WRITING LAB.で今年のインクとして、オールドバーガンディを発売しました。
オールデンの靴の代表的な素材として有名なコードバンの革のバーガンディ(No.8)をモチーフとしたインクです。
No.8は黒っぽい茶色ですが、その中に赤色があるなかなか複雑な色で、コードバンのこの色を好まれる方は多いのだと思います。
新品の状態よりも履き込むほどに味わいを増し、履きシワがこんなに美しい革は他にないのではないかという人もいます。
オールデンの靴は不思議な魅力を持っていると、一度履いたことのある人の多くは思うようで、何人かの方と同じような話をしたことがあります。
ステッチが多少不揃いだったり、ストームウェルトが途中で切れていたりと、細部を見ると適当だったりするけれど、履いてみると柔らかで裸足で歩いているように感じられるソールや足を包み込むようなアッパーのフィット感、そして靴そのものの佇まい。
魅力に溢れた靴で、それはもしかしたら他のものでは代わりがきかないのではないかと思ったりします。
私自身は万年筆のインクの色には実はほとんどこだわりがなくて、それは万年筆を気持ち良く書かせてくれるためのオイルのようなものくらいにしか思っていませんでした。
日常使いの色はブルーブラックばかりで、それはこだわっているように見えるかもしれません。
でもそれは手帳をいろんな色で書きたくないというだけで、ブルーブラックが特別好きというわけでもなく、黒ではつまらないし、でも派手な色は使いたくないということで使っていただけでした。
お客様に手紙を書くことも多いのですが、それもやはり常識的な色と自分で勝手に決めてブルーブラックを使っていました。
しかし、デルタコサックの派手な1KSを使うようになって、ボディの色とインクの色を合わせてみたい衝動にかられました。
コサックの赤色に合わせてインクを使ってみたいと思った時、気に入っているオールデンのコードバンの色、ライティングラボのオールドバーガンディを使いたいと思いました。
オールドバーガンディでお客様に手紙も書くようになりました。
最初、失礼ではないのか?となかなか勇気が要りましたが、お送りしたお客様にはなかなか好評で、良い色なので何のインクか教えて欲しいと問い合わせをいただき、気を良くしています。
年をとると派手な色を好むようになるというわけではないと思いますが、こういう色を使いこなす大人に、何となく憧れていたことを思い出しました。
でも以前の私では、まだまだ若造が粋がっていると思われるのがオチだったと思うので、やはり年をとったということなのかもしれません。