りにいてくれる人や新たな出会いによってもたらされましたが、九星堂さんとは日本の万年筆が値上げをし始める直前に、あるお客様の紹介で日本で最初に取り扱うことができるようになりました。
独特の機構、ポンプピストン吸入機構を備えて、無機質にも見える現代的なデザインでありながら、柔らかい自然なカーブを持った造形。
マニア心をくすぐる人気のある万年筆で、九星堂を扱っていることが当店の特長になっています。
今当店にある九星堂カカリは、ペンポイントが未研磨の球のままで、お客様のお好みの研ぎに仕上げてお渡しするというものです。
未研磨なので、当店オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985と同じ種類の研ぎをカカリにもすることができます。
カカリは大量のインクを吸入することができるので、太字の三角研ぎでも、インク切れを気にせずに書き続けることができます。
ある資料でインク1滴で葉書の宛名程度の大きさの文字(中字)なら450文字、1ccで10300字書くことができることを知りました。
九星堂カカリには3.5ccのインクが入り36050文字かけることになります。
本当にそれだけのインクが入る必要があるのかとも思いますが、大量のインクを吸入するというのは万年筆を使う人のひとつのロマンなのだと思います。
万年筆が実用の道具かと聞かれると、そうだと言うけれど、実用だけではない様々なロマンがあって、それを言いながら万年筆を使う人を増やすというのが私が仕事を続けるロマンなのだと思います。